星を継ぐもの
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この項目では、ジェイムズ・P・ホーガンのSF小説について説明しています。その他の用法については「星を継ぐ者」をご覧ください。

ポータル 文学

『星を継ぐもの』(ほしをつぐもの、原題:Inherit the Stars)は、ジェイムズ・P・ホーガンによるSF小説1977年に上梓されたホーガンのデビュー作である[1]日本では1980年に邦訳され、熱狂的な支持を集めた[1]。翌1981年には第12回星雲賞海外長編賞を受賞している[1]

あり得ない現実と事実を突き付けられ、その謎を解き明かしつつ人類の生い立ちを解明していくハードSFの代表作のひとつ。作品発表当時に人類進化上の謎として知られていたミッシングリンク小惑星帯の起源、とりわけ月が表と裏で異なる様相を示す理由、等についてSFの視点から解釈を与えている。

2015年現在で累計45万部を売り上げ、創元SF文庫最大のヒット作となっている[1]

続編に『ガニメデの優しい巨人』、『巨人たちの星』、『内なる宇宙』、『Mission to Minerva』(未訳)があり、「巨人たちの星シリーズ」と総称されている。特に1982年(日本語版は1983年)に上梓された3作目の『巨人たちの星』で一応の完結を見て、4作目の『内なる宇宙』が1992年(日本語版は1997年)に上梓されるまで間が空き、その間は「巨人三部作」とも呼ばれた。日本語版はいずれも創元SF文庫に収められている。翻訳は池央耿による。
あらすじ

月面で真紅の宇宙服を着た人間遺骸のようなものが発見された。これはいったい何者なのか?

各国の組織に照会するも、月面での行方不明者は誰もいなかった。地球に運ばれた遺骸をC14法によって年代測定を行ったところ、彼は5万年前に死亡したとの結果が得られた。チャーリーと名付けられたその人物と、月で発見されたことからルナリアンと呼ばれる様になった彼の属する人類集団の正体は全く謎であった。

その正体を探るために、ニュートリノを使用して物質を透過撮影できるトライマグニスコープが手配されると共に、その開発者であるヴィクター・ハント博士にも調査への参加が要請された。スコープを駆使して少しずつ齎された情報と数少ない所持品を手がかりにあらゆる分野の学問を総動員した分析が始まった。だが、その指し示す事象は矛盾だらけだった。

チャーリーの所持品の中には、現代技術を駆使しても造る事の出来ない超小型の原子力パワーパックが見つかり、使用されていた放射性物質半減期からも5万年前という値が裏付けられた。だが、こんな高度な技術文明が地球に存在したという痕跡は残っていない。これに対し生物学者のクリスチャン・ダンチェッカーはチャーリーの遺骸を調べ上げ解剖学的にも、後には分子生物学遺伝学の見知からも彼が間違いなくヒトであると断言し、出身地は地球であると主張する。その一方でダンチェッカーは、チャーリーが発見された場所の近くにある構造物の廃墟で見つかった携行食料と思われるものを調べ、その材料となった地球産の魚に似た水棲生物の肉体構造が、地球生物のものと根本的に異なり、とても地球産とは思われないことに悩む。

また、手帳と思われるものを透過撮影して浮かび上がった記号の解読は、言語学者の協力を得ても困難を極めた。その一部は何らかの数表と思われ、現在の手帳よりカレンダーであると類推されたが、それは地球とは相容れない暦法から成り立っていた。ハント博士のアドバイスで、チャーリーの所持していた機器のラベルの文字が電圧電流の物理量の表記であると仮定したところ、それを糸口として手帳を解読する作業に進展がみられる様になり、やがて、それはチャーリーが記した日記であると判明する。彼は月の守備部隊に配属された軍属であり、地上の戦闘を観察して月面の基地に置かれた兵器から放たれたエネルギー波が地上の敵都市を灼く様子を記録にとどめていた。だが、有史以前の地球に月まで飛行できる高度な科学技術があった筈もなく、地球にも月にも大規模な戦争の痕跡は見られず、そもそも月面には基地や兵器の痕跡すらもない。相矛盾する事象を整理し、数々の仮説が立てられ、謎が少しずつ解き明かされていくかに見えつつも、別の事実がその仮説を否定する。その繰り返しがいつまでも続き結論に行き着く見込みは立たなかった。果たして、チャーリーやルナリアンは一体何者なのか、どこから来たのか、何故、ここに居たのか、そしてどこに行こうとしていたのか?

さらに木星衛星ガニメデを訪れた調査隊が、氷の中から発見した驚異の物体が混迷の度を増した。それは人類にとってまったく未知の知性体の手になる宇宙船の残骸であり、船内から大柄な体躯の搭乗員の遺骸が発見され、また数百万年前の地球の生物たちが積み込まれていた。ガニメデで発見されたことからガニメアンと名づけられた彼ら大柄な種族を調査したところ、その肉体構造は例の魚に似た水棲生物と相似していることも明らかになった。直接ガニメデに赴いてこれらを目の当たりにしたハントやダンチェッカーたちは、更に深まる謎に悩まされるが、やがて、人類の生い立ち、そして、かつての太陽系の姿につき、一つのストーリーが形作られていく。

(以下『ガニメデの優しい巨人』に続く)
日本語訳書

『巨人たちの星シリーズ』 - 東京創元社創元SF文庫、翻訳:池央耿、カバー:加藤直之

星を継ぐもの 1980年5月23日 .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:linear-gradient(transparent,transparent),url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:linear-gradient(transparent,transparent),url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:linear-gradient(transparent,transparent),url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:linear-gradient(transparent,transparent),url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-488-66301-X


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