明治文学全集
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明治文学全集(明治文學全集、めいじぶんがくぜんしゅう)は、1965年昭和40年)から1989年平成元年)にかけ筑摩書房で刊行した明治期日本の文学叢書(全100巻)。
概要

全99巻+別巻1(総索引)で、戦後刊では有数の規模の文学叢書である。「文学全集」と銘打っているものの収録対象は幅広く、一部思想家の著作を含んだ、開化期から明治末年の初期白樺派に至るまでの文芸全般の基礎文献を対象としており、巻構成は作家別を主としているが、全巻中約30数巻は、テーマ別・文学流派別での構成である。

版型サイズはA5判・2段組。北村透谷樋口一葉などは、ほぼ全作品を収録し、志賀直哉永井荷風など、大正昭和期にまたがり執筆活動した作家は、明治期のみ作品を収録となっている。

各巻末には〈研究篇〉が設けられ、同時代の回想や注目すべき文献が収められると同時に、収録作家の年譜も付載されている(各巻ごとに、※をもってそれを示した)。さらに最終2巻分が、番外編で「明治文学回顧録集」に充てられるなど、単なる作品鑑賞のみならず文学史研究にも資する内容となっている。

第1回配本は1965年2月刊の第27巻『森鴎外』。1978年に版元の筑摩書房が倒産し会社更生法適用を挟みつつ、刊行を継続(世評ではこの全集の刊行が経営圧迫の一因となったといわれた)、1983年8月の第62巻『明治漢詩文集』刊行をもって一応完結した。
約6年を経て昭和が終わり間もない1989年2月に別巻『総索引』が刊行完結、これにより第37回菊池寛賞を受賞した。
2013年にカバー版で新装復刊した。併せて『明治への視点 『明治文學全集』月報より』(筑摩選書、2013年)が刊行した。

先行の叢書として知られる『明治文化全集』(日本評論社、現行版は全28巻)が、幅広く文化史全般の文献を収録しているのに対し、この全集は分野を絞りこんだ巻構成になっている。なお「明治文化全集」編集主体となった明治文化研究会からは木村毅柳田泉・西田長寿・大久保利謙らが編集参加している。
全巻の構成
明治開化期文学集(一) -
假名垣魯文篇(萬國航海西洋道中膝栗毛/牛店雜談安愚樂鍋/河童相傳胡瓜遣/大洋新話蛸入道魚説教)/万亭応賀篇(當世利口女/分限正札智惠秤/青樓半化通/近世惘蝦蟇)/梅亭金鵞篇(寄笑新聞)/條野採菊染崎延房篇(近世紀聞(抄))/松村春輔篇(開明小説春雨文庫)/久保田彦作篇(鳥追阿松海上新話)※明治新政府文藝政策の一端(柳田泉)/幕末開化期文學研究(興津要)/解題(興津要)/略歴(興津要編)

明治開化期文学集(二) - 假名垣魯文篇(高橋阿傳夜刃譚)/岡本起泉篇(嶋田一郎梅雨日記/澤村田之助曙草紙)/前田香雪篇(金之助の話説)/高畠藍泉篇(巷説兒手柏/蝶鳥紫山裙模様)/武田交来篇(冠松眞土夜暴動)/宇田川文海篇(勤王佐幕巷説二葉松)/古川魁蕾篇(淺尾よし江の履歴)/菊亭香水篇(惨風悲雨世路日記)※新舊過渡期の囘想(坪内逍遙)/明治初期に於ける戲作者(野崎左文)/「つづき物」の研究(興津要)/解題(興津要)/略歴(興津要編)/參考文獻(興津要編)/明治開化期文學年表(興津要編)

明治啓蒙思想集 - 西周篇(百一新論/復某氏書/隨筆/百學連環 總論/『明六雜誌』より/『東京學士會院雜誌』より/社會黨論ノ説/兵家徳行)/津田眞道篇(天外獨語/泰西法學要領/“公議所議案集”/『明六雜誌』より/『東京學士會院雜誌』より/如是我觀)/杉亨二篇(『明六雜誌』より)/加藤弘之篇(民選議院ヲ設立スルノ疑問/“馬城臺二郎ニ答フル書”/『明六雜誌』より/國體新論/人權新説)/神田孝平篇(農商辨/會議法則案/褒功私説/日本國當今急務五ケ條の事/論重板/江戸市中改革仕方案/人心一致説/“公議所議案集”/田税改革議/“民會規則”/『明六雜誌』より/『東京學士會院雜誌』より)/森有禮篇(航魯紀行/“洋學教育ニ關スル上書”/“公議所議案集”/『明六雜誌』より/教育論/學政片言/學政要領/“兵式體操ニ關スル上奏案”)/箕作麟祥篇(『明六雜誌』より/國政轉變變ノ論)/中村正直篇(留學奉願候存寄書付/敬天愛人説/擬泰西人上書/“序跋文集”/『明六雜誌』より/『同人社文學雜誌』より/『東京學士會院雜誌』より/報償論/愛敬歌/自叙千字文)/西村茂樹篇(『明六雜誌』より/東西政事主義の異同/公衆の思想/日本弘道會の改稱に付きて一言す/『東京學士會』)

成島柳北服部撫松栗本鋤雲集 - 成島柳北集(柳橋新誌/柳北奇文/柳北仙史熱海文薮/辟易賦/後辟易賦/花月新誌題言/鴨東新誌(京猫一斑)/墨水烟火ノ記/航薇日記/航西日乘)/服部撫松集(東京新繁昌記/東京新繁昌記後編/教育小説稚兒櫻)/栗本鋤雲集(匏菴十種“鉛筆紀聞・曉窓追録”/匏菴十種(抄)/匏菴遺稿(抄)/箱舘叢記/七重村藥園起原/養蠶起源)※柳北仙史の柳橋新誌につきて(永井荷風)/服部撫松傳(三木愛花)/栗本鋤雲翁四十六囘忌に(島崎藤村)/栗本鋤雲(龜井勝一郎)/解題(塩田良平)/年譜(大野光次編)/參考文獻(大野光次編)/詳細目次


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