日本再興戦略(にほんさいこうせんりゃく)とは第2次安倍内閣による成長戦略。2013年6月14日に閣議決定した。2014年、2015年、2016年と改訂されている。
2020年の日本経済再生本部廃止に伴い終了。 日本再興戦略 ―JAPAN is BACK―は、アベノミクスの「三本の矢」の「第三の矢」として日本経済再生本部によって名付けられた成長戦略[1]。産業競争力の向上を目的とし、以下の3つのアクションプランによって構成されている[1]。 2014年6月に閣議決定された[1]。 2013年版の3つのアクションプランそれぞれのKPIが明示され、施策の進捗確認と新たに講ずべき具体策が提示された[1]。 女性活躍推進や電力自由化などが生まれ、コーポレート・ガバナンスの強化によって、民間企業に「稼ぐ力」を取り戻させようとう動きは、日本国外の投資家などから高く評価された[2]。 「未来投資による生産性革命」として以下の3つを目標に、具体的な施策が提言された[3]。 施策は、生産性向上と地域活性化(ローカル・アベノミクス)の推進に大別される[4]。 これまでの成長戦略においては、地域活性化のウェイトは全体の政策に占める割合は小さかったが、2015版では大幅に地域活性化の政策が増えている[4]。地域活性化の基本的な姿勢としては「集約」と「ネットワーク[要曖昧さ回避]」が掲げられているが、列挙された具体策については、限定的な効果しか持たないと思われるものが多いため、効果については疑問の声もある[4]。 前年までの政策誘導では不十分だったとし、将来像や中期目標から逆算して具体的改革のロードマップを策定した[5]。 また、2017年度に予定していた消費増税を2年半先送りにすることも決定されたが、「2020年度に基礎的財政収支黒字化を目指す」目標はそのままであり、増税延期は目標達成の難易度を高めたと考えられる[6]。 2018年2月に了承された2017年度報告書によれば、日本再興戦略2016で主要施策に設定された134目標のうち、60は目標年次への積み上げが順調に行われており、「2020年に訪日外国人旅行者を4000万人」にする目標のように2017年推計で2869万人と達成ペースを85万人上回ったようなものもある[7]。しかし、54の施策では目標達成ペースを下回っており、一例として「農業生産者が利用する農地の割合を2023年に8割」とする目標では、2016年度末の時点で54%(達成ペースは58%)、「転職率を2018年に9%」の目標は2016年は8%(達成ペースは8.9%)となっている[7]。
日本再興戦略 ―JAPAN is BACK―
日本産業再興プラン日本の産業再生と雇用創出を目指す。
緊急構造改革プログラム(産業の新陳代謝の促進)
雇用制度改革・人材力の強化
科学技術イノベーションの推進
世界最高水準のIT社会の実現
立地競争力の更なる強化
中小企業・小規模事業者の革新
戦略市場創造プラン未来産業の育成を目指す。
国民の「健康寿命」の延伸
クリーン・経済的なエネルギー需給の実現
安全・便利で経済的な次世代インフラの構築
世界を惹き付ける地域資源で稼ぐ地域社会の実現
国際展開戦略日本経済の国際化発展を支援する。
戦略的な通商関係の構築と経済連携の推進
海外市場の獲得のための戦略的取組
我が国の成長を支える資金・人材等に関する基盤の整備
日本再興戦略改訂2014 ―未来への挑戦―
日本版コンパッショネート使用の導入
新たな保険外併用の仕組み「患者申出療養(仮称)」の創設
日本再興戦略改訂2015 ―未来への投資・生産性革命―
「稼ぐ力」を高める企業行動を引き出す
新時代への挑戦を加速する
個人の潜在力の徹底的な磨上げ
生産性の向上のための施策
コーポレート・ガバナンスの更なる強化
イノベーション・ベンチャーの創出
第四次産業革命
多様な人材の活用とその強化
地域活性化の施策
中小企業・事業者やサービス産業の生産性向上
農林水産業、医療・介護、観光産業の基幹産業化
官製市場の民間開放
日本再興戦略改訂2016 ―第4次産業革命に向けて―
ニッポン一億総活躍プラン[5]
2016年6月2日に閣議決定された。働き方改革と生産性の向上に取り組むことを柱する。非正規雇用労働者の待遇改善、最低賃金の引き上げ、高齢者雇用の促進、子育てや介護支援の充実といった政策が含まれ、以下のようなロードマップが策定されている。
2025年度までに希望出生率1.8を達成
2017年度末までに50万人分の保育受け皿整備
2025年度までに介護離職0達成
2020年代初頭までに介護施設50万人分整備
2018年度までに『同一労働同一賃金』実現の指針策定
「一億総活躍国民会議」も参照
関連項目
アベノミクス
日本再生の基本戦略
日本再生戦略
未来投資戦略 - 2017年に閣議決定された成長戦略
出典^ a b c d 蘇顯揚, 魏聰哲 編『東アジア情勢の変動とアベノミクスの影響』國立臺灣大學出版中心
^ 磯山友幸 (2015年7月3日). “ ⇒設備投資も官邸が指示? 安倍政権の成長戦略「改訂2015」”. 日経ビジネスONLINE. 2018年3月23日閲覧。
^ 伊藤隆敏 (2018年1月7日). “生産性を高められない日本の「盲点」
^ a b c 溝端幹雄 (2015年8月21日). “「人材力」を活かした生産性向上を目指せ