日本手話
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0}手話 > 日本の手話 > 日本手話

日本手話

使われる国 日本
使用者数?
言語系統日本手話語族韓国手話台湾手話と系統関係あり)
言語コード
ISO 639-3jsl
テンプレートを表示

日本手話(にほんしゅわ)、JSL(: Japanese sign language)とは、手話の1つ。文字を持たない言語である。伝統文化的手話・ろう者的手話[1]・慣習的手話ともいわれる[2]。日本において、ろう者の両親を持つろう者や、幼児期に一部の私学ろう学校に就学したろう者の言語である[3][4][5]
歴史的な記述

他の多くの手話言語同様、日本手話もまた文字を持たない無文字言語である。手話などの視覚言語は音声言語とは違い文字による記録が出来ないため、動画によって手話表現を記録できるようになったのが近年になってからであることもあいまって、日本手話に関する最古の記録を見出すことは現実的に難しい。

現在確認できる最も古い日本手話(の原型)の記録とされているのは、古河太四郎が1878年に開設した京都盲唖院に関するものである。そこでの教育は「それまで古河が実践してきた自然的身振りをもとにした手勢法(手真似)で行われ[6]」とあり、創立時の31名のろう生徒のコミュニティで、少なくとも日本手話の原型と言えるコミュニケーション方法が用いられていたことがうかがえる。

ただし、それ以前にろう者(聾唖者)の存在をうかがわせる記述や絵画資料から、手話がさらに古い時代に使われていた可能性も指摘されている[6][2]

その後、1923年の聾唖学校令以降に手話を使わない口話法が普及し、日本手話の「苦難の歴史が始まった」[6]。他の言語と同じような多様性(地域・世代に関連するものや言語接触の影響と思われるもの)を見せながら[7]、140年以上たった現在も、日本手話はろう者のコミュニティで維持されている。

台湾手話は日本手話から大きな影響を受けているが、他の手話からの影響も同時にあり、独自の発展を見せている[8]韓国手話についても同様の経緯があるが、日本手話の影響がどの程度あったかは不明であるとされている[9]。日本による統治(日本統治時代の朝鮮日本統治時代の台湾)の影響であると考えられている。これを支持する学者はこれらは同じ「日本手話語族」であると主張している[10]
言語学的な概観

日本手話は、日本語とは全く異なる言語学的特性を備えている。

(それに対して、日本語対応手話は、日本語の通りに口を動かしながら手話単語を並べるものであり、文法は基本的には(音声言語・文字言語の)日本語のそれと同様のものである[11])。

末森(2017)は、日本手話という用語に見られる「手話」は個別言語としての狭義の手話、日本語対応手話という用語の「手話」は手指媒体を用いる意思疎通手段を意味する広義の「手話」を指しており、この「手話」という用語の多義性ゆえに、日本手話と日本語対応手話をめぐる議論が「不毛なものになっている(p.260)」と指摘している。[2]

アメリカ手話については、聴者のジェスチャー・アメリカのろう者の手話表現・フランス手話が接触して生じたクレオールであると主張されている[12]。日本手話でも聴者のジェスチャー由来と思われる表現(OKなど)は散見されるが、少なくとも140年を越えるその歴史的な側面を扱った文献[6]では、他地域で確立された手話との重大な接触は報告されていない。

しかし、手話言語全般に関して、ジェスチャーがクレオール化して発生したものであるという趣旨の論考が広まりつつある[13]

日本手話は、手や指、腕を使う手指動作だけでなく、非手指表現(NMM[14]、NMs[7], NM表現[4]ともいう)と呼ばれる、の部位(視線、眉上げ・眉寄せ、目の見開き・細め、頬を膨らませたりすぼめる、口型や口の半開き、舌出し、首の傾きや首ふり、あご引き・あご出しなど)が重要な文法要素となっている。

語順はSOV型であるとされる[7][4]。主語または目的語が動詞を表す手の空間的位置で表される一致動詞[15]と呼ばれる動詞タイプがあり、それを手話の文法的な一致とみなすかについては異なる見解が存在する[4]

平叙文・疑問文・否定文・条件文など、音声言語に標準的にみられる構文が存在するが、その文法的特性は非手指表現によって示されることが多い[7][4]

また、手話特有の構文としてCL構文と呼ばれるものがある。CLとは「ものの動きや位置、形や大きさなどを、手の動きや位置、形に置き換え」[16]るものでありひとつの手話表現で音声言語では複数の文で表現される量の情報が表される。市田(2005)は、手話の図像的な形式がCLと呼ばれると述べている[17]

以前は、(音声言語文字言語の)日本語と異なる言語であることや、いわゆる音声言語でも文字言語でも(あるいは、口頭言語でも書記言語でも)ない、といったことを理由に、手話言語は音声言語を対象とする言語学とはまったく異なるアプローチで研究されるべきであるという主張もあった。しかし実際には、手話言語にも母語話者による容認性の判断を得ることは可能であり、他の自然言語と同じ手法を用いた研究がなされている[4]

たとえば似ている手話表現同士は「発音が似ている」ととらえられる。手話の「音」の要素を研究対象とする手話音韻論においては、手話の音素(おんそ、音の要素)は「手型」「位置」「動き」であり、音声言語と同等の弁別性が観察できる[7]。この3つに加えて「手のひらの向き」にも弁別性が見られるという指摘もある[4]
語彙のタイプ

他の自然言語同様、日本手話には特に語源を持たない語が多く存在する。例えば「わからない」「自然」「かまわない」などの手話表現は、見るだけで意味を推測することは容易ではない。

手話には文字がなく(無文字言語)、記録動画の作成が可能になったのも近年であるため、歴史言語学の手法などを用いて「語源」を見出すことは現実的に難しい。

手話表現の「語源」と言われるものの多くは、個人のコメントであったり、学習者の暗記を容易にするため人工的に考案されたものである。

ただし、手話言語の特性として、下記のように、表したいもの形状や性質を表すCL表現・ジェスチャー・指文字・数字を取り入れた手話表現も多くみられる。
表したい物(道具,食材,物体など)を取り扱っている様子(CL表現)が関連しているもの。

人のや動物の動きが関連しているもの

表したい物の形が関連しているもの

指さし・手で触れる動作が関連しているもの

手指を何かに見たてたもの(CL表現含む)

指文字が関連しているもの

漢字,マーク,デザインが関連しているもの

数の表現が関連しているもの

キュード・スピーチ
(英語版)[18][19][20][21][22]と関連しているもの

CL表現の組み合わせ

画像を用いた具体例
表したい物(道具,食材,物体など)を取り扱っている様子(CL表現)が関連しているもの

バイク。オートバイのハンドルを握り、右手でアクセルを操作している様子。

掃除。ほうきの柄を握っている様子。

化学:試験管の取り扱いから。

人や動物の動きと関連しているもの


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:84 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef