日本の精神保健
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WHO World Mental Health Survey 日本調査
2002-2006疫学調査
[注釈 1]。生涯有病率12ヶ月有病率
気分障害全体6.5%2.3%
うち、大うつ病性障害6.2%2.1%
うち、気分変調性障害0.7%0.3%
不安障害全体9.2%5.5%
うち、特定の恐怖症3.4%2.3%
うち、全般性不安障害1.8%0.9%
うち、社会恐怖1.4%0.7%
うち、PSTD1.4%0.6%
物質関連障害全体8.5%1.5%
うち、アルコール乱用8.4%1.4%
うち、アルコール依存1.2%0.3%
うち、薬物乱用0.2%0.0%
うち、薬物依存0.0%0.0%
間欠性爆発性障害2.1%0.7%

日本における精神保健(にほんにおけるせいしんほけん、英語: Mental health in Japan)は、厚生労働省の所管であり、精神保健福祉法が根拠法である。OECDは「日本の精神医療制度はOECD諸国の中で、精神病床の多さと自殺率の高さなど悪い意味で突出している[1]」「日本の精神医療には緊急の高度を要する課題がある[2]」と報告している。しかし日本の精神医療は近年明らかに改善の努力が行われているともOECDは評価している[1]

また日本はOECD諸国の中で最も少子高齢化が進んでおり、世界のどの国も経験したことのない速度で人口高齢化が進行しているため[3]、それに伴う認知症への政策対応が急務であるとOECDは勧告している[4]
医療制度詳細は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」を参照

都道府県は精神保健福祉法に基づき、精神保健福祉センター(第6条)、精神医療審査会を設置する(第12条)。また都道府県立の精神科病院を設置するか(第19条の7)、厚生労働大臣の指定する適合条件に適した精神科を有する国立、都道府県立、もしくは地方公共団体立の病院を、その代替として指定しなければならない(第19条の8)。またナショナルセンターとして独立行政法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)が存在する。厚生労働大臣は申請に基づいて医事拘禁の権限を持つ精神保健指定医を指定することができる(第18条)。

都道府県および保健所設置市は、精神保健についての相談指導等を行わなければならず(第47条)、配置資格として精神保健福祉士(ソーシャルワーカー)が存在する(第48条)。また、精神障害についての正しい知識の普及のための広報活動等を通じて、精神障害者の社会復帰及びその自立と社会経済活動への参加に対する地域住民の関心と理解を深めるように努めなければならない(第46条)。

OECD各国との指標比較人口10万あたり
精神科医[5]人口10万あたり
精神保健師 [5]1000人あたり
精神病床数[6]入院費用に占める
精神疾患割合[7]60歳以上の
認知症罹患率[8]
日本11.1人106人2.69床10.36%6.1%
OECD平均15.6人50人0.68床9.38%5.5%

病床と入院患者数の推移(各年6月末時点)[9]全精神病床数入院患者数措置患者数措置率病床利用率
2000年358,597333,3283,2471.00%93.0%
2005年354,313324,8512,2760.70%91.5%
2007年351,762317,1391,8490.60%89.5%
2008年350,353314,2511,8030.57%89.1%
2009年348,129321,6811,7410.56%89.8%
2010年347,281311,0071,6950.55%89.6 %
2011年345,024306,064......89.1%

非自発入院

精神保健福祉法を根拠とし非自発入院の制度を持ち、インフォームドコンセントが成立しない場合は、資格を取得した精神保健指定医によって介入が可能である[10]

精神科への入院[10]

自発入院 - 任意入院

非自発入院

措置入院 / 緊急措置入院

医療保護入院 / 応急入院



地域保健OECD各国の人口10万あたり精神保健従事者数。
青は精神科医、赤は臨床心理士、橙は精神保健福祉士

精神疾患の可能性のある者を見かけたならば、誰でも、保健所を通して指定医診察・保護を申請することができる(第22条)。

また、警察官は、精神障害のために自身を傷つけ、又は他人に害を及ぼすおそれ(自害他害のおそれ)があると認められる者を発見したときは、取りあえず警察署、病院、救護施設等の適当な場所において保護すると同時に(警察官職務執行法第3条第1項)、直ちに、その旨を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない(第23条)。 検察官は、精神障害者又はその疑いのある被疑者又は被告人について、不起訴処分をしたとき、又は裁判が確定したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない(第24条)。

しかし、独居であり訪問や受診を頑なに拒否している事例など、保健所では介入困難な事例も多く存在している[11]。「責任能力」も参照
疫学2004年の神経・精神疾患における人口10万あたり障害調整生命年 (DALY)「精神障害#疫学」も参照

日本における精神疾患の患者数で、通院患者において2011年において多いものは、うつ病統合失調症である[12]。近年の外来において著しい増加がみられるのは、うつ病と認知症(アルツハイマー型)である[12]。ただし認知症の数自体は他と比較して多くはない[12]。1996年の約218万人から2008年の約323万人へと約48%増加した[12][注釈 2]

日本の入院患者数(2011年、千人)[13]総数0-14歳15-34歳35-64歳65歳以上
うち7
0歳以上うち
75歳以上
V .精神及び行動の障害282.31.115.6128.4136.610573.9
統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害174.10.29.797.366.54424.2
気分[感情]障害(躁うつ病を含む)29.10.11.911.515.512.59
神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害5.60.21.11.82.52.11.8
その他の精神及び行動の障害73.50.62.917.85246.338.9

日本の外来患者数(2011年、千人)[14]総数0-14歳15-34歳35-64歳65歳以上
うち
70歳以上うち
75歳以上
V .精神及び行動の障害221.29.241.7113.056.443.331.7
統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害60.60.211.539.49.35.53.0
気分[感情]障害(躁うつ病を含む)74.50.113.341.519.114.59.9
神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害47.41.012.022.012.39.16.2
その他の精神及び行動の障害38.77.85.010.215.614.212.6

自殺率


左:WHOによる人口10万あたり自殺率(年齢標準化)。赤は13以上、黄は6.5-13、青は6.5以下
右:G20各国の人口10万人あたり標準化自殺率。
自殺#メンタルヘルス問題」および「日本における自殺」も参照

2014年の10万人あたりの自殺率は20.9人であった[1]


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