普通型コンバイン
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複式収穫機(コンバイン)コンバインのドローン動画

コンバインハーベスター(: combine harvester、略してコンバインとも)あるいは複式収穫機(ふくしきしゅうかくき、コンバイン収穫機とも)は、穀物収穫脱穀・選別をする農業機械である。アブラナキャノーラ)、亜麻大豆カラスムギコムギライムギトウモロコシなど、植物種子(穀粒)の刈り入れと脱穀・選別を同時に行うことができる。

日本の稲作で主に使われるコンバインは自脱型コンバインと呼ばれる。それと区別するために、通常のコンバインを普通型コンバインと呼ぶ。なお「自脱」(= 自動脱穀)とあるが、普通型コンバインも自動脱穀をおこなう。

以下では普通型コンバインを主に扱う。
歴史
コンバインの発明と改良オーストラリア西部の町ヘンティで見つかった古いコンバインハーベスター

コンバインは米国で発明され、1834年にハイラム・ムーア(Hiram Moore)が特許を取得、また同年に刈取機の特許をサイラス・マコーミック(Cyrus McCormick)が取得した。

初期のコンバインのうち、特に大きなものは多頭立てのラバに引かせ、機械の原動力は車輪の回転力を取り出して利用した。その後、トラクターで牽引し、そのトラクターのPTOから取り出す動力を使うようになった。

これらのコンバインは、ワラ屑から穀粒を分離するためにふるいを使い、ストローウォーカー[注釈 1](偏心したシャフトの上で揺動する、ギザギザが付いた格子)がワラを後方に排出し、穀粒のみを貯める。

牽引式のコンバインは、穀物の選別に独立したガソリンエンジン、またはディーゼルエンジンの動力を使うように進化した。今日のコンバインは、自走式であり、動力にディーゼルエンジンを使用する。

コンバインの設計における重要な進歩は回転式のデザインだった。ワラ屑と穀粒は強力な回転ファンを使用して選別された。軸流式(Axial-Flow)のコンバインは1977年にインターナショナル・ハーベースター (International Harvester) が発表した。1980年代には、より適切な能力で脱穀するために電子制御が普及した。この新しい装置によって最適化された刈取速度やその他の操作により、オペレータはより良い穀物を得ることが出来るようになった。
日本における普及かつて大潟村で使われていた無限軌道を装備したコンバイン普通型(汎用)コンバイン クボタDC-60 (2014年)

米国ソビエト連邦(当時)などの大規模農場で普及した一体型のコンバインハーベスターは、日本では普通型コンバイン、あるいは汎用コンバインと呼ばれる。

日本では1962年(昭和37年)から政府が推進した農業構造改善事業の一環として導入され、水田での稲の収穫にも利用されたことがあったが、大型の普通型コンバインは日本の水田では使いづらかった[1]

その後、稲の収穫により適するよう日本で独自に開発された「自脱型コンバイン」の登場により、自脱型コンバインの方が徐々に普及してゆく。

日本農業機械工業会の統計[2]による、2006年に輸入されたコンバインは167台、農林水産省の統計[3]による2006年における普通型コンバインの出荷実績は679台であったが、これは同じ農林水産省の統計による2006年の自脱型コンバインの国内出荷台数、約3万台に比較すると遥かに少ない。


農林水産省の統計[3]による、普通型コンバインの地域別出荷台数と刃幅別構成比を表に示す。

2006年 普通型コンバインの地域別出荷台数と刃幅別構成比台数1.5m未満1.5?2.52.5?3.53.5m以上
北海道29817.4%47.0%9.7%25.8%
東北11156.8%42.3%0.9%0.0%
関東7445.9%51.4%1.4%1.4%
北陸4475.0%25.0%0.0%0.0%
東海3764.9%35.1%0.0%0.0%
近畿2972.4%27.6%0.0%0.0%
中国四国1877.8%22.2%0.0%0.0%
九州6863.2%35.3%0.0%1.5%
沖縄00.0%0.0%0.0%0.0%
合計67941.8%42.0%4.6%11.6%
輸出10100.0%0.0%0.0%0.0%

日本では1970年(昭和45年)頃より始まった減反政策により水稲から大豆小麦ソバ等への転作が増え、それら多種類に対応可能なコンバインが開発されて利用されている。世界的にはコンバインハーベスターは乾燥した畑で使用されることが殆どのため走行部がタイヤであるのに対し、日本製の普通型コンバインはゴムクローラを装備し、水田や転作田などでの条件適応性を高めているのが特徴である。

日本で製造される普通型コンバインのうち、刃幅1.5m以下のクラスは40馬力前後のコンバインであり、主に大豆・ソバ・麦の収穫に使用され、稲の収穫は出来ない。また、刃幅1.5m?2.5mのクラスは90馬力前後で、稲・麦・大豆・ソバなどを収穫することができ、刃幅2.5m?3.5mのクラスは140馬力前後であり、3.5m以上は輸入されたコンバインが占める。
構造と工程
刈取部普通型(汎用)コンバイン クボタDC-60の刈取部オーツ麦を収穫する準備ができたジョンディア JD9410コンバイントウモロコシを収穫しているコンバイン

コンバインは、作物にあわせて設計されている脱着可能な刈取部(ヘッダと呼ばれる)を装備している。

標準ヘッダはグレンプラットフォーム(grain platform)、あるいはプラットフォームヘッダ(platform header)と呼ばれ、レシプロ(バリカン)モアーを装備し、刈取られた作物をヘッドに落とすための金属またはプラスチックのツースが付いた回転するリールを特色とする。その後、クロス・オーガ[注釈 2](cross auger)がスロート[注釈 3](throat)へ作物を引き込む。グレンプラットフォームは、穀粒、マメ科植物および多くの種子作物を含む多くの作物に使用される。


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