日本の救助隊
[Wikipedia|▼Menu]

現在の日本においては、通常の救助活動消防が担当し、海難救助海上保安庁が担当している。大規模な災害や事故になるとこれに加えて警察陸上海上航空自衛隊も投入される。

さらに海外で大規模災害発生し政府が被災国の要請を受けた場合に、消防・警察・海保の隊員によって国際緊急援助隊救助チームを編成し国際協力機構(JICA)の調整の下で被災国に派遣する体制となっている。この救助チームは最高レベルの救助能力を持つヘビー級に認定されている。目次

1 消防

2 警察

3 海上保安庁

4 自衛隊

4.1 陸上自衛隊

4.2 海上自衛隊

4.3 航空自衛隊


5 脚注

6 関連項目

消防

消防では、全国の消防本部消防署等に救助隊が設置されており、さらに人口が10万人以上の地域には特別救助隊(通称:レスキュー隊)の設置を義務付けて、火災交通事故など日常生活の中で起こる一般災害から自然災害、河川・山間部で起こる水難救助山岳救助 、そして震災など大規模災害やNBC災害など特殊災害とあらゆる救助事案に対応している。

日本の消防救助隊は警視庁消防部(現在の東京消防庁[1])の神田消防署1933年に主に火災現場での救助活動を任務とする専任救助隊を設置し、1950年代から全国の一部地域で編成され始め、1964年横浜市消防局消防特別救助隊(通称:横浜レンジャー)1969年東京消防庁が麹町消防署永田町出張所に特別救助隊(愛称:東京レスキュー)を設置したのに合わせて全国の消防が、火災に限定されないあらゆる災害での救助活動を任務とする救助隊の設置を始めた。1986年になると消防法の改正により全国の消防に人命救助を専門とした特別救助隊と救助隊の設置が義務化された。またこの年には海外の災害の際に派遣される国際消防救助隊も発足し現在は国際緊急援助隊の救助チームの一員として海外の災害現場で活動している。

さらに1995年1月に発生した阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、同年6月に自治省消防庁(現総務省消防庁)では被災地の消防力のみでは対応困難な災害に際して都道府県の枠を超えて災害活動を行う緊急消防援助隊を創設した。

東京消防庁も阪神・淡路大震災を教訓に1996年12月に機動力と災害対処能力を備えた消防救助機動部隊(通称:ハイパーレスキュー)を発足した。この部隊には救急救命士重機資格者も含まれ災害現場で救助活動から活動に支障ながれきの撤去や負傷者の処置まで一連の活動を行うことが可能な自己完結型の部隊である。都内だけではなく国内の災害には緊急消防援助隊、国外の災害には国際消防救助隊として常に派遣できる体制をとっている。

また、第八消防方面本部消防救助機動部隊は、立川広域防災基地内に配置されており、同じく所在する東京消防庁航空隊のヘリコプターと連携した救助・救急活動にも対応している。さらに2016年1月に東京消防庁航空隊に空のハイパーレスキューである航空消防救助機動部隊(通称:エアハイパーレスキュー)を新設、2020年2月には平成30年7月豪雨(西日本豪雨)、平成30年台風第21号北海道胆振東部地震などの近年頻発する地震や豪雨などの自然災害に対応するためにぬかるみや急斜面でも走行できるバギーの「全地形活動車」やウニモグベースの「高機動救助車」、浸水した際に水深が浅い場所でも進める「エアボート」、情報収集する「ドローン」等を装備した即応対処部隊を新設した。

1997年には横浜市消防局が機動救助隊(通称:スーパーレンジャー)を設置した。この部隊を中核として大規模災害時には所轄の部隊も含め複数の部隊で救助機動中隊を編成する体制となっていたが、2008年にもう1つの高度な救助部隊で1975年に発足した本部直轄の特別消防隊(通称:特消(とくしょう))と統合され特別高度救助部隊(通称:スーパーレンジャー=SR)となった。

2001年には名古屋市消防局に後に名古屋市の特別高度救助隊に位置付けられる特別消防隊(通称:ハイパーレスキューNAGOYA)が発隊。

さらに総務省消防庁新潟県中越地震JR福知山線脱線事故などの教訓や新潟県中越地震の東京消防庁の消防救助機動部隊の活躍(長岡市土砂崩れ現場での男児救出)から、2006年4月1日に中核市消防本部等に高度救助隊を、特別区が連合する消防(東京都が該当)及び政令指定都市消防本部等に特別高度救助隊の設置を義務付けた。

これらも東京消防庁の消防救助機動部隊と同種の部隊であり各消防局は消防救助機動部隊「通称:ハイパーレスキュー」を参考に編成しているためにこれらの部隊には「スーパーレスキュー」や、「ハイパーレスキュー隊」など消防局それぞれの通称名が付けられている場合が多い。近年は南海トラフ巨大地震[2]首都直下地震などの発生が危惧されており設置基準でない消防本部でも自主整備で高度救助隊を編成する本部も増えている。

これらの部隊は大規模災害のみに出動すると思われがちだが通常は他の救助隊と同様に一般災害に出動する。また、化学救助や水難救助などの指定部隊とする消防や各部隊ごとに特定任務がある消防も存在する[3]

埼玉県では県内で地震による建物崩壊や列車脱線事故などの大規模災害が発生した際に県知事の指示・要請で出動し救助・救命活動を行う埼玉県特別機動援助隊(愛称:埼玉SMART)を編成する体制をとっている。この部隊は県下消防本部、災害派遣医療チーム:埼玉DMAT埼玉県防災航空隊で構成される。

さらに各地の消防本部には、 山間部や河川、湖、湾岸における救助隊として、山岳救助隊水難救助隊が設置されている。これらの部隊は一般の救助隊が兼任している場合が多い。また、一部の政令市消防局や東京消防庁、県では消防防災航空隊を編成し消防防災ヘリコプターによる救助活動を行っている。

なお東京消防庁では、山岳救助隊と第六消防方面本部及び第九消防方面本部の消防救助機動部隊がスイフトウォーターレスキュー(急流救助)に対応している。これはレジャー客が中州に取り残された玄倉川水難事故を機転としており、急流救助に対応できる知識・技術を持ち、専門の資機材を装備している。他県も同様に山間部やレジャー客が多い河川等を管轄する消防は急流救助に対応している。

また、化学兵器核兵器生物兵器放射能兵器等を使用したテロなどNBC災害に対応するため、東京消防庁には化学機動中隊第三消防方面本部消防救助機動部隊が創設されており、各地の消防もNBC災害の専門部隊を創設するようになった。

日本の消防救助隊は次の四段階構成になっている。なお、いずれ部隊も配置の基準を満たしていない自治体でも自主設置可能とされている。

区分救助資機材の基準車両の基準配置の基準隊員の構成
救助隊救助活動に必要最低限の資機材救助工作車又は他の消防車1台人口が10万人未満の地域人命救助の専門教育を受けた隊員5名以上で編成するように努める。いわゆる兼任救助隊。
特別救助隊救助隊よりプラスアルファの資機材救助工作車1台人口が10万人以上の地域人命救助の専門教育を受けた隊員5名以上
高度救助隊高度救助資機材電磁波人命探査装置、二酸化炭素探査装置、水中探査装置など一部の高度救助資機材は、地域の実情に応じて備える)救助工作車1台中核市もしくは消防庁長官が指定するそれと同等規模もしくは中核市を有しない県の代表都市を管轄する消防本部人命救助の専門教育を受けかつ高度な教育を受けた隊員5名以上


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:38 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef