昆虫食
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2013年10月)

昆虫食(こんちゅうしょく、英語: Entomophagy, Insect eating)とは、ハチの幼虫、イナゴなど、昆虫を食べることである。食材としては幼虫(さなぎ)が比較的多く用いられるが、成虫も対象とされる。先史時代から人類は昆虫を食べ、現在もアジア中南米アフリカなど124か国で一般的な食品として約20億人が2000種類以上の昆虫を食べている[1][2][3][4]。昆虫食は、人間以外の霊長類を含む多くの動物に広く見られ、アリクイセンザンコウなど、昆虫食が専門の動物だけでなく、キツネタヌキなどの雑食性の動物においても常に食べられている[5]。昆虫は動物性タンパク質が豊富であり、牛肉や豚肉に代わる環境負荷が少ない食べ物としても期待されている[6][7][8][9]国連食糧農業機関(FAO)は、食糧危機の解決策として昆虫食を推奨し、世界経済フォーラム(WEF)も、気候変動を遅らせることができる代替タンパク源として注目する報告書を発表している[10][11][12]
歴史市場で売られる食用昆虫。イナゴ、竹虫、蛹、コオロギ、サソリガムシタガメ。(タイバンコク昆虫食缶詰の自販機(上野アメ横

昆虫食は世界の各地で行われ、中国の『周礼』「天官冢宰[13]」で「?醢」と呼ばれたシロアリの卵の塩辛で客をもてなしたとあり、ヨーロッパにおいても古代ギリシャや古代ローマセミなどを食べたという記録が残っている。アフリカ諸国、南米アマゾンメキシコメラネシアなどの熱帯亜熱帯地域などの多くの地域で常食されている。アフリカ北部などでは、しばしばサバクトビバッタが大発生により農作物を食い尽くされる蝗害が発生するが、こういう場合には、農作物の代わりにサバクトビバッタを緊急食料として食べ、飢饉の軽減が行われる。また、アジアにおいてもラオスベトナムタイ中国タガメを食べたり、中国、東南アジアなどでセミを食べたりするように、一部の民族、または民族集団の一部が食べる例がある。日本においても同様で、群馬県長野県岐阜県宮崎県などの一部地域において、地方の食文化として現存しているほか、土産物などとしても売られている[14]。2008年現在、はちの子、イナゴの缶詰はともに1トン弱、カイコのサナギ300キロ、まゆこ(カイコのガ)100キロ、ザザムシ300キロが加工、製造されているという記録がある[15]。文部科学省が定める「日本食品標準成分表2020年版」の肉類に、イナゴ佃煮ハチの子缶詰が記載されている[16][17][18]

現代社会では、一部地域、民族を除いて共通的、日常的には昆虫は食べられていない。西洋世界の多くにおいては、昆虫食は嫌悪の対象や原始的な習慣とする考えが存在し、歴史的にはエスノセントリズムの対象となってきた[10]。西洋世界で昆虫食が定着してこなかった理由としては、他の家畜より魅力が少ないこと(例えば皮革や乳の源、労働力とならない)、温帯では昆虫の採集量が芳しくないこと、採集のみの不安定な栄養源であることから軽視され、農業の発展に伴い昆虫が害虫として忌避の対象にされてきたことが指摘される。現代の日本の生活様式においては一般的においしくない、気持ち悪いなどの心理的嫌悪が強い[19]
宗教的戒律

ユダヤ教ではイナゴ・バッタ類をのぞき、およそすべて昆虫がタブーとされる[20][23][注 1]。(理屈では地を這う虫は不可、跳ぶバッタは可[24][20])。

イスラム教では一部学派を除き、昆虫食は基本的にタブー(ハラーム)の対象であるが、聖典ハディースに預言者ムハンマドがバッタを食べたとの記録があり、バッタは広くハラール食として許容されている[25][26][27]

キリスト教セブンスデー・アドベンチスト教会など特定の宗教・宗派によっては特定の種類を禁じている[要出典]。
現代

近年では地域固有の食文化として積極的に見直されている例もある。中国では、昔の質素な食事を再現した都市部のレストランで昆虫がメニューに載っていることがよくある。雲南省では、訪れた観光客が昆虫食を食べてみる姿をよく目にする。タイの都市部では、調理済みの昆虫を屋台やレストランで観光客や都市部の住民に売っている光景がしばしば見られる。

SDGsの一環として昆虫食が推進されている[28]EUでは2011年に新規輸入と区別するため在来の食用昆虫の種類を調べている[29][30]。また、昆虫を食用家畜として捉えた場合、少ない飼料で生育可能なことなどから、資源が限られる宇宙などでも得られる動物性食物として優れており、将来、人類が宇宙ステーションに長期滞在する際や火星などへ移住する際の食糧としての研究もされている[31]国際連合食糧農業機関(FAO)はタンパク源として世界的な人口増加による食糧危機対策の一端を担う食文化として評価している[32]

