日本の福祉
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OECD各国のGDPにおける社会的支出割合(公費および私費)[1]OECD各国のGDPにおける社会的支出割合(%、種類別)[2]日本の人口ピラミッド

日本の福祉(にほんのふくし、英語: Welfare in Japan)は厚生労働省が所管しており、2015年の社会的支出のGDP比は総純社会支出は23.5%、うち純私的支出は2.8%(義務的:0.4%、自発的:2.4%)であった[1]。2021年度日本の社会保障給付費は過去最高138兆 7,433億円に膨張しており[3][4]、そのうち高齢者関係は83兆4,322億円[5]で60.1%(内訳:年金56兆3,136億円40.6%、医療費:15兆 7,292億円11.3%)となっている[6]。別のデータではOECDの場合は、2020年で約36.0%(公的支出と義務的私的社会支出を合わせた時の社会保障支出全体に対する割合)[7]国立社会保障・人口問題研究所の統計では、2021年度は約34.1%であり[8]、日本の社会保障支出は65歳以上の高齢者に集中している[9]

日本で高齢者医療費増大した背景として、1960年代に東京の美濃部知事など革新自治体が全国に続々と誕生し、老人医療費無料化が彼等の支持獲得の材料にされて導入されたことにある。「予防健康管理」は顧みられなかった老人医療費無償化は社会的入院などを招き、病院サロン化を招いた。そして、高齢者の加入者が多い国民健康保険の財政が窮迫した。そして、1972年には2県を除いた都道府県が無償化を導入した。全国(残り2県)での導入を求める国民の声に押された日本政府は翌1973年に全国の高齢者医療費無料化にした[10][11]

また、高齢者分野を含めた全体の総純社会的支出のGDP比(2020年、自発的社会支出は2019年)は、公的および私的な社会的支出を合算した上で、直接税(所得税および社会保障拠出)、現金給付に対する消費の間接税、並びに社会的目的のための減税の影響も含んだ値である。それらの税を考慮しない場合は、公的支出(一般政府中央、地方政府、社会保険によって資金の流れがコントロールされる社会支出)は24.9%、私的支出(私的部門により運営される団体によって資金の流れがコントロールされる社会支出)は0.4%(義務的:0.4%、自発的:2.6%)である。

2021年度の社会保障給付額に対して、国民所得(NNI)395.8兆円[12] であり、国民所得比で35.1%となっている。これは国民1人当たりの社会保障給付費は110万5,500円、1世帯当たりで261万8,300円に相当する[13][14]

日本の福祉レジームについて厚生労働白書では「エスピン=アンデルセンは、日本の現状の福祉システムは、自由主義レジームと保守主義レジーム双方の主要要素を均等に組み合わせているが、いまだ発展途上であり、独自のレジームを形成するかどうかについては結論を留保している」と述べられている[15]。「日本の医療」および「日本の年金」も参照
領域

日本一般政府歳出(%, 2019年)[16].mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  社会的保護 (41.3%)  保健 (19.8%)  一般公共サービス (9.6%)  経済業務 (9.5%)  教育 (8.6%)  防衛・公共秩序 (5.6%)  環境保護 (2.9%)  その他 (2.7%)

日本における福祉とは、一般的には福祉六法やそれに派生・関連した政策を指すが、広義には狭義の社会福祉に加えて、社会保障公衆衛生の政策を含む(=公共の福祉)。かつての社会保障審議会の分類によれば、主として社会保険公的扶助・社会福祉・公衆衛生及び医療・老人保健の5部門に分れており、広義ではこれらに恩給、戦争犠牲者援護を加えている[注釈 1]

社会保険 - 医療保険年金保険・労災保険・雇用保険介護保険

各自が保険料を払い、各種リスクの保障をするというシステムである。原則として強制加入の相互扶助制度である。


公的扶助 - 生活保護

生活に困窮する者に、生活保護法に基づき国が最低限の生活の保障をし、自立を助けるシステムである。


社会福祉 - 老人福祉・障害者福祉児童福祉・母子福祉・公費負担医療

社会生活をする上で立場が弱かったり、障害者を援助するシステムである。


公衆衛生及び医療 - 感染症対策・食品衛生・水道・廃棄物処理

国民が健康に生活ができるように、外因病や生活習慣病の予防や早期発見を目指すシステムである。


老人保健(2008年4月1日より後期高齢者医療制度に)
日本における年齢別所得再配分(所得再分配調査)
青線は額面所得、橙線は再分配後の所得
OECD分類による項目一覧

日本の社会的支出(公的社会支出+義務的私的社会支出)
(OECD各国との比較、2020年)
[7]支出額GDPに
占める割合政府一般歳出に
占める割合
高齢者48兆7,975億円9.1%26.3%
遺族6兆4,199億円1.2%3.5%
障害者6兆6,020億円1.2%3.6%
保健55兆9,026億円10.4%30.1%
家族10兆7,536億円2.0%5.8%
積極的労働政策4兆202億円0.7%2.2%
失業1兆2,717億円0.2%0.7%
住宅6,048億円0.1%0.3%
その他1兆9,878億円0.4%1.1%
総計136兆3,600億円25.3%73.4%
(参考)OECD平均N/A21.5%51.3%

国立社会保障・人口問題研究所 2013による。
高齢 
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厚生年金:老齢年金、脱退手当金等

国民年金:老齢年金老齢福祉年金、外国人脱退一時金等

厚生年金基金農業者年金基金等:老齢年金等

介護保険:介護サービス等諸費、介護予防サービス等諸費

社会福祉:高齢者日常生活支援等推進費

生活保護:介護扶助

各種共済組合:退職共済年金

各種恩給

中小企業退職者共済等:退職給付金

社会福祉施設職員等退職手当共済制度:退職手当金

遺族


厚生年金:遺族年金

国民年金:遺族基礎年金、死亡一時金

各種共済組合:遺族年金、死亡一時金、埋葬料

戦争犠牲者:遺族等年金等

国保:葬祭諸費

生活保護:葬祭扶助

医薬品副作用被害救済制度:遺族年金、遺族一時金、葬祭料

生物由来製品感染被害救済制度:遺族年金、遺族一時金、葬祭料

公害健康被害補償制度:遺族補償費、遺族補償一時金、葬祭料


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