明治節
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明治節(めいじせつ)は、昭和前期の祝日の一つ。明治天皇の遺徳をしのび、明治時代を追慕する目的で制定された。明治天皇の誕生日である11月3日をこれにあてた[1]祝祭日には、国家の祝日と、皇室の祭祀を行う祭日とがあったが、明治節は新年節1月1日)、新年宴会1月5日)、紀元節2月11日)、天長節4月29日)と並んで祝日とされた。また祝日のうち新年節、紀元節、天長節、明治節は四大節として、学校や軍隊で祝賀式が行われた[2]宮中では祭祀や宴会が行われた[1]

戦後1948年昭和23年)に廃止されたが、11月3日は文化の日として現在も継承されている[1]明治神宮では毎年この日に宮中より勅使の差遣を受けて、例祭(秋の大祭)を執り行う[3]
国定教科書の中の明治節

昭和の修身教科書は明治節について説いていた。たとえば1936年発行の尋常小学修身書児童用巻3(小学3年生用)には次のように記載されていた[4]。十六 明治節

我が国の祝日は、新年・紀元節・天長節・明治節でございます。新年は1月1日・3日・5日で、年の始めを祝い、紀元節は2月11日で、神武天皇の御即位の礼をお挙げになった日を祝い、天長節は4月29日で、天皇陛下のお生まれになった日を祝うのであります。

明治節は、11月3日で、明治天皇の御恩を仰ぎ、明治の御代の栄えを祝う日でございます。この日、宮中では厳かな御儀式があり、明治神宮では、賑やかなお祭りがございます。

神武天皇が我が国のもとをお固めになってから、御代々の天皇はその御蹟を受け継いで、臣民を子のようにお慈しみになり、我が国を盛んになさいました。明治天皇は長い明治の御代の間に、臣民の幸せをお図りになり、我が国が、世界の国々に負けないほどに開け進むようになさいました。それから、我が国は、朝日の昇るような勢いで、盛んになってきたのであります。

私たちは、いつも明治天皇の御恩を忘れず、よい日本人となって、ますます我が国を盛んにするようにしなければなりません。

十七 国旗今日は明治節です。どの家にも、日の丸の旗が、朝風に勢いよく翻っています。〔以下略〕 ? 文部省、『尋常小学修身書 児童用 巻3』

児童用修身書の明治節の挿絵は明治神宮例大祭の南新門前を写したものであった[5]
学校での祝賀式

明治節当日は学校の職員・生徒・児童が学校に参集して祝賀式を行った[6]。小学校の児童は、当日朝早く起き、国旗を掲げて皇居を伏し拝み、身体を清めて服装を整え、黒い靴下と黒靴を履き、エプロンを脱いで登校し、静粛に式に臨むべしと指導された[7]

明治節などの祝祭日に関する礼法は、ところによりまちまちであった。文部省は1941年に礼法要項を制定して礼法を統一した。これによると、明治節には国旗を揚げ宮城を遥拝し、祝賀と敬粛の誠をあらわす。学校では、あらかじめ天皇の写真を式場の正面正中に掲げる。皇后の写真は天皇の写真に向かって右に掲げる[8](明治節の儀式ではさらに明治天皇の写真を今上天皇の写真に向かって左に掲げる[9])。勅語奉読者は特に容儀・服装に注意し、あらかじめ手を清めておく。勅語謄本を箱から出して、小蓋や台に載せて式場の上座に置くのを例とする。参列者は服装を整えて容儀を正し、真心をもって終始する。式場へ入る際に一礼する。挙式中は特別の場合を除くほか出入りをしない。儀式は以下の順序・方式により行う[8]
一同敬礼(上体を前に約30度傾ける)。

※ 写真の覆いを取り外す。その際、参列者は上体を前傾して敬粛の意をあらわす。

※ 写真に対して最敬礼を行う(上体を前に約45度傾ける)。写真が無ければ宮城遥拝を行う。

国歌をうたう。

学校長が教育勅語を奉読する。
奉読者は写真の前に立つのを避ける。写真が無ければ正面中央に立つ。

奉読者は勅語謄本を丁寧慎重に取り扱い、押し戴いてから奉読する。

参列者は奉読開始と同時に上体を前傾して拝聴する。

奉読者は奉読を終えて謄本を押し戴く。

参列者は敬礼してゆっくり元の姿勢に戻る。


勅語奉答の歌をうたう(法令に規定されていないが、小学校では特殊の事情のない限り必ず歌う[10])。

学校長が訓話を行う。

明治節唱歌をうたう。

※ 写真に覆いをする。その際、参列者は上体を前傾して敬粛の意をあらわす。

一同敬礼(上体を前に約30度傾ける)。以上[8]

写真を拝戴していない場合は写真に関する手順(上記※印)は行わず、写真への最敬礼(手順3.)の代わりに宮城遥拝を行う[8]
明治節唱歌


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