日本では2010年代後半以降、食用昆虫の養殖事業への参入が相次いでいる。例えば2022年1月現在、食用コオロギの養殖には少なくとも26社が参入、あるいは参入予定となっている[6]。参入する企業が増えている理由は、必要な飼料が少なく環境負荷が圧倒的に小さいことである[6]。一方、黎明期の産業であり安全性や衛生面におけるルールがまだ制定されていないため、農林水産省が2020年10月に制定した「フードテック官民協議会」の「昆虫ビジネス研究開発ワーキングチーム」(WT)がルール作りに向けて取り組みを始める[6]。取り組みは大阪府立環境農林水産総合研究所審議役の藤谷泰裕が代表となり、昆虫養殖・販売に携わる企業だけでなく畜産・養殖の専門家も参加する[6]。ルールに法的拘束力はないが、顧客が安心して食べることができるように民間共通のガイドラインとして制定する事となっている[6]
栄養

昆虫の栄養価について、昆虫の血液に含まれるタンパク質アミノ酸)は哺乳動物の肉のタンパク質のアミノ酸構成に似ている、昆虫の血糖はトレハロースであり栄養価が高い、昆虫の脂肪は現代人が日常的に食べる油に近い、昆虫はヒトが必要とするビタミンのほとんどが含まれる、ミネラルが含まれるといったことが判明している[33]。加熱することで雑菌などの問題もなくなるので、食品としての摂取にはなんら問題はない。生態学的に見ると、昆虫が食べた植物のエネルギーを体質量(ボディマス)に変換する二次生産の効率は平均40%で、魚類の10%や恒温動物の1 - 3%に比べ非常に優れているため、昆虫類は生態学的および経済的に効率の良い動物性蛋白質の供給源となりうる。ただし、農地周辺から昆虫を採って食べる場合は、農作物を育てる過程で使用する農薬が昆虫に残留、蓄積している可能性があるため、健康への害に留意すべきである。同様に、肉食性ないし腐植食性の昆虫に対しても、あらかじめ絶食させたり内臓を取り去るなどして、内臓の内容物を除去しておく場合がある。
風味

ハチなどは同じく節足動物である甲殻類(エビ、カニ)に近い味がするとされる。はちのこは高級珍味として食され、特に秋はクロスズメバチの幼虫の旬で美味になる。

旬のムネヒロウスバカミキリの幼虫は『ファーブル昆虫記』でも試食して美味であった旨が記されている。日本でもテッポウムシは古くより美味であると言われる。昆虫は変態をするため、同じ種でも時期によって風味が変わり、美味な時期が限られるものも多い。

一般的に昆虫食では、羽根をむしったり、内臓を絞り出したりといった、おいしく食べるための加工がなされる。また、昆虫食の習慣がある地域でも、あらゆる昆虫を一年を通じて食べるわけではなく、特定の昆虫を旬の時期に食べる。「食べるものがないから虫を食べている」という見方は、正しくない場合が多い。
食上の注意点

昆虫の中には、線虫[34]ハリガネムシなど各種の寄生虫がいる例もあり、また雑菌や何らかのウイルスなど病原体[35]を保有している可能性も考えられるため、生食するには他の野生動物同様危険性があり火を通すか完全乾燥、もしくは燻煙塩蔵などの殺菌をしてから食すことが最適である。
関連食品蜂の巣と蜂蜜

加工食品などに使われる着色料、光沢剤などの添加物に昆虫由来の成分が使われている場合もある。昆虫由来の着色料の中では、カイガラムシの一種エンジムシから採れる赤紫色のコチニール色素が最も有名である。蜂蜜はおそらく最も有名な昆虫関連の食品であるが、ローヤルゼリーのような昆虫の分泌物ではなく、植物由来の蜜がミツバチ酵素で変化したものである。

このほか、アリ、ガの幼虫、ゴキブリ、昆虫ではないがサソリムカデなどを、蒸留酒に付けて、酒に溶け込んだ成分を飲む例もある[要出典]。

オーストラリアでは、キジラミ科(英語版)の昆虫が作る糖の被膜Lerp (biology)(英語版)を採取して食用とした[36]
食用にされる主な昆虫と常食する地域
カメムシ目油で揚げたタイワンタガメ、タイ山東料理のスジアカクマゼミの素揚げ2種
タガメ
主にタイワンタガメなどの大型の種を用いる。タイワンタガメの雄の成虫にはキンモクセイにも似た芳香があり、珍重される。ベトナムタイ(メーンダーと呼ぶ)、中国広東省(桂花蝉、クワイファーシムと呼ぶ)、台湾(田龜、ティエングイと呼ぶ)など。タイではすり潰したペーストが調味料として売られているほか、魚醤の香り付けに使われる例もあり、昆虫食文化に乏しい首都バンコクでも人気がある。


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