日本の廃止された法令
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日本の廃止された法律(にほんのはいしされたほうりつ)では、法形式として法律が定められた明治時代から2022年8月24日現在までにおける、廃止、失効等により効力を失った法律をまとめた。法形式として法律であるものに限定し、法律の効力があるとされた緊急勅令ポツダム命令は含まない。なお、効力の停止された法律についてもこの記事で記述する。
法令の廃止及び失効並びに実効性喪失

法令が効力を失う形態として以下に記述するように、法令の規定により明白に行われる廃止及び失効と、明白な法令の規定によらない実効性喪失がある。
廃止

明治以降の日本における法制度では、法令を廃止するには同種または上位の法令に依らなければならない。つまり、ある法律を廃止するためには、その法律や他の法律の中に、法律を廃止する旨の条文が存在している必要があるということである。ただし形式上は命令であるが法律の効力を有する緊急勅令ポツダム命令による廃止は可能であり実例もある。また、政令省令(府令も含む)を廃止する場合も同様に、同種の法令か、その上位の法令によって廃止される。例えば、政令は法律の下位にあたるので、政令で法律を廃止することは出来ない。逆に法律は政令より上位にあるので、法律で政令を廃止することはできる。実例として道路交通法はその制定の際に、旧法である道路交通取締法に加えて、道路交通取締法施行令(政令)も廃止[1]している。ただしこれはかなり異例の措置であり、このときは、道路交通取締法では、運転免許制度は政令で定めるとしていたものを、道路交通法では法律で定め、その経過措置を規定する必要があったためである。また、A法に代わるB法を制定する際に、B法でA法を廃止する場合と、B法でA法の全部を改正する場合がある。B法でA法を廃止する場合はもとより、B法でA法の全部を改正する場合でもA法が消滅するので廃止と同じ扱いになる。
失効

時期を指定した立法の場合、上述のような廃止のための立法措置をせずとも、法はその対象期間が過ぎた後に自動的に失効する。具体的には「この法律は、○年○月○日限り、その効力を失う」という文言が入っているものが失効する法律である[2]。なお、よく使われる時限立法という語はマスコミ用語で、法律用語としては限時法(げんじほう)という。なお通常は、その法律に「この法律は〇〇年×月△日から効力を失う」と規定するが、他の法律で「B法は〇〇年×月△日から効力を失う」とする[注釈 1]場合がある。この場合は廃止規定と実質の差はなくなる。
実効性喪失

実効性喪失法令とは、法務省大臣官房司法法制部が行う法令の編纂において、廃止等の手続はとられていないが、1.日時の経過、2.関係事務の終了、3.規律対象の消滅等により、適用される余地がなくなった、もしくは合理的に判断して適用されることがほとんどないと認められるに至った法令のことである[3]
一覧

以下の一覧では、効力を失った法律について、法律の制定された順に題名、法令番号、廃止・失効の根拠、その法令番号を記載する。表の長さの便宜上、公布の年を10年単位で区分してある。廃止の根拠法令は、緊急勅令ポツダム命令があるため、法律以外の場合がある。廃止の根拠法令の題名は、題名の改題があった場合、廃止時点ではなく現在の題名になっている。なお廃止の根拠法令が複数ある場合については当該廃止法令の注釈を参照のこと。失効の場合は、失効の根拠条項(その法律自体の場合は、法律名を省略)を記載した。

