時間生物学(じかんせいぶつがく、英語: chronobiology)とは、生物に内在する生物時計(体内時計)を研究する学問分野である。太陽や月が作り出す一日、一年、潮汐などに適応する サーカリズム(circa-rhythm)を主な研究対象にする。睡眠周期
や、発生において数十分?数時間のリズムを刻む分節時計などの、ウルトラディアンリズム(ultradian rhythm)も時間生物学に含まれる。心拍や神経パルスような生命活動にも周期性が認められ、また寿命も生物の持つ時計の一つであるが、これらは時間生物学ではほとんど扱われない。 生物の持つリズム(周期)を短い物から挙げる。 数十分から数時間の周期性を持つ生物の行動・生理現象である。睡眠周期や分節時計が知られている。 睡眠周期 分節時計 細胞分裂やNotchによるシグナル伝達を伴うなどサーカリズムとは大きく異なるが、負の転写因子Hes7による転写フィードバックループという共通性もある。 概潮汐リズム(がいちょうせきりずむ)とは、海の約12.4時間の干満周期に同調するために生物が持つリズムである。海生生物、特に潮間帯、浅い海の生物には潮汐による海面の変化は大きな環境変化であり、約半日毎の干潮・満潮、に合わせた行動が多く知られている。 マングローブに住む昆虫(マングローブスズ, Apteronemobius asahinai)は、恒常条件でも12.4時間の概潮汐リズムを維持できることが報告されている[3]。 なお、約一ヶ月毎の大潮・小潮の周期は月の朔望(新月・満月、29.5日)に依存するのでcircasyzygic rhythmと呼ばれ、概月リズムに近い。 概日リズムは約24時間周期で変動する生理現象であり、時間生物学研究の中心的な課題である。 恒常暗、恒常明など恒常条件で維持される活動・生理的リズムを「概日リズム」とよび、自然状態や24時間周期の明暗リズム環境下でのリズムは「日周リズム(diurnal rhythm)」と呼ばれるが、しばしば混同される。 概月リズム(がいげつりずむ)は約一ヶ月周期で変動する生理現象である。現在のカレンダー(グレゴリオ暦)の「一ヶ月」は生物学的な意味は薄い。生物学的には月の朔望(新月・満月、29.5日)に依存するcircasyzygic rhythmが概月リズムに近いものである。 この生体リズムは、ウィーンの心理学者ヘルマン・スヴォボダ
歴史「概日リズム#歴史」を参照
生物の持つリズム
ウルトラディアンリズム(ultradian rhythm): 数十分から数時間
概潮汐リズム(circatidal rhythm): 約12.4時間
概日リズム (がいじつりずむ、 circadian rhythm): 約24時間
サーカビディアンリズム(circabidian rhythm): 約2日
概月リズム(がいげつりずむ、circalunar rhythm): 約一ヶ月
概年リズム(がいねんりずむ、circannual rhythm): 約一年
ウルトラディアンリズム
睡眠周期
分節時計
概潮汐リズム
概日リズム詳細は「概日リズム」を参照
概月リズム
フリースは、23日の周期が人間の生体条件に影響をおよぼす男性的リズムであり、28日周期は女性的遺伝形質によるものだとする仮説を立てた[4]。個体はすべて男女両性の遺伝形質をともにもっているため、すべての人間の体質には両性的要素が含まれているということである[4]。
20世紀になると、この23日周期が体力、耐久力、活力その他一般的健康状況を特徴づけると結論付けられるようになった[5]。この周期の前半では、人間の健康状態は増進し、後半では減退するので休息と体力回復をとる傾向があるという[6]。
現代の研究では、23日周期は男性的周期ではなく「肉体的」周期、28日周期は「情緒的」または「感覚的」周期と呼ばれている[6]。
28日周期が女性の平均的月経周期であることは古くから判っていたため、フリースはすべての28日周期を、女性的なものと関連づけたと考えられている[6]。女性の中には生理周期に応じて、大きく気分の変化を示す人がいるが、このような気分の変化は、本人の自覚の有無にかかわらず、ほとんどの男女に存在することが判明している[6]。これにはホルモン分泌と、それが神経系統に与える影響が関係している[6]。