星口動物
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星口動物
スジホシムシ属の一種Sipunculus robustus
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
亜界:真正後生動物亜界 Eumetazoa
階級なし:旧口動物枝 Protostomia
上門:冠輪動物上門 Lophotrochozoa
:環形動物門
階級なし:星口動物 Sipuncula

学名
Sipuncula
Rafinesque, 1814



スジホシムシ綱 Sipunculidea

サメハダホシムシ綱 Phascolosomatidea

星口動物(ほしくちどうぶつ、ほしぐち-、Sipuncula)は、一般にホシムシと呼ばれる蠕虫状の海産無脊椎動物。体は左右対称で、節(体節)に分かれていない[1]。約250が含まれる[1]。かつては独立したに分類されていたが、2018年現在は環形動物門の一部とされている(詳細は環形動物を参照)。
特徴スジホシムシ属の体腔内の図

ソーセージのような体形の蠕虫。体長は3 cmから10 cm程度のものが多いが、1 cmに満たない小さな種や、約50 cmに達する大型のものもいる[1]。体色はさまざまだが、くすんだ色が多い[2]

体は体幹部と陥入吻からなる。陥入吻の先端にがあり、その周囲または背側に触手が多数ある。和名の星口とは、この触手が放射状に広がる様子に由来する[3]。体腔内に1対か2対の牽引筋があり、これによって陥入吻を体幹部に引き込むことができる[3]。種によっては吻を引き込み、体を膨らませた姿がピーナッツに似ることから、英語ではpeanut wormと呼ばれる[1]。陥入吻にはしばしば棘や鉤が並ぶ[2]

体表はクチクラに覆われ、その表面には突起やとげがあることも多い。タテホシムシ科のものは体表の一部にクチクラが厚くなるか、石灰質が沈着してできた盾状部を持つ[1]

クチクラの下には表皮、次いで真皮がある[1]。その内側には筋肉があり、外側に環筋層、内側に縦筋層があるほか、この2層の間に薄い斜筋層が見られることもある[1][2]。縦筋層の下には体腔膜があり、その内側が体腔である。

体腔は裂体腔性の真体腔腹膜により仕切られているが完全ではなく、1つに繋がっている[1]。はっきりとした血管系は見られず、体の運動によって体腔液が攪拌されることが循環系の機能を果たしている[3][4]。体腔液中にはヘムエリスリンを含む赤血球があり、体表を通じて得られた酸素を輸送する[1]。ガス交換の場は種によって異なり、触手と吻の表面をともに使っているものもいるが、岩に穿孔する種や、酸素の乏しい泥などに潜る種は、触手表面だけで呼吸を行う。大型の種は体表をすべて使っている可能性がある[1]

体腔液内には、赤血球以外にも数種類の細胞が含まれる[1]。体腔液は水力学的骨格(英語版)として、圧力により体を支持したり、吻を伸ばしたりする役割も果たす[1]

体腔の大部分は消化管が占める[3]。消化管は先端の口から後部へ伸び、後端で折り返して、体幹前端の背面にある肛門に続く。したがって消化管はU字型になり、後ろへ伸びる腸管と、後端から戻ってくる腸管は、互いに螺旋に巻きついている[3][5]。このような屈曲した消化管は、星口動物以外には、固着性の動物にしばしば見られる[2]

腎管が1対または1本、体幹前部の腹面側にある。腎管は外腎口で体表に、内腎口で体腔内に繋がる[1][3]窒素老廃物は腎管を通じて、アンモニアとして排泄される[1]

小さな(脳神経節)と1本の腹神経索があり、この2つを繋ぐ食道神経環が体壁に沿って延びている[3][1]。この構造は環形動物に似ているが、ホシムシでは腹神経索が分節しないという違いがある[2]触覚受容器は体表全体にあるが、とくに触手に多い。化学受容器は吻の背側に見られる[1]。脳神経節の背側に一対の色素杯単眼を持つ種も多い[1][2]
生態フクロホシムシ属の一種。吻を伸ばし、触手を出している。深海から採集されたサメハダホシムシ属の一種Phascolosoma turnerae

星口動物はすべて海産の底生生物である。温暖な海域に分布する種が多いが、北極海南極海を含む世界中のに見られ[2]潮間帯から水深5000メートルを超える深海まで幅広い水深に生息する[1]。多くは砂のなかや石の下、海藻の根元などに棲む。サンゴ礁沿岸域には、硬い石灰岩に穿孔するものが多い。巻貝多毛類などが作った棲管を住処とするものもいる。

柔らかい基質に巣穴を掘るときや、海藻の根元や砂利の中を動き回るときには、縦筋と環筋、吻を動かすことで蠕動する。硬い基質に穿孔するものは、体表の棘や盾状部をやすりのように使うだけでなく、分泌物によって化学的に溶かすこともしていると考えられる。タテホシムシ類は、盾状部を蓋にして巣穴の入り口を塞ぐ[1]

タテホシムシ属のある種はスツボサンゴ属やムシノスチョウジガイ属の単体性サンゴ共生する[6]。サンゴの骨格に細い穴が開いていて、そのなかにホシムシが生活している。サンゴの骨格のなかには貝殻が見つかるので、ホシムシははじめ貝殻に棲み、その貝殻にサンゴが付着して、貝殻を覆い隠すほどに成長することで共生関係が成立すると考えられている[7][8][6]。これらの種は砂地に生息するが、サンゴは自力ではほとんど動けないので、ひっくり返ったり、砂に埋もれたりしてしまう危険がある。ホシムシがサンゴを引きずって動かすことで、サンゴは砂地を安全に利用できるようになる[6]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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