この一覧は、国立国会図書館の日本法令索引のデータに基づいている。
1881年?1890年

法律名法令番号廃止根拠法令名法令番号
登記法[注釈 2]明治19年法律第1号不動産登記法明治32年法律第24号
登記法中特許意匠及商標ノ登記ニ関スル規定廃止法律明治32年法律第44号
船舶法明治32年法律第46号
公証人規則明治19年法律第2号公証人法明治41年法律第53号
市制明治21年法律第1号[注釈 3]市制明治44年法律第68号
町村制明治21年法律第1号[注釈 3]町村制明治44年法律第69号
陸軍治罪法明治21年法律第2号陸軍軍法会議法大正10年法律第85号
徴兵令明治22年法律第1号兵役法昭和2年法律第47号
議院法明治22年法律第2号国会法昭和22年法律第79号
衆議院議員選挙法明治22年法律第3号衆議院議員選挙法大正14年法律第47号
会計法明治22年法律第4号会計法大正10年法律第42号
海軍治罪法明治22年法律第5号海軍軍法会議法大正10年法律第91号
府県会議員選挙規則明治22年法律第6号府県制明治23年法律第35号
市制施行ニ付府県会議員ノ選挙及市公民ノ資格ニ関スル件明治22年法律第7号自治庁関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第82号
官立府県立師範学校卒業生ノ徴兵ニ関スル件明治22年法律第8号文部省関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第135号
国税徴収法明治22年法律第9号国税徴収法明治30年法律第21号
薬品営業並薬品取扱規則明治22年法律第10号薬事法昭和18年法律第48号
水利土功及学事ニ関スル会議存続ノ件明治22年法律第11号建設省関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第140号
市制中東京市京都市大阪市ニ特例ヲ設クルノ件明治22年法律第12号市制中東京市京都市大阪市ニ於ケル特例廃止法律明治31年法律第19号
地券廃止ノ件明治22年法律第13号自治庁関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第82号
市制町村制施行地ノ所得税ニ関スル件明治22年法律第14号実効性喪失
会計検査院法明治22年法律第15号会計検査院法昭和22年法律第73号
市制第百二十七条及町村制第百三十条ニ拠レル行政裁判手続ノ件明治22年法律第16号行政裁判法明治23年法律第48号
北海道開墾地地租地方税免除ノ件明治22年法律第18号大蔵省関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第121号
土地収用法明治22年法律第19号土地収用法明治33年法律第29号
特別輸出港規則明治22年法律第20号関税法明治32年法律第61号
田畑地価特別修正法律明治22年法律第22号自治庁関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第82号
北海道ノ内従来酒造税則ヲ施行セサル地方ニ之ヲ施行スルノ件明治22年法律第24号酒造税法明治29年法律第28号
海軍軍人軍属等犯罪即決法 [旧名称:海軍軍人軍属違警罪処分例]明治22年法律第25号昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く船舶保護法の廃止等に関する勅令昭和21年勅令第562号
屯田兵司令部ニ軍法会議ヲ設クルノ件明治22年法律第27号実効性喪失
議会並議員保護ノ件明治22年法律第28号刑法施行法明治41年法律第29号
国税滞納処分法明治22年法律第32号国税徴収法明治30年法律第21号
地方税及備荒儲蓄金滞納者処分ノ件明治22年法律第33号自治庁関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第82号
軍港要港ニ関スル件明治23年法律第2号昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件ニ基ク要塞地帯法廃止等ノ件昭和20年勅令第576号
地方税経済ニ於テ非常災害ノ為メニ要スル土木費借入ノ件[注釈 4]明治23年法律第3号明治二十三年法律第三号ニ関スル件明治23年法律第74号
地方税経済ニ於テ臨時土木費ノ為ニ起債及地租制限外賦課ノ件明治29年法律第62号
北海道及町村制ヲ施行セサル島嶼ノ国税徴収ノ件明治23年法律第4号国税徴収法明治30年法律第21号
裁判所構成法明治23年法律第6号裁判所法昭和22年法律第59号
重罪控訴予納金規則明治23年法律第7号重罪控訴予納金規則廃止法律明治33年法律第25号
水道条例明治23年法律第9号水道法昭和32年法律第177号
明治二十二年度会計特別整理ノ件明治23年法律第11号大蔵省関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第121号
通用ヲ禁止シタル貨幣紙幣ノ引換ニ関スル件明治23年法律第13号通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律昭和62年法律第42号
整理公債ニ関スル特別会計設置ノ件明治23年法律第14号整理公債ニ関スル特別会計設置ノ件廃止ニ関スル法律明治32年法律第14号
壱岐対馬電報料ノ件明治23年法律第16号壱岐対馬電報料の件を廃止する法律昭和29年法律第139号
作業会計法明治23年法律第17号印刷局特別会計法 [旧名称:専売局及び印刷局特別会計法:印刷庁特別会計法]昭和22年法律第36号
陸軍作業会計法明治23年法律第18号政府出資特別会計法外二十一法令の廃止等に関する法律昭和21年法律第21号
鎮守府造船材料資金会計法明治23年法律第19号海軍造船材料資金会計法明治35年法律第34号
官設鉄道会計法明治23年法律第20号帝国鉄道会計法明治39年法律第37号
中央備荒儲蓄金預金局預金郵便貯金郵便為替金郵便取立金特別会計ニ関スル法律 [旧名称:中央備荒儲蓄金預金局預金郵便貯金預所貯金郵便為替金特別会計ニ関スル法律]明治23年法律第21号大蔵省預金部特別会計法大正14年法律第13号
裁判所構成法施行条例明治23年法律第22号裁判所法昭和22年法律第59号
陸地測量標条例明治23年法律第23号測量法昭和24年法律第188号
紙幣交換基金特別会計法明治23年法律第24号大蔵省関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第121号
鎖店銀行紙幣交換基金特別会計法明治23年法律第25号
官立学校及図書館会計法明治23年法律第26号学校及図書館特別会計法明治40年法律第23号
陸軍給与ニ関スル委任経理ノ件明治23年法律第27号昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く軍用電気通信法等を廃止する勅令昭和21年勅令第564号
蹄鉄工免許規則明治23年法律第31号装蹄師法昭和15年法律第89号
民法財産編財産取得編債権担保編証拠編明治23年法律第28号民法明治29年法律第89号
公示催告手続ニ関スル法律 〔通称:公催仲裁法, 仲裁法〕[旧名称:民事訴訟法, 公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律]明治23年法律第29号民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律平成16年法律第152号
商法明治23年法律第32号商法明治32年法律第48号
米穀供給ノタメ中央備荒儲蓄金運用ノ件明治23年法律第33号農林省関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第137号
府県制明治23年法律第35号道府県制明治32年法律第64号
郡制明治23年法律第36号郡制廃止ニ関スル法律大正10年法律第63号
沖縄県及小笠原島地方費ノ件明治23年法律第37号自治庁関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第82号
水路測量標条例明治23年法律第38号水路業務法昭和25年法律第102号
市町村会議員選挙罰則明治23年法律第39号自治庁関係法令の整理に関する法律昭和29年法律第82号
衆議院議員選挙法罰則補則明治23年法律第40号


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