日本ボクシングコミッションにおける健保金問題(にほんボクシングコミッションにおけるけんぽきんもんだい)とは、同組織(以下、JBC)がプロボクサーのファイトマネーから徴収し、積み立ててきた「健保金」の使途をめぐる問題である[5]。この健保金は1957年7月以降[6]、選手が試合で負傷した際に治療費に当てるための特別な財源として、JBCが預かってきたものである[7]。日本のプロボクシングを独占的に統括するJBCはこの間、1978年3月7日に公益性を認められて財団法人となったが[6][8]、公益法人制度改革に伴い、理事会決議をもって一般財団法人化の方針をとり、2013年7月1日付で「一般財団法人 日本ボクシングコミッション」と組織名を変えて[9][10]移行法人となった。健保金残高は2013年6月末までは約1億円が維持されていたが、半年後の同年末には激減していたことが発覚し[5]、選手の所属するボクシングジムの会長らが組織する日本プロボクシング協会(以下、協会)は、JBCが2014年1月の時点で残高とする約5900万円を専用口座に入金させた[11][12]。本来の使途が守られていれば、2014年度の健保金残高は約1億1900万円であるべきところ[1]、JBCは協会側に対し、約5700万円と説明している[2]。JBC理事長は2015年に健保金の使途について「治療費以外の支出はしない」と約束したにもかかわらず[12]、同年8月にはJBCが健保金を訴訟費用の支払いに当てていたことを窺わせる発言をしており[13]、JBC統括本部長は協会側の追及に対し、2016年6月の残高を約2200万円と回答している[14][14][5]。
JBCは、文部科学省の指導により2008年度から健保金を収入として扱うようになり[1][6]、2013年7月1日付で移行法人になると同時に健康管理事業の制度変更を行った。