星間分子の一覧
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このリストは、天体望遠鏡を用いて行われた分子雲原始惑星系円盤等からの電磁波観測により発見され、同定された星間分子の一覧(せいかんぶんしのいちらん)である。リストは構成原子毎に挙げた。イオンが検出されている分子についてはそれも示した。
星間分子の検出日本の野辺山宇宙電波観測所の口径およそ45メートルのミリ波望遠鏡。これまでに、この電波望遠鏡を用いて分子が検出され同定された。

以下に示すのは恒星間の希薄空間(星間空間)に存在する分子(星間分子)のうち分光学的な手法により確認された分子の一覧である。

光学望遠鏡電波望遠鏡を用いることで、天体から発せられる電磁波のスペクトルが得られる。ある分子の異なった電子状態振動準位または回転準位間の遷移は、スペクトルの中でその分子に特徴的な波長や周波数に吸収や発光として観測される。これらのスペクトル電波マイクロ波および赤外線可視光、紫外線の周波数領域で観測される。[1](詳しくは宇宙化学を参照)。これらの中で一番初めに同定された星間分子は1937年に観測[2]され、1940年にCNなどとともに同定されたメチリジンラジカル (CH) である。[3]

星間分子は非常に希薄な星間空間や、星周辺領域の分子雲の中で化学反応を通して形成される。この化学反応のうちの多くは分子が(特に陽イオンへ)イオン化されたときに起こる。イオン化はしばしば宇宙線との相互作用によって行われ、そのため、陽イオンは星間空間において数多く存在する。この陽イオンは周辺の電荷を持たない分子を静電気的な引力により引き込み反応を起こす。(詳細はイオン-分子反応へ)イオンと分子の反応よりは遅いが、電荷を持たない分子同士の反応によっても、星間分子は生成されている。[1]

特に多量にそして他種類の分子が観測される天体として、サジタリウスB2分子雲 (Sagittarius B2; Sgr B2)が挙げられる。この巨大な分子雲は天の川銀河の中心方向にほど近く、新しい分子の検出を目的とする研究ではよく探索が行われる。以下のリストのおよそ半分の分子はこのSgr B2分子雲において初めに検出が行われており、そのほかの分子についても近い将来検出されるであろう。[4]
分子

以下の表では検出された星間分子を構成原子数ごとに分けてリストアップしている。分子の列に記入がないものはイオンだけが検出されていることを示す。名称の列に記入のないものはこれまでに科学文献で名称が与えられていない分子である。(和名は日本語において慣用的に用いられるものを示した。)

なお、存在量としては水素分子が圧倒的に多く、次いでCO(一酸化炭素)、H2O()、NH3(アンモニア)、HCHO(ホルムアルデヒド)、HCN(シアン化水素)の順で多い[5]
二原子分子一酸化炭素は分子雲のトレーサーとして良く用いられる[6]

Table 1. 二原子分子分子式英語名和名イオン
AlClAluminum monochloride[7][8]一塩化アルミニウム—
AlFAluminum monofluoride[9][7]一フッ化アルミニウム—
C2Carbon dimer[10][11]炭素二量体(二炭素)
—FluoromethylidyniumフルオロメチリジニウムCF+[12]
CHMethylidyne radical[13]メチリジンラジカルCH+[14]
CNCyanogen Radical[15][16][7][13]シアンラジカル—
COCarbon monoxide[7]一酸化炭素CO+[17]
CPCarbon monophosphide[16]一リン化炭素—
CSCarbon monosulfide[7]一硫化炭素—
FeOIron(II) oxide[18]酸化鉄 (II)
H2Molecular hydrogen[19]水素(二水素)—
HClHydrogen chloride[20]塩化水素


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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