暁の死線
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出典検索?: "暁の死線" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2015年5月)

『暁の死線』(あかつきのしせん、原題:Deadline at Dawn)は、コーネル・ウールリッチがウィリアム・アイリッシュ名義で1944年に出版したミステリー小説

幻の女』同様に、あるリミットまでを描いた作品で、本作では早朝に出発する長距離バスの出発時刻がリミットとなっており、『幻の女』の章題が死刑執行までの日数なのに対し、時刻の表示になっている。

1946年にアメリカ合衆国で映画化された他、日本でもたびたびテレビドラマが製作、放映されている。
あらすじ

ブリッキーことルースがニューヨークの魔力に魅せられて田舎から出てきてすでに5年。ダンサーの夢破れたブリッキーはなお故郷に帰る気にもなれず、クラブで5分10セントのチケットを買った男性のダンスの相手をし、チケット毎に2セント半を歩合制でもらって働いていた。

午前0時50分、クラブの閉店後にブリッキーにからんでくる客から助けてくれた青年がいた。礼を述べて自宅に帰るブリッキーに青年はおどおどしながらついてくる。

午前1時15分、ブリッキーは自室で故郷の母に「舞台に出演している。お金の心配はいらない」と嘘の手紙を書き、いくらかのお金を包んだ。外に青年が未だ佇んでいるのを見たブリッキーは、コーヒーの1杯くらいはごちそうしてもいいかという気分になり、青年を自室に招き入れる。ブリッキーが書いた手紙の入った封筒の宛先を見た青年は自分の故郷と同じだと言う。話してみると、青年はブリッキーの裏隣の家に住んでいたクィン・ウィリアムズだと判明。そして、クィンは今夜、富豪の屋敷に空き巣に入ったことを告白する。

ブリッキーは、盗んだ金を戻して2人で朝6時の始発バスに乗ればニューヨークの魔力から解放されると、クィンを説得した。

午前2時、クィンがお金を戻すために屋敷に忍び込んでみると、当主のスティーヴン・グレーヴズが何者かに殺害されていた。このまま朝を迎えれば、クィンが殺人犯の容疑を受けてしまう。ブリッキーは朝6時までに真犯人を見つけだし、2人でバスに乗ることを決意した。

2人は、現場に落ちていた欠けた茶色のボタン、左側から使われていたブックマッチ、香水の匂いといったわずかな手掛かりを元にニューヨークの夜を彷徨い、真犯人を探し出す。
登場人物 パラマウント塔の時計
ルース・コールマン
22歳。煉瓦(: brick)色の髪をしていることから「ブリッキー」と称されている。5年前に田舎からダンサーになることを夢見てニューヨークに出てきたが、夢破れて、クラブで男性客のダンスのペアをつとめる歩合制のダンサーとして働いている。空虚な挫折感も覚えているが、ニューヨークに首根っこを押さえられているように故郷に帰ることには踏ん切りがつかずにいた。
クィン・ウィリアムズ(キン・ウィリアムズ)
最初はブリッキーの勤めるクラブでダンスのチケットを大量に購入した客として登場する。実はブリッキーの同郷であるばかりか、裏隣に住んでいた。1年ほど前にニューヨークへ出てきたが、不況のあおりから失業し、電気工になった。富豪のグレーヴズ家の電気工事に行った際に、自分で盗ったわけではないが、工具箱に屋敷の鍵が入っていたため、それを使って盗みに入る。
スティーヴン・グレーヴズ
クィンが空き巣に入った家の主人。独身。盗んだ金を戻すことをブリッキーに説得されて、クィンが再び屋敷に忍び込んだところ、何者かに殺害されていた。
パラマウント塔の時計
ニューヨークのタイムズ・スクエアに建っている超高層ビルの頂上部にある大きな時計。ブリッキーには、唯一の「友達」としてクラブでの勤務中には「今夜はあと何分だ」と励ましてくれるように感じていたが、この夜は「バスの発車時刻まであと何分、ニューヨークからは逃げられない」という脅迫者めいた感じを受けている。
書籍情報

1944年にJ・B・リッピンコット(J. B. Lippincott & Co.、現在のリッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス)から出版された。
日本語翻訳版

砧一郎 - 『暁の死線』(1954年ハヤカワ・ポケット・ミステリ

稲葉由紀 - 『世界推理小説大系』第22巻(1963年東都書房

黒死荘の殺人」(ジョン・ディクスン・カー著、平井呈一訳)、「暁の死線」(アイリッシュ著 稲葉由紀訳)を収録


稲葉明雄 - 『暁の死線』(1969年創元推理文庫ISBN 4-488-12002-4 / 2016年、創元推理文庫・新版、ISBN 978-4-488-12012-2

中上守 - 『ジュニア版世界の推理』8巻『真犯人を追え』(1972年集英社

映画版

1946年4月6日にアメリカ合衆国で公開された。日本では劇場未公開でビデオ発売時に『タイムリミット25時』の邦題が付けられた。

登場人物名やシチュエーションなど、大幅に異なる。
スタッフ

製作
エイドリアン・スコット
監督
ハロルド・クラーマン(英語版)
脚本
クリフォード・オデッツ
原作
ウィリアム・アイリッシュ
撮影
ニコラス・ムスラカ
音楽
ハンス・アイスラー
衣装
レニー・コンリー
キャスト


ジューン - スーザン・ヘイワード ダンサー。アレックスを手助けする。

ガス・ホフマン - ポール・ルーカス タクシー運転手。アレックスを手助けする。

アレックス - ビル・ウィリアムズ(英語版) ニューヨークに上陸した若い船員。酒に酔い、気が付くとバーで出会ったエドナの部屋から盗んだと思しき大金を手にしていた。


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