日本の記念貨幣
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東京オリンピック記念1000円銀貨幣、表(左)と裏東京オリンピック記念100円銀貨幣、表(左)と裏

本項では、日本記念貨幣について解説する。

日本の記念貨幣は1988年(昭和63年)3月までは補助貨幣臨時補助貨幣)たる硬貨として発行され、それ以降は通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律に基づき「貨幣」として発行されているが、補助貨幣時代はもとより現在も本位貨幣ではない。その発行は閣議によって決定される。ただし、以前は特別法を制定して発行したこともある。通常発行の貨幣と同じく日本国政府財務省)が発行権限を有しており、造幣局に製造を行わせている。
歴史

日本での記念貨幣は、1964年(昭和39年)の東京オリンピック記念1000円と100銀貨幣が発行されたのが初めてである。2008年(平成20年)6月までに52種、2021年(令和3年)3月末時点では215種が発行されている。

下表では鋳造元(造幣局)のウェブサイト等での表記に倣い名称を記載するが、刻印上の表記とは文字が異なる場合がある(例:年号・年数について刻印では漢数字を用いる、「周年」でなく単に「年」とする、など)。なお1000円銀貨の発行に際しては後述のように特別法を国会で成立させた。

日本の記念貨幣の最高額面は10万円だが、これが額面と原価の差が大きかったために、大量に偽造されて大問題になった。その後、天皇陛下御即位記念10万円金貨や皇太子殿下御成婚5万円金貨が発行されたが、額面あたりの金の重量を増やしたほかシリアルナンバーが振られたケースに収納して販売された。長野オリンピック記念金貨以降は額面1万円が最高額となったが、全ての金貨および銀貨が額面以上の価格で販売されるプレミアム型記念貨幣となった。

日本ブラジル交流年及び日本人ブラジル移住100周年記念の500円硬貨は本来2008年(平成20年)3月に発行される予定だったが、ブラジルにおける日本人ブラジル移住100周年に関連する記念事業の開催日程等の事情を考慮したため6月に変更となり、また既に鋳造が完了していたにも関わらず、表面の図柄に予定していたサンパウロ州サントスの「日本移民ブラジル上陸記念碑」について著作権問題が発生し、急遽図柄を「笠戸丸とブラジル」に変更して鋳造し直し、2008年(平成20年)6月18日に発行された。硬貨が鋳造後に図柄を変更して発行される例は日本では初めてで、世界的にもイタリアの1000リレ硬貨の国境線問題で回収して再発行した例があるものの、極めて稀な事例である。この硬貨は日本の貨幣として英語以外の言語(ポルトガル語)で記念銘が表示された初めてのものである。

2022年(令和4年)現在、日本の記念貨幣で法令に基づく特別な措置によって通用停止になった(失効した)ものはなく、全種類法定通貨として有効である。

日本の記念金貨を製造する際に使用される金は財務省が保有している金地金を利用するが、記念貨幣の発行数が減少していることもあり、会計検査院からの指摘を受けて外国為替資金特別会計で一部を売却した[1]
鋳造上の特徴

1970年(昭和45年)の日本万国博覧会記念から1975年(昭和50年)の昭和天皇御即位50周年までの4種の100円白銅貨は直径及び重量が異なっており、最小(通常100円と同じ)の4.8gから12.0gまでのばらつきがあった。

500円記念貨幣も1992年(平成4年)発行の沖縄復帰20周年記念までは通常の500円硬貨よりも一回りサイズが大きかった。しかしそれ以降の500円記念硬貨は、中部国際空港開港記念(銀貨)と地方自治法施行60周年記念、天皇陛下御在位30年記念、2019年(令和元年)発行の天皇陛下御即位記念(いずれもバイカラー・クラッド貨)を除き、通常の500円貨幣と材質と重量が同じである。そのためこれらは自動販売機でも使用できることがある。ただし最新のイメージセンシングを行う自動販売機においては、コインの図柄が登録されているので、これに合致しない記念硬貨は認識されない。

2003年(平成15年)に発行された第5回アジア冬季競技大会記念1000円銀貨以降の1000円の記念銀貨は全て彩色を施したカラーコインで発行されるようになった。
根拠法

日本では、貨幣の発行根拠として支那事変日中戦争)勃発後に制定された臨時通貨法(昭和13年法律第86号)による臨時補助貨幣として発行されてきた。また、それ以前は新貨条例(明治4年太政官布告第267号)及び貨幣法(明治30年法律第16号)で規定された本位貨幣及び補助貨幣として発行されてきた。


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