日本ボクシングコミッションにおける健保金問題
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健保金残高は2014年に約1億1900万円であるべきところ[1]日本ボクシングコミッション (JBC) は日本プロボクシング協会側に対し、約5700万円(グラフ中の黄色い矢印の先)と説明している[2]。2014年以降は正味財産の激減に加え、2年連続で多額の仮払金が発生しており[3]、仮払金の一部は法務局への供託金だというJBCの説明を考慮しても、2015年度の実質的な正味財産は約6300万円しか残されていない[4]

日本ボクシングコミッションにおける健保金問題(にほんボクシングコミッションにおけるけんぽきんもんだい)とは、同組織(以下、JBC)がプロボクサーファイトマネーから徴収し、積み立ててきた「健保金」の使途をめぐる問題である[5]。この健保金は1957年7月以降[6]、選手が試合で負傷した際に治療費に当てるための特別な財源として、JBCが預かってきたものである[7]日本プロボクシングを独占的に統括するJBCはこの間、1978年3月7日に公益性を認められて財団法人となったが[6][8]公益法人制度改革に伴い、理事会決議をもって一般財団法人化の方針をとり、2013年7月1日付で「一般財団法人 日本ボクシングコミッション」と組織名を変えて[9][10]移行法人となった。健保金残高は2013年6月末までは約1億円が維持されていたが、半年後の同年末には激減していたことが発覚し[5]、選手の所属するボクシングジムの会長らが組織する日本プロボクシング協会(以下、協会)は、JBCが2014年1月の時点で残高とする約5900万円を専用口座に入金させた[11][12]。本来の使途が守られていれば、2014年度の健保金残高は約1億1900万円であるべきところ[1]、JBCは協会側に対し、約5700万円と説明している[2]。JBC理事長は2015年に健保金の使途について「治療費以外の支出はしない」と約束したにもかかわらず[12]、同年8月にはJBCが健保金を訴訟費用の支払いに当てていたことを窺わせる発言をしており[13]、JBC統括本部長は協会側の追及に対し、2016年6月の残高を約2200万円と回答している[14][14][5]

JBCは、文部科学省の指導により2008年度から健保金を収入として扱うようになり[1][6]、2013年7月1日付で移行法人になると同時に健康管理事業の制度変更を行った。この制度変更の頃から、JBCは健保金の使途が無制限に拡大したとの独自の見解を示すようになり[15][6]、同制度変更自体については協会も了承したはずだと反論している[7]。しかし、実際には協会理事は決定後に報告を受けたのみで、討議や協議の機会は与えられなかった[16]。JBCは同年6月頃、同制度変更が協会の理事会で承認された旨、協会事務局長から口頭で報告を受けると、7月1日付で財務省関東財務局理財第3課に同制度変更についての書面を提出した[6]。JBCの評議員を務めていた日本プロボクシング協会役員・会長・前会長およびその下部組織である中日本・西日本・西部日本の各地区協会会長は同日付で、協会会長がJBC理事となり、協会前会長が留任したほかは、評議員を外れ[17][18]、JBCの財産の処分等についての議決権を失った[19]。同年8月には、一般財団法人化と同制度変更について協会執行部から報告を受けた協会員がJBCに直接抗議[20]。9月には協会員である20のジムが連名でJBCおよび協会に要望書を提出し、同制度変更を「不当な決議」として無効にするよう求めている[16]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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