明日の神話
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『明日の神話』作者岡本太郎
製作年1968年 (1968) - 1969年 (1969)
種類アクリル系塗料による壁画
寸法550 cm × 3000 cm (220 in × 1,200 in)
所蔵東京都渋谷区
座標.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯35度39分31.55秒 東経139度42分0.81秒 / 北緯35.6587639度 東経139.7002250度 / 35.6587639; 139.7002250座標: 北緯35度39分31.55秒 東経139度42分0.81秒 / 北緯35.6587639度 東経139.7002250度 / 35.6587639; 139.7002250

『明日の神話』(あすのしんわ、: Myth of Tomorrow)は、岡本太郎による巨大壁画第五福竜丸被爆した際の水爆の炸裂の瞬間がモチーフとなっており、悲惨な体験を乗り越え、再生する人々のたくましさを描いたとされる。太郎の養女秘書を務めた岡本敏子によれば「彼の最大にして最高傑作」とされる。

大阪万博のシンボルタワー『太陽の塔』と対をなす岡本太郎の代表作で、1968年から翌年にかけて同時制作され、太郎のパブリックアートの代表ともなった。メキシコで製作された本作は長年行方不明となっていたが、2003年に発見され修復を経て、2008年10月から東京都渋谷区渋谷マークシティ内の京王井の頭線渋谷駅JR渋谷駅を結ぶ連絡通路に恒久設置された。壁画の重さは14トン[1]アスベスト製の板に一部コンクリートを盛り付けてアクリル系塗料で描かれている。
原水爆とアヴァンギャルド

岡本太郎による核兵器原爆・水爆)をテーマとした作品には、『燃える人』『瞬間』『死の灰』、そして『明日の神話』がある。

1954年に日本の漁船「第五福竜丸」がアメリカ水爆実験被爆した事件は、広島長崎の原爆の恐怖を人々に蘇らせ原水爆禁止世界大会につながった[2]。原爆をモチーフとした構図の口火を切ったのは、太郎の戦後の代表作のひとつである1955年の『燃える人』[3]であり、原爆が炸裂する瞬間を描いた激しい構図を持つ[2]。第5回原水爆禁止世界大会記念美術展「日本人の記録」は広島市広島朝日会館で開催され、太郎の『燃える人』など日本の代表的な芸術家の作品が展示された[2]。続いて同年の『瞬間』[4]も原爆炸裂の瞬間を描いた[2]。太郎は『瞬間』を通して「原爆という事実は日本人全てが引き継がなければならない問題だ」と考えた[4]。他に1956年の『死の灰』がある[2]。こうした作品を通して、太郎の水爆への思いは醸成されてきた[2]

また、パリ民族学を学んだ太郎にとって、沖縄東北の民族伝統や弥生時代以前の縄文時代土器など、無視されてきた日本の美学の歴史は目を向けられるべきものであった[5]。メキシコで見られる骸骨のモチーフは有史以前の文化の存在の証拠であり『明日の神話』の中央に描かれることとなった[5]。太郎は1947年8月25日付『読売新聞』紙上に「新しい芸術宣言―絵画の価値転換」を掲載し美術界に生々しい原色の存在をぶつけ、1950年の「芸術感―アヴァンギャルド宣言」を通して「芸術は大衆のものであり、万人によって作られるものだ」としており、1950年代から1960年代を通して公共空間に作品を制作してきた[6]。太郎によるパブリックアートとしての頂点が本作『明日の神話』と大阪万博会場に制作された『太陽の塔』であり、これは「社会と芸術との従来の閉鎖的な関係を刷新する最高の表現手段」としてのものであった[6]

本作『明日の神話』は核兵器に焼かれる人間を描いている[7]。岡本敏子によれば「焼かれる骸骨は口を大きく開けて笑っており、人間の誇りとしての怒りを爆発させている姿である」という[7]。右に第五福竜丸、左に平安な世界で憩い合う人々が描かれており[8]パブロ・ピカソの反戦壁画『ゲルニカ』を彷彿とさせるものである[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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