「星の砂」のその他の用法については「星の砂 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
バキュロジプシナ
分類
星の砂(ほしのすな、英語: star sand)は、星の形の粒子からなる砂状の海洋性堆積物、あるいはその成因となった生物である。星砂(ほしずな)とも呼ばれる。砂と名前が付いてはいるが、星の砂は死んだ有孔虫の殻であり、岩石の風化に由来する通常の砂とは異なる。
概要生きている「星の砂」。Baculogypsina sphaerulata ほか。
星の砂は原生生物である有孔虫の殻である。生きている有孔虫の殻内は原形質で満たされているが、有孔虫が死ぬと有機質である原形質が分解され、丈夫な殻のみが残存して堆積する。殻の形態が星や太陽を思わせる幾何学的な形状であるため、生物学的な研究対象としてのみならず、鑑賞の対象としても広く愛好されている。
有孔虫は単細胞生物としては大型の部類に入り、星の砂以外にも絶滅種のフズリナや貨幣石に代表されるように、しばしば肉眼的な大きさとなる。今と同じような星の砂の構成種となる有孔虫は鮮新世(500?160万年前)ごろから出現しており[1]、従って星の砂には現生の有孔虫の殻と共に、数万年前のもの(化石)が混入している場合もある。
有孔虫自体は海洋はもとより淡水、土壌中にも広く分布する生物群であるが、星の砂の元となる種の分布は温暖な海域に限られており、星の砂が見られる場所も限定される(後述する分布を参照)。星の砂を成す殻は炭酸カルシウムでできており、サンゴとともにサンゴ礁の炭素循環において重要な役割を果たしている。炭酸固定量(この場合は無機炭素としての固定)は700g(800,000個体相当)/m2/年 ほどと見積もられていて[2]、これは造礁サンゴや石灰藻(紅藻の一種)に次ぐ量である[3]。また、星の砂を作る大型の有孔虫には珪藻やハプト藻といった藻類が共生しており、この共生藻は光合成を行っている。このように、生態系の中で一次生産者に住処を提供するという側面もある。星の砂は生態的に重要な生物の残渣なのである。 死んだ殻、すなわち星の砂は海岸に運ばれ、サンゴ片等とともに砂浜を形成する。日本では、沖縄県の多くの海岸で星の砂を見ることができる[4]が、西表島の星砂の浜、竹富島のカイジ浜(太陽の砂(Calcarina)の比率が高い)、鳩間島などが有名である[5]。 沖縄県では小瓶に詰めたものが土産物として販売されている[4]が、近年、数が減少しており、その原因として、土産物とするための乱獲や、日焼け止めオイルによる海水汚染の影響が指摘されている[6]。 カルカリナ 生物分類表は冒頭を参照 「ホシズナ」の和名を持つ、星の砂の主要構成種である。体長は数百μm?数mm。Baculogypsina 属は1属1種であるが、生息場所の違いなどにより形態には若干の変異がある[7]。殻は不規則な突起を持っており、星を想起させる形状となっている。 生きている Baculogypsina は突起の先端から網状仮足を伸ばし、移動や基物への付着、摂食などを行っている。餌は海藻の断片や微細藻類などであるが、エネルギー収支としては共生藻の光合成産物に依存する割合が高いとされる[8]。
分布
西表島 星砂の浜
西表島 星砂の浜の星の砂
竹富島 カイジ浜
鳩間島の星の砂
星の砂の構成種
分類
界:リザリア Rhizaria
門:有孔虫門 Foraminifera
綱:有孔虫綱 Foraminifera
目:ロタリア目 Rotaliida
科:カルカリナ科 Calcarinidae
属:カルカリナ属 Calcarina
和名
タイヨウノスナ
種
C. calcar d' Orbigny
C. gaudichaudii d' Orbigny
C. hispida Brady
C. spengleri Gmelin
Baculogypsina
生態
生殖と成長
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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