旭川ラーメン
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旭川ラーメン(あさひかわラーメン)とは、北海道旭川市で提供されているご当地ラーメンである。
概要

札幌ラーメン味噌ラーメン函館ラーメン塩ラーメンに対し、旭川ラーメンは醤油ラーメンと言われることが多く、それを裏付けるかのように、半数以上の店舗で醤油味が売れ筋という調査結果がある[1]

旭川市は人口比のラーメン店数が多い地域でもある[* 1]
スープの特徴
Wスープ
Wスープの上層に多めの油が浮いている様子が確認できる旭川ラーメンの典型例スープ魚介類と動物系(豚骨鶏ガラ)を合わせてだしをとったWスープに醤油ダレを加えたものが主流で、65%以上のラーメン店がWスープを採用している[1]。一例を挙げると、あさひかわラーメン村で提供されているラーメンのうち、半数以上がWスープのラーメンを提供している[* 2]。Wスープが主流になった背景には、かつての旭川市では養豚業が盛んであった事が挙げられる。廃材の豚骨を活用する為に豚骨スープが考え出されたが、豚骨スープ特有の臭いを抑えて、更に風味を加えるために煮干や昆布などの魚介類を併用するようになったと言われている[2]。臭みをそのまま残した豚骨の白湯スープを軸に発展した博多ラーメンとは異なるスープになっている。また、旭川市は北海道の中心部にあり海とは無縁ではあるものの、古くから物流拠点として発展し流通網が発達していたため[3]、北海道各地で生産された多様な海産物を入手し易く、魚介類を昭和初期から容易に使用できたこともWスープが主流となった背景に挙げられる[4]。豚骨スープに関してはアイヌ文化の影響を指摘する資料があり、アイヌの人々が昔から食べていた「ソップ」と呼ばれる白濁した豚骨スープの食文化が受け継がれていたという説もある[5]。ソップは博多ラーメンにも影響を与えたとも言われている[6]
ラード
スープに多めのラードを入れることが旭川ラーメンの特徴の一つとして挙げられる。冬季に零下30度を下回る旭川市の厳しい気候を受けて、スープの上層に油膜の層を浮かべてスープ全体を覆うことで湯気があまり立たなくなり、スープを冷めにくくするためのアイディアがルーツであると言われている[2]。だし油・マー油・ねぎ油などの香味油や、苦味や香ばしさが際立つ焦がしラードを用いる店舗もある[7][8]
バリエーション
味噌ラーメンも人気が高い。スープは札幌ラーメンを旭川で受け入れられるよう試行錯誤された結果、濃厚でこってりしているものが多い[9]。辛味噌ラーメンを提供している店舗も多い[10]1988年にはらーめん山頭火が創業。山頭火のスープは博多ラーメンに近い白濁したもので、トッピングにキクラゲや小梅を使用するなど、昔ながらの旭川ラーメンとは大きく異なるものの、市民の間で人気となり[11]、のちに山頭火系と呼ばれるフォロワーも数多く現れ、現在では多様なラーメン店が出店するようになった。
麺の特徴

旭川ラーメンの麺の特徴を一言で言えば低加水縮れ中細麺である[1]

中細の縮れ麺を使用している店舗が53.2%と最も多く、次いで中太の縮れ麺が28.6%。全体では9割を超える店舗が縮れ麺を使用していて、ストレートの麺はあまり見られない[1]

加水率は25%?29%と低い[1]。加水が少ない縮れ麺は食感が硬めで歯切れが良く、小麦粉の香りが残り、茹であげた後もスープを吸収しやすい[12][13]。低加水率麺には、麺が伸びやすい欠点もある[14]

自家製麺を行なっている店舗もあるが、旭川市の製麺所が製造する麺を使用する店舗が8割以上を占める[15]
具の特徴

昔ながらの旭川ラーメンではねぎメンマチャーシューとシンプルであるが、近年は多様なラーメン店が出店しているため、その限りでは無い。また、旭川発祥の名物である塩ホルモン豚トロがチャーシューの代わりに用いられることもある[11]

観光客向けにホタテコーンなどの北海道特産物や、バターなどの乳製品を加えたラーメンもある。
価格帯

上記のように、豚骨・鶏ガラ・魚介・野菜など多くの素材を用いたスープと、低加水麺を使用したラーメンが旭川ラーメンの特徴と言えるが、そのため原材料のコストは高めで、一杯あたりの価格帯は他地域と比較すると高めとなっている[16][17]

旭川ラーメンのバリエーション

ラードの層が視認できる老舗(蜂屋)の醤油ラーメン

近年創業した店舗の醤油ラーメン

山頭火の塩ラーメン

山頭火系の例

山頭火系の例2

味噌バターラーメン

辛味噌ラーメン

歴史
戦前

旭川ラーメンの始まりには諸説ある。札幌ラーメンのルーツと言われている1922年(大正11年)創業の中華料理店「竹家食堂」が、1933年(昭和8年)に旭川で「芳蘭」と言う支店を出し中華麺文化が始まり、1936年(昭和10年)に、2015年まで営業を続けていた「八条はま長」と言う蕎麦屋で、ラーメンをメニューに掲載したと言う説も残されているが[13]第二次世界大戦などの影響もあり、一旦姿を消す。

概して戦前の旭川ラーメンは、札幌ラーメンの亜流的な位置づけであったとされる。ラーメンは「東京ラーメン」のようにスッキリとしたものであった。
戦後あさひかわラーメン村

戦後は、地元で独自の工夫をしたラーメンが広がり始める。戦後間もない1947年(昭和22年)にラーメン専門店として創業し現在に至るまで続いている「蜂屋」と、同年に屋台から始めた「青葉」の2店のスタイルが旭川中に広がっていった[13]。この頃から既にWスープや低加水麺などの旭川ラーメンの特徴的な要素が形作られている。

次いで1950年(昭和25年)に「特一番」が、1952年(昭和27年)には「天金」が創業し、ラーメン文化が徐々に市内へ浸透して行き、現在まで続く旭川ラーメンの源流となった。特一番は、旭川ラーメンとしては初めてチェーン展開を行なったと言われており、最盛期には10店舗存在した。現在も旭川市内で5店舗が営業を続けている[18]。また特一番の暖簾分けに「新特一番」や「味特」などがあり、東京にもチェーン展開を行うなど、当時の繁盛振りを物語っている。

1960年代後半から70年代前半にかけて、札幌ラーメンの影響を受けて旭川で味噌ラーメンを取り扱い始めた「よし乃」を皮切りに[9]、正油ラーメン以外の味を主力にする店舗が現れるなど、以降各地のラーメンの影響を受けつつ成長してきた。

1996年(平成8年)にあさひかわラーメン村が誕生[2]


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