日本弁理士会
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日本弁理士会(にほんべんりしかい、英:Japan Patent Attorneys Association、略称:JPAA)は、弁理士法に基づいて1922年(大正11年)5月に設立された弁理士に関する法人であり、すべての弁理士に加入が義務づけられた強制加入団体である。経済産業省所管の認可法人であったが、2002年8月29日に特別民間法人となる。
概要

弁理士法(平成12年法律第49号)第56条は、日本弁理士会の設立及び目的等について以下のとおり定めている。

第五十六条 弁理士は、この法律の定めるところにより、全国を通じて一個の日本弁理士会(以下この章において「弁理士会」という。)を設立しなければならない。
2 弁理士会は、弁理士の使命及び職責にかんがみ、弁理士の品位を保持し、弁理士の業務の改善進歩を図るため、会員の指導、連絡及び監督に関する事務を行い、並びに弁理士の登録に関する事務を行うことを目的とする。
3 弁理士会は、法人とする。

日本弁理士会は、上記の目的を達成するために、会員である弁理士への研修や、産業財産権制度に関する研究及び普及活動を行うとともに、弁理士の登録に関する事務を行っている。

また、弁理士法第17条は、弁理士となるためには日本弁理士会に登録しなければならないと定めている。このため、全ての弁理士は日本弁理士会の会員である。

カタカナ表記、文語体の旧法(大正10年法)では、弁理士会という名称であったが、2000年(平成12年)に制定され、2001年(平成13年)に施行されたひらがな表記、口語体の新法(平成12年法、平成12年法律第49号)が日本弁理士会という名称に変更した。

日本弁理士会の会員数は、10,373(うち、弁理士(自然人)10,180、特許業務法人193)である(2013年11月30日現在)。2022年4月30日の会員数は、弁理士(自然人)11,634、特許業務法人327である[1]
沿革

1899年に特許代理業者登録規則が制定された[2]。1899年に最初に登録されたのは138名。

1909年に特許弁理士令(明治42年10月25日勅令300号)及び特許弁理士試験規則が制定された[2][3]。「特許代理業者」を「特許弁理士」と改称した[4]

1915年に日本特許弁理士会が設立された[2]。日本特許弁理士会は弁理士会の前身となる団体である。

1921年(大正10年)に弁理士法が公布され、「特許弁理士」という名称が「弁理士」という名称に変更した[4]

1922年(大正11年)に弁理士法が施行されるとともに、弁理士会が設立され、弁理士会会則が制定された[2][4]

1938年に弁理士は弁理士会に強制加入するように弁理士法が改正された[2]

2000年4月18日に制定され、2000年4月26日に公布された弁理士法(平成12年4月26日法律第49号)で弁理士会という名称が日本弁理士会に変更された。

組織[5][6]
総会

総会が日本弁理士会の最高意思決定機関である。総会は議決機関であり、会則を制定、改正する権限がある(会則90条1号)。直接民主制を採用しており、議決権は弁理士1人につき1個である(会則94条1項)。総会は定期総会と臨時総会に大別される(会則88条1項)。
定期総会

定期総会は毎年、5月末日までに開催される(会則88条2項)。例えば、令和2年(2020年)5月29日、金曜日、令和5年(2023年)5月26日、金曜日などに弁理士会館で定期総会が開催された。

第1号議案から第5号議案は、例年、下記のようになっている。

第1号議案 本年度執行理事の選任の承認

第2号議案 前年度事業報告の承認

第3号議案 前年度決算の承認

第4号議案 本年度事業計画の承認

第5号議案 本年度予算の承認
臨時総会

慣例として、通常、2月又は3月に臨時総会が開催される。
執行役員会

執行役員会は会長、副会長及び執行理事から構成される(会則69条1項)。執行役員会は執行機関であり、原則として、毎週、水曜日に開催される[7][8]

会長は1人であり、任期は2年。副会長は8人であり、任期は1年。執行理事は20人以内。会長及び副会長は選挙で選任される。これに対して、執行理事は選挙で選任されない。
日本弁理士会会長

