日本における救急車(にほんにおけるきゅうきゅうしゃ)とは、消防車やパトカーと同様の緊急自動車の一種で、車内に傷病者を収容し緊急走行で病院などの医療機関まで搬送する車両の事を指す。ドクターカーも救急車の一種である。
消防法施行令上の正式名称は救急自動車(きゅうきゅうじどうしゃ)。
現在は高規格準拠の3車種(トヨタ・ハイメディック、日産・パラメディック、札幌ボデー・トライハート)[注釈 1]が「高規格準拠救急自動車」または「高規格準拠救急車」として販売されている。 日本の救急車は以下の6つに大別され、所属している組織によって、配備の目的や車内の装備、管轄省庁などが異なる。
概要
地方公共団体(消防)が所有するもの
病院などの医療機関が所有するもの [1]
自衛隊が所有するもの [2] [3]
空港の検疫所が所有するもの
競馬場 [4]や大型サーキット・大型テーマパークが所有するもの(自衛消防組織 (防火対象物))
民間の大規模工場・発電所・石油コンビナートが所有するもの(自衛消防組織 (危険物))[5]、一部の個人所有[6]
日本の地方公共団体(消防)における救急自動車は総務省消防庁が管轄している。他省庁管轄の救急車と比べて出動件数が最も多い。
地方公共団体(消防)の救急車は、構造や設備が総務省消防庁により定められている[7]。例として、救急隊員3人以上及び傷病者2名以上を収容でき、四輪駆動車であること等が定められている。
普段一般道路を緊急走行している大部分の救急車は119番通報により出動した地方公共団体(消防)の救急車である。
日本の119番通報で出動する消防の救急車は傷病者の人種、年齢、国籍、納税の有無 を問わず無料で利用する事ができる。
しかし救急車を1台出動させるためには、約40,000?45,000円のコストが掛かると言われる[8] [9]。
緊急走行時は赤色灯の点滅と90dB以上のサイレンの吹鳴が法律で義務付けられている。警察のパトカーと違い、搬送される傷病者の家族などが乗った車両を赤信号で先導することは出来ない。
医療機関の救急車は、病院間の転院搬送や非常時の災害医療などに使用され、ドクターカーなどと同じく、厚生労働省が管轄している[10]。
自衛隊の救急車は防衛省が管轄し、通常時は駐屯地や基地内で発生した傷病者を医務室または近隣の病院へ運ぶために使われている[11]。
大規模災害などの際に地方公共団体の首長からの要請を受けて「災害派遣」として出動するのは1トン半救急車と呼ばれる車両で、大きな赤十字標章が付いたトラックのような外見であるが、関係法令に適合した 正式な日本の救急車の一つである[12]。
空港(検疫所)の救急車は、海外からの入国者・帰国者等が伝染性の高い危険な感染症に罹っていた場合(疑い例を含む)などに使用する。