日蝕
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「日食」のその他の用法については「日食 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
2006年3月29日トルコでの皆既日食2012年5月21日茨城県鹿嶋市で観測された金環日食日食をかなり簡易に描いた図。陰の頂点に当たる地域では皆既日食という天文現象が見られる。頂点の周辺(灰色部分)は部分日食が見られる範囲である。

日食[1](にっしょく、solar eclipse[1])とは太陽によって覆われ、太陽が欠けて見えたり、あるいは全く見えなくなったりする現象である。

日蝕と表記する場合がある。詳細は「食 (天文)#表記」を参照

すなわち新月の時に起こる。
種類皆既日食での影に入ったトルコとキプロス国際宇宙ステーションより、2006年3月29日

月と太陽の視直径はほとんど同じであるが[注釈 1]、月の地球周回軌道および地球公転軌道は楕円であるため、地上から見た太陽と月の視直径は常に変化する。月の視直径が太陽より大きく、太陽の全体が隠される場合を皆既日食(または皆既食、total eclipse)という。逆の場合は月の外側に太陽がはみ出して細い光輪状に見え、これを金環日食(または金環食、annular eclipse)と言う。場合によっては月と太陽の視直径が食の経路の途中でまったく同じになるため、正午に中心食となる付近で皆既日食、経路の両端では金環日食になることがあり、これを金環皆既日食(または金環皆既食、hybrid eclipse)と呼ぶが、頻度は少ない。皆既日食と金環日食および金環皆既日食を中心食と称する。

中心食では本影と金環食影が地球上に落ちて西から東に移動しその範囲内で中心食が見られ、そこから外れた地域では半影に入り太陽が部分的に隠される部分日食(または部分食)が見られる。半影だけが地球にかかって、地上のどこからも中心食が見られないこともある。

また日の出の際に太陽が欠けた状態で上る場合を特に日出帯食、逆に欠けた状態で日の入りを迎える場合を日入帯食(日没帯食)と呼ぶ。この場合、いずれも食の最大を迎える前と食の最大を過ぎた後に分類される。
原因黄道(黄色線)・白道(灰色線)。図で両方の交わる部分が交点で、上を降交点(月が天の北極側から南極側に移る)、下を昇交点(同じく、南極側から北極側へ)と呼ぶ。日食は、月と太陽が同時に交点又はその付近に位置した場合に起こる。

直接の原因は、地球の周囲を公転する月が地球と太陽の間に来て、月の影が地球上に落ちる事による。月の影に入った地域では、太陽が欠け、あるいは全く見えなくなる。日食が見られる場合と見られない場合を模式的に描いた図。左下と右上では、朔(新月)の時にちょうど地球と太陽の間に月が入っており、月の影が地球に達して日食となり、また逆に月が地球の影に入って月食になる。左上と右上では、朔になっても月が地球と太陽の間にないため、月の影は地球の上側(右上の図)や下側(左上の図)を通り、日食は起きない。月食も同様。

地上から見た太陽は、毎日昇っては沈む「日周運動」とは別に、黄道と呼ばれる仮想の軌道を1年で1周している[注釈 2]。太陽は明るいので目で見たのではわからないが、星座の間でゆっくり位置を変え、365.2422日で元の点に戻る。すなわち1日に角度で約1度動く事になる[注釈 3]。同じく月は、白道と呼ばれる仮想の軌道を27.3217日で1周する。地上から見ると、月の方がおよそ13倍も速く天球上を動く事になる[注釈 4]。ただし、月が太陽を追い越す時が朔すなわち新月であり、地球を挟んで月が太陽と180度の位置に来た時がすなわち満月であるが、朔から次の朔までの時間、つまり満ち欠けの周期は29.5306日である。月の公転周期27.3217日は朔望月の周期29.5306日と一致しないが、これは公転周期が宇宙空間(恒星)を基準に置いているためである。一方、地球は太陽の周囲を円に近い軌道を描いて公転しているため、月が朔の日から1周公転しても地上から見る太陽が黄道上を先行してしまっており、月が太陽に追いついて次の朔になるには2.2089日余分にかかる事になる。もし黄道と白道とが一致していれば、29.5306日ごとに起こる朔においては必ず月が太陽を覆い隠す、つまり月の影が地球上に達して日食が起こり、望には必ず月は地球の影に入って月食が起こるはずである。しかし実際には黄道と白道とは約5.1度の傾きでずれているため、朔の時(日月の合と言う)でも月が太陽の上や下を通過する場合や、望(日月の衝と呼ぶ)に際しても地球の影の外を通る場合が多い。日食が起こるのは、月が黄道・白道の交わる点つまり交点(月の昇交点・降交点)付近で朔となる時に限られ、月食も交点付近で望になる時に限られる。太陽を基準にすれば、太陽が交点付近にいる時に月が来て朔になれば日食が起こる事になる。

太陽が交点付近にある期間を食の季節と言い、日食はこの期間以外には発生しない。交点は2ヶ所ある、つまり昇交点と降交点が相対しているので、太陽が黄道を1周する間に日食が起こる機会が2度ある。ただし、交点は太陽による月への摂動のため、1年に19度ずつ後退しており、太陽が交点を出て再び戻って来る周期は346.6201日となる。これを「食年」と称するが、実際の日食や月食は約346日から347日周期(交点は2ヶ所あるので、起こるとすれば半分の約173日周期になる)では起こっていない。日食は朔の時にしか起こらないから、食年に最も近い日数となる12朔望月すなわちおよそ354日周期(交点は2ヶ所あるので、半分の6朔望月、およそ177日周期になる)で見られる[注釈 5]。表は、21世紀初頭の日食の一覧であるが、桃色・水色で区分したそれぞれの日食は、ほぼ354日周期で発生している事がわかる。

年月日(世界時)食の種類食の起こる地域備考
2007年3月19日部分食ユーラシア中央・東部
2007年9月11日部分食南アメリカ中部・南部、南極
2008年2月7日金環食南氷洋、南極半島
2008年8月1日皆既食北アメリカ北端、北極、シベリア、中国西部
2009年1月26日金環食南大西洋、南インド洋、インドネシア、フィリピン
2009年7月22日皆既食インド、中国南部・中部、奄美群島、南太平洋中部
2010年1月15日金環食中央アフリカ、インド洋、東南アジア、華北
2010年7月11日皆既食ニュージーランド北島洋上、南太平洋、南アメリカ南端日本時間では12日
2011年1月4日部分食ヨーロッパ、北アフリカ、中央アジア
2011年6月1日部分食グリーンランド、東シベリア日本時間では2日
2011年7月1日部分食南氷洋
2011年11月25日部分食南大西洋、南氷洋、オーストラリア南方
2012年5月20日金環食華南、日本、アリューシャン列島、北アメリカ日本時間では21日
2012年11月13日皆既食オーストラリア北部、南太平洋、南アメリカ西沖

※表のデータは、主として『理科年表 平成26年』[2]によった。

食年(346.6201日)と12朔望月(354.3672日)には7?8日もの差があるが、それでうまく日月が重なり、日食が起こるであろうか。太陽と月は共に30分前後の視直径であるから、ちょうど交点でなくとも、その前後の場所で出会えば食が起こり得る。その範囲は、条件により多少異なるが[注釈 6]、交点の前後15度から18度程度である。


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