1954年度(昭和29年度)以前、12名の理事から理事長が互選された。理事の任期は2年であり、毎年、半数が交代した[2]

1955年度(昭和30年度)以降、会長及び副会長という制度が導入される[2]

2006年度(平成18年度)までは会長の任期は1年であったのに対して、2007年度(平成19年度)から会長の任期は2年になった。

2007年(平成19年)4月から2009年(平成21年)3月まで中島淳

2009年(平成21年)4月から2011年(平成23年)3月まで筒井大和[9]

2011年(平成23年)4月から2013年(平成25年)3月まで奥山尚一[10]

2013年(平成25年)4月から2015年(平成27年)3月まで古谷史旺[11][12]

2015年(平成27年)4月から2017年(平成29年)3月まで伊丹勝[13]

2017年(平成29年)4月から2019年(平成31年)3月まで渡邊敬介[14]

2019年(平成31年)4月から2021年(令和3年)3月まで清水善廣[15]

2021年(令和3年)4月から2023年(令和5年)3月まで杉村純子[16]

2023年(令和5年)4月から鈴木一永[17][18]
日本弁理士会副会長

副会長の人数は変遷している[2]

1955年度(昭和30年度)から1959年度(昭和34年度) 2人、任期1年

1960年度(昭和35年度)から1966年度(昭和41年度) 4人、任期1年

1967年度(昭和42年度)から1987年度(昭和62年度) 6人、任期1年

1988年度(昭和63年度)から1991年度(平成3年度) 7人、任期1年

1992年度(平成4年度)以降 8人、任期1年
常議員会

常議員会は常議員及び外部常議員から構成される(会則75条1項)。常議員会は総会と同様に議決機関であり、総会に付する議案について事前に審議する(会則78条1号)。

常議員は60人以内であり、任期は2年。常議員は選挙で選任される。

常議員選挙は毎年あり、30人が選出される。常議員選挙については複数の選挙区があり、各選挙区に常議員の人数を割り当てるしくみがある。令和になってからは、関東選挙区が20人、関西選挙区が6人となっている。

外部常議員は5人以内であるが、2019年度以降、外部常議員は2人が選任されている。2022年度(令和4年度)及び2023年度(令和5年度)の外部常議員は高林龍、及び、田村善之[19][18]
監事会

監事会は監事及び外部監事から構成される(会則82条1項)。監事は10人であり、任期は2年。監事は選挙で選任される。選挙は毎年あり、定員の半数が選出される。外部監事は5人以内であるが、2019年度、外部監事は2人。
外部意見聴取会

外部有識者から意見を聴取する(会則73条)[20]。委員の任期は2年である[21]

令和4年度、令和5年度は下記の5人が委員に選任されている。

伊藤仁(元特許庁長官)

井上由里子(一橋大学大学院法学研究科教授)

部眞規子弁護士、前高松高等裁判所長官)

長澤健一(キヤノン株式会社専務執行役員、一般社団法人日本経済団体連合会知的財産委員会企画部会長、日本ライセンス協会会長、一般社団法人日本知的財産協会副会長)

渡部俊也東京大学未来ビジョン研究センター教授)

付属機関

日本弁理士会の付属機関として、研修所(会則148条)、中央知的財産研究所(会則149条)、知的財産支援センター(会則150条)、国際活動センター(会則150条の3)、広報センター(会則150条の3の2)及び知的財産経営センター(会則150条の3の3)が設置されている。
研修所

弁理士を対象とする研修を担当しており、研修には実務研修(新人研修)、継続研修及び特定侵害訴訟代理業務能力担保研修がある。

2018年に継続研修及び実務研修が始まった。2018年以前は弁理士登録前に実務研修はされておらず、弁理士登録後に実務研修をしていた。

所長は1人。令和元年度、副所長は11人[22]

令和元年度、所長は中川裕幸[22]
中央知的財産研究所


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