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昆虫食(こんちゅうしょく、英語: Entomophagy, Insect eating)とは、ハチの幼虫、イナゴなど、昆虫を食べることである。食材としては幼虫や蛹(さなぎ)が比較的多く用いられるが、成虫や卵も対象とされる。先史時代から人類は昆虫を食べ、現在もアジア、中南米、アフリカなど124か国で一般的な食品として約20億人が2000種類以上の昆虫を食べている[1][2][3][4]。昆虫食は、人間以外の霊長類を含む多くの動物に広く見られ、アリクイ、センザンコウなど、昆虫食が専門の動物だけでなく、キツネ、タヌキなどの雑食性の動物においても常に食べられている[5]。昆虫は動物性タンパク質が豊富であり、牛肉や豚肉に代わる環境負荷が少ない食べ物としても期待されている[6][7][8][9]。国連食糧農業機関(FAO)は、食糧危機の解決策として昆虫食を推奨し、世界経済フォーラム(WEF)も、気候変動を遅らせることができる代替タンパク源として注目する報告書を発表している[10][11][12]。
歴史市場で売られる食用昆虫。イナゴ、竹虫、蛹、コオロギ、サソリ、ガムシ、タガメ。(タイ、バンコク)昆虫食缶詰の自販機(上野アメ横)
昆虫食は世界の各地で行われ、中国の『周礼』「天官冢宰[13]」で「?醢」と呼ばれたシロアリの卵の塩辛で客をもてなしたとあり、ヨーロッパにおいても古代ギリシャや古代ローマでセミなどを食べたという記録が残っている。アフリカ諸国、南米のアマゾン、メキシコ、メラネシアなどの熱帯、亜熱帯地域などの多くの地域で常食されている。アフリカ北部などでは、しばしばサバクトビバッタが大発生により農作物を食い尽くされる蝗害が発生するが、こういう場合には、農作物の代わりにサバクトビバッタを緊急食料として食べ、飢饉の軽減が行われる。また、アジアにおいてもラオス、ベトナム、タイ、中国でタガメを食べたり、中国、東南アジアなどでセミを食べたりするように、一部の民族、または民族集団の一部が食べる例がある。日本においても同様で、群馬県、長野県、岐阜県、宮崎県などの一部地域において、地方の食文化として現存しているほか、土産物などとしても売られている[14]。2008年現在、はちの子、イナゴの缶詰はともに1トン弱、カイコのサナギ300キロ、まゆこ(カイコのガ)100キロ、ザザムシ300キロが加工、製造されているという記録がある[15]。文部科学省が定める「日本食品標準成分表2020年版」の肉類に、イナゴ佃煮とハチの子缶詰が記載されている[16][17][18]。
現代社会では、一部地域、民族を除いて共通的、日常的には昆虫は食べられていない。西洋世界の多くにおいては、昆虫食は嫌悪の対象や原始的な習慣とする考えが存在し、歴史的にはエスノセントリズムの対象となってきた[10]。西洋世界で昆虫食が定着してこなかった理由としては、他の家畜より魅力が少ないこと(例えば皮革や乳の源、労働力とならない)、温帯では昆虫の採集量が芳しくないこと、採集のみの不安定な栄養源であることから軽視され、農業の発展に伴い昆虫が害虫として忌避の対象にされてきたことが指摘される。現代の日本の生活様式においては一般的においしくない、気持ち悪いなどの心理的嫌悪が強い[19]。 ユダヤ教ではイナゴ・バッタ類をのぞき、およそすべて昆虫がタブーとされる[20][23][注 1]。(理屈では地を這う虫は不可、跳ぶバッタは可[24][20])。 イスラム教では一部学派を除き、昆虫食は基本的にタブー(ハラーム)の対象であるが、聖典ハディースに預言者ムハンマドがバッタを食べたとの記録があり、バッタは広くハラール食として許容されている[25][26][27]。 キリスト教もセブンスデー・アドベンチスト教会など特定の宗教・宗派によっては特定の種類を禁じている[要出典]。 近年では地域固有の食文化として積極的に見直されている例もある。中国では、昔の質素な食事を再現した都市部のレストランで昆虫がメニューに載っていることがよくある。雲南省では、訪れた観光客が昆虫食を食べてみる姿をよく目にする。タイの都市部では、調理済みの昆虫を屋台やレストランで観光客や都市部の住民に売っている光景がしばしば見られる。 SDGsの一環として昆虫食が推進されている[28]。EUでは2011年に新規輸入と区別するため在来の食用昆虫の種類を調べている[29][30]。また、昆虫を食用家畜として捉えた場合、少ない飼料で生育可能なことなどから、資源が限られる宇宙などでも得られる動物性食物として優れており、将来、人類が宇宙ステーションに長期滞在する際や火星などへ移住する際の食糧としての研究もされている[31]。
宗教的戒律
現代