『花と竜』(はなとりゅう)は、1952年(昭和27年)4月から1953年(昭和28年)5月まで『読売新聞』に連載された火野葦平の長編小説である。 明治中期から太平洋戦争後の北九州を舞台に、著者の父である玉井金五郎(若松の仲士・玉井組組長)と妻のマンの夫婦が、裏切りやすれ違いを経験しながら家族の歴史を積み重ねていく大河小説である。ほとんど実名であり、沖仲仕の生活向上のために小頭聯合組合を結成しようと運動して、吉田磯吉の四天王と呼ばれた岡部亭蔵
内容
タイトルの「竜」は、金五郎が青年の客気で五体に入れた刺青であり、男としての虚栄心と詰まらない意地が、人生に拭えない影を落とすという自戒の徴である。周囲の誤解や無理解に挫けず、ひたむきに信念を貫く金五郎とそれを支えつづけるマンは、戦後に全てを失った日本において、裏切りや屈辱の境遇にあっても人としての品位を守ろうとする、玉井自身の理想を「花」としたものである。やや通俗的であるが、米国の占領から独立する日本への火野の願いを物語っている。 連載終了直後の1954年に藤田進主演で『花と龍 第一部 洞海湾の乱斗』と『花と龍 第二部 愛憎流転』の2部作として、東映で最初の映画化がされている。その後、1962年に日活で、1965年・1966年に東映で、1973年に松竹で映画化された。また、1963年・1970年にNET(現・テレビ朝日)で、1964年に日本テレビで、1992年にTBSでドラマ化されている。 なお、上述の1973年版では田宮二郎が栗田の銀五役で出演しているが、奇しくも田宮の自殺情報がマスコミに入ったのは日本テレビ(関東ローカル)でこの1973年版(第一部)を放送している最中であった。そして、日本テレビでもこの1973年版の放送中にニュース速報で田宮の自殺を報じることとなった。 花と龍 第一部 洞海湾の乱斗 1954年3月3日に『第一部 洞海湾の乱斗』、同年3月24日に『第二部 愛憎流転』が公開された。製作は東映。
映像化
映画
1954年
花と龍 第二部 愛憎流転
監督佐伯清
脚本池田忠雄
橋本忍
原作火野葦平
出演者藤田進
山本礼三郎
山根寿子
島崎雪子
音楽團伊玖磨
撮影西川庄衛
製作会社東映
公開1954年3月3日(第一部)
1954年3月24日(第二部)
上映時間135分(第一部)
122分(第二部)
製作国 日本
言語日本語
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キャスト
第一部・第二部
玉井金五郎:藤田進
般若の五郎:山本礼三郎
谷口(玉井)マン:山根寿子
お京、お葉:島崎雪子
大庭春吉:松本克平
友田喜造:佐々木孝丸
吉田磯吉:滝沢修
第一部
森新之助:山形勲
谷口林助:深水吉衛
谷口チエ:千石規子
清七:曾根通彦
おその:日野明子
田中光徳:立松晃
平尾角助:山野辺閃
江崎満吉:沢彰謙
永田杢次:明石潮
浜尾組助八:牧野狂介
愛妾おツタ:玉藻刈子
君香:星美智子
第二部
井上安五郎:神田隆
原田雪林:永田靖
玉井勝則:波島進
辻木要之介:船山汎
藤本親分:河村弘二
栗山銀伍:沢田清
中山:高木二朗
辻木:石島房太郎
辻木婦人:津路清子
唐獅子十郎:伊藤雄之助
スタッフ
監督:佐伯清
企画:マキノ光雄、栄田清一郎、兼松廉吉
脚色:池田忠雄、橋本忍
音楽:團伊玖磨
1962年