「時間」のその他の用法については「時間 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
「歳月」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「歳月 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
「時計」および「時計の歴史」も参照人類にとって、もともとは太陽や月の動きが時間そのものであった。原始共同体でも、古代ギリシアでも、時間は繰り返されるもの、円環するもの、として語られた[1]。アイ・ハヌム(紀元前4世紀?紀元前1世紀の古代都市)で使われていた日時計。人々は日時計の時間で生きていた。砂時計で砂の流れを利用して時間を計ることも行われるようになった。スイス、ベルンのツィットグロッゲ。ツィットグロッゲには15世紀に天文時計が設置された。
時間(じかん、英: time)とは、出来事や変化を認識するための基礎的な概念である。芸術、哲学、自然科学、心理学などで重要なテーマとして扱われることもあり、分野ごとに定義が異なる。
「時間」という言葉・概念の基本的な意味「時間 (単位)」および「時間 (クルアーン)」も参照
「時間」という言葉は、以下のような意味で使われている。広辞苑[2]で挙げられている順に解説すると次のようになる。
時の流れの2点間の長さ[2]。時の長さ[2]
(あくまで俗用。下で解説)時刻を指す用法
空間と共に、認識のまたは物体界の成立のための最も基本的で基礎的な形式をなすものであり[3][4][5]、いっさいの出来事がそこで生起する枠のように考えられているもの[6]。
1. の意味の時間、すなわち時の長さというのは「この仕事は時間がかかる[7]」とか「待ち合わせ時刻まで喫茶店で時間をつぶす[7]」とかのように用いられている概念である。長さの意味での時間を数で示す表現を日本語および英語で挙げてみると例えば「5時間 (five hours)」「2日(2日間、two days)」「4ヶ月 (four months)」などがある。
2.の用法、時間という言葉を時刻という意味で用いてしまう用法は、広辞苑や日本語大辞典の解説によるとあくまで俗語である[4][8]。岩波『国語辞典』でも日常語[5]としている。つまり「時間」を時刻の意味で使ってしまう用法は正しい用法ではない。なお時刻は、ある一瞬を指す概念である。例えば「本日14時20分」などである。時刻については別記事「時刻」が立てられているのでそちらで詳説する。
3. の意味の時間、すなわち哲学的概念としての時間は、まず第一に人間の認識の成立のための最も基本的で基礎的な形式という位置づけである。カントなどの指摘に基き現在まで用いられ日々用いられるようになっている意味である。広辞苑では3.の「時間」は、1.と 2.の両方を併せたような概念、とも解説されている[2]。
当記事では3. や 1.を中心として解説する。2については基本は別記事「時刻」で扱うが、(広辞苑でも解説されているように)3.の意味の時間は1.と2.を併せたような概念なので、2.の意味についても適宜言及する。
3.について
時間というのはあまりに基礎的で、あまりにとらえがたく[注 1]、人は比喩を用いて川の流れなどに喩えている[9]。人間というのはとらえどころのない対象については比喩を用いて表現し、それを理解のきっかけとして用いようとする[9]。ただし、比喩というのは、異なるものどうしを結びつけて用いるものなのであり、つまり、本当は「時間」は「流れ」ではない[9]。