日英包括的経済連携協定
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包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定
通称・略称日英EPA
署名2020年10月23日(東京)
発効2021年1月1日
言語日本語及び英語[1]
主な内容日英相互間の関税の撤廃、知的財産権(特許・著作権の保護期間等)等
関連条約日本・EU経済連携協定
条文リンク日英包括的経済連携協定(和文テキスト) - 外務省、UK/Japan: Agreement for a Comprehensive Economic Partnership - Foreign, Commonwealth & Development Office
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日英包括的経済連携協定[注釈 1](にちえいほうかつてきけいざいれんけいきょうてい英語: the Japan-UK Comprehensive Economic Partnership Agreement)とは、2020年10月に署名され、2021年1月1日に発効した日本イギリス[5]経済連携協定(EPA)[注釈 2]

日本法においては、国会承認を経た「条約」であり、日本国政府による日本語の正式な題名及び法令番号は「包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定」、令和2年条約第16号であり、英語での正式な題名は、”Agreement between the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland and Japan for a Comprehensive Economic Partnership”である。
署名までの経緯

2019年2月1日に日本とEUの間で、日EU経済連携協定(日EU・EPA)が発効した[6]。この時点では、イギリスはEUの加盟国であり、当然に日EU・EPAが適用された。しかしすでにEU離脱への手続が進行しており、離脱後に貿易自由化の結果を維持するためには日英の間で新たな協定を締結する必要がある。

その後イギリスは、紆余曲折をへて2020年1月24日にEUとの離脱協定を成立させ、2020年2月1日に離脱した。これを踏まえ2020年1月31日に、日本の財務省関税局は税関HPにおいて、「英国のEU離脱後(移行期間)における日EU・EPAの適用について[7]」と題する発表を行った。内容的には、従前の発表のとおりイギリス・EU間の離脱協定が発効したため、移行期間(この期間中は、第三国との間でEUが締結している国際約束を含むEU法がイギリスに適用)中は、日本に輸入されるイギリス産品については、日EU・EPAに基づく税率が適用されるとするものである。イギリス・EU間の離脱協定においては、移行期間は2020年12月31日までと規定されている。

法的には、移行期間中においては、日EU間の国際約束におけるEUにはイギリスを含むことが日EU間で合意され、2020年2月1日に外務省告示第25号(英国の欧州連合からの離脱に伴う移行期間中の英国に対する日欧州連合間の国際約束の適用に関する件)として公表された。

2020年2月8日に行われた第8回日英外相戦略対話において二国間で新たな経済的パートナーシップを迅速に構築していくことを改めて確認した[8]

2020年5月13日、イギリス政府は、イギリスの戦略的アプローチ(英語: UK-Japan free trade agreement: the UK's strategic approach)と題する文書を公表[9]し、交渉に臨む基本的な方針を明らかにした。

2020年6月9日、日本の茂木敏充外務大臣と、イギリスのエリザベス・トラス国際貿易大臣との間でテレビ会談が行われた。日本外務省は、「英国との新たな経済パートナーシップの構築のための交渉を本日立ち上げ、日英双方のビジネスの継続性を確保する観点からも速やかな合意に向け取り組むことで一致しました」と発表し、交渉が開始した[10]

イギリスのEU離脱後に、引き続きEUの法制度が適用される移行期間は、2020年12月31日[注釈 3]までであり、従って関税優遇の空白期間が出ないようにするためには、日英FTAを2021年1月1日に発効させる必要がある。日本では国会承認が必要なため、「日本側は今秋に想定される臨時国会に提出できるよう、7月中に交渉を終える日程を描く」との報道がされている[12]

2020年6月10日、日英間の経済パートナーシップに関する交渉立上げ後初めてとなる首席交渉官会合が新型コロナウィルス感染症をめぐる状況に鑑み、テレビ会議の形式で開催された[4]

2020年6月24日、日英間の経済パートナーシップに関する第2回首席交渉官会合がテレビ会議の形式で開催された[13]

2020年7月8日、日英間の経済パートナーシップに関する第3回首席交渉官会合がテレビ会議の形式で開催された[14]

2020年7月15日、日英間の経済パートナーシップに関する第4回首席交渉官会合がテレビ会議の形式で開催された[15]

2020年7月22日、日英間の経済パートナーシップに関する第5回首席交渉官会合がテレビ会議の形式で開催された[16]

2020年7月29日、日英間の経済パートナーシップに関する第6回首席交渉官会合がテレビ会議の形式で開催された[17]。会合の結果については「各分野で協議を更に加速していくことで一致」と発表され[17]、合意に達したとはされていない。

2020年8月3日、日英間の経済パートナーシップに関する第7回首席交渉官会合がテレビ会議の形式で開催された[18]。会合の結果については「各分野で協議を更に加速していくことで一致」と発表され[18]、合意に達したとはされていない。

2020年8月5日から7日まで、茂木敏充外務大臣は、英国のロンドンを訪問する。このなかで6日、7日の両日、日英間の経済パートナーシップ交渉会合が開催される[19]

2020年8月6日及び7日、ロンドンにおいて日本の茂木敏充外務大臣と、イギリスのエリザベス・トラス英国国際貿易大臣との間で、対面で協議が行われた[20]。協議の結果は「全24章中大半の分野で実質合意し、主要論点について認識の一致に至り、8月末までの大筋合意を目指すことで一致」と発表され[20]、完全な実質合意はされなかった。残された分野については正確な発表はないが、茂木敏充外務大臣の協議後の記者会見で「マーケットアクセスの問題、原産地の問題、相当詰めの議論ができた」とあること[21]から、この分野においていまだ実質合意がされていないことが示唆されている。

最後まで争点となっている品目は、イギリスからのチーズブルーチーズ)であると、英紙フィナンシャル・タイムズ電子版が、2020年8月10日に報道した[22]。ブルーチーズの関税はイギリス産のスティルトンは29.8%であるが、フランス産のロックフォールやイタリア産のゴルゴンゾーラなどEU産には24.2%が設定されており、差額が問題となった[23]

日本経済新聞電子版2020年8月26日は、「争点となっていた英国産ブルーチーズの輸入については、一旦MFN税率で輸入した後、日EUとの協定で定める低関税の枠に残分がある場合、差額を還付することで低関税とすることで決着する」(記事内容要約)と報道した[24]。更に「茂木敏充外相とトラス国際貿易相が28日にもテレビ電話で大筋合意」[24]とも報じたが、茂木敏充外務大臣は、28日11時37分の記者会見で「今日、私が何かをする、大きな動きは予定しておりません。」と発言し28日中の会談については否定した[25]。28日夕方の時事通信では「英国産ブルーチーズの関税優遇措置で追加協議が必要となり閣僚協議による28日の大筋合意を持ち越した」と報道した[26]。2020年8月29日の北海道新聞電子版は、争点となっているチーズについて「(EUの低関税の枠の利用を)英国は一時受け入れる構えを見せたものの、輸入枠のさらなる拡大を求め、折り合えなかった。日本側は英国に新たな低関税輸入枠を設定しない方針で交渉を続ける。」と報じた[27]


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