日本史_(ルイス・フロイス)
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日本史[1]
Historia de Japam[1]
フロイスの日本史
著者ルイス・フロイス[1]
発行日第一部のみ、ドイツ語版、1926年[1]
第二部のみ、ポルトガル語版、1938年[1]
ポルトガル国立図書館本全5冊、ポルトガル語、1976年-1984年[1]
ジャンル歴史書

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『フロイス日本史』(フロイスにほんし)、正式には『日本史』(にほんし、ポルトガル語: Historia de Japam)は、戦国時代末期の日本キリスト教の布教活動を行ったイエズス会宣教師ルイス・フロイスによる編年体歴史書
執筆・出版の経緯

1579年、イエズス会司祭ジョヴァンニ・ピエトロ・マフェイ(イタリア語版)はポルトガル国王エンリケ1世の命により、『ポルトガル領東インド史』の編纂を開始した。この時マフェイは、当時すでにインドと日本からの通信者として知られていたルイス・フロイスの事を思い出し、同年11月6日にイエズス会第4代総長エヴェラール・メルキュリアン(英語版、フランス語版、スペイン語版)への書状を出し、フロイスを布教の第一線から引かせ、ヨーロッパの後進が日本布教に赴く際の資料とするために日本でのキリスト教布教史を書かせるよう依頼した。総長メルキュリアンはこれを承諾し、インド管区巡察師アレッサンドロ・ヴァリニャーノに指令を出した。

1583年秋、フロイスは肥前国高来郡口之津ガスパール・コエリョからこの指令を受け取った。彼は以後、10年以上にわたって執筆を続け、時には1日に10時間以上の執筆を行ったという。

1584年には第1巻「日本総記」(現在では「日本総論」の目次を除き逸失)を書き上げ、1585年6月14日には『日欧文化比較』を肥前国高来郡加津佐で執筆。1586年天正14年)、日本史1549~78の部がおおむね完成した頃、コエリョと共に五畿内をまわり、大坂城豊臣秀吉に謁見するなどした。

1587年、秀吉がバテレン追放令を発布したが、フロイスら宣教師は日本を出てはいない。

その後フロイスは1592年まで日本で執筆を続け、同年10月9日にヴァリニャーノとともに日本を発ち、マカオに到着。この後1594年に第三部が完成した[注釈 1]。ところが、この時に原稿を検閲したヴァリニャーノは、自身が多忙なことや、あまりにも記事が膨大で本来の執筆趣旨に反する事を理由に、編集を加えて短縮することを命じた。だがフロイスはこれに応じず、「原型のままローマに送付させてほしい」と時の総長クラウディオ・アクアヴィーヴァ(英語版、イタリア語版、スペイン語版)あてに書簡を出している。

1595年、フロイスは日本に戻っていくつかの年報や報告書を作成した後、1597年に没した。彼の原稿はマカオマカオ司教座聖堂に留め置かれ、そのまま忘れ去られた。

1742年、ようやくポルトガルの学士院が同書の写本を作成して本国に送付した。

1835年に司教座聖堂が焼失した際に原本は失われたと思われる。写本も各地に散逸した。

後年に再度蒐集され、行方不明となった第1巻以外は20世紀以後に徐々に刊行されるようになった(詳細は下記参照)。
『日本史』の構成と特徴

研究により、『日本史』は以下のような構成によって成り立っていたことがわかっている。

第1巻

序文

日本六十六国誌 : 未発見

日本総論 : 目次のみ現存


第2巻

第一部 :
1549年(天文18年) - 1578年(天正6年)の記録


第3巻

第二部 : 1578年(天正6年) - 1589年(天正17年)の記録

第三部 : 1590年(天正18年) - 1593年(文禄2年)の記録

本文は現存しない「日本総記」と称される第1巻(序文・日本六十六国誌・日本総論から成る)、フランシスコ・ザビエルが日本を訪れてキリスト教の布教が開始された1549年(天文18年)から1578年(天正6年)までからなる第2巻、そして1578年(天正6年)から1589年(天正17年)までからなる第3巻から構成される。ただし、実際の第3巻は1594年(文禄3年)まで執筆されており、1589年(天正17年)以後の部分は加筆されたものと考えられ、この加筆部分を別の巻として扱う見方もある。

キリスト教の布教史としてのみならず、織田信長豊臣秀吉ら諸侯・武将の動向から庶民生活の実情、災害や事件などについて細かく描かれており[注釈 2]、一部に日本人に対する誤解やキリスト教的偏見が含まれているものの、優れた観察眼と情報蒐集の確実性が明らかにされており、日本史における重要な史料として高く評価されている。また日本語研究においても、日本の人名や地名のローマ字表記から当時の発音が分かる貴重な史料である[注釈 3]


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