日本の年金
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年金手帳

日本の年金制度
(2022年 / 令和3年3月末現在)[1]国民年金(第1階)
第1号被保険者1,449万人
第2号被保険者4,513万人
第3号被保険者793万人
被用者年金(第2階)
厚生年金保険4,047万人
公務員等[2](466万人)
その他の任意年金
国民年金基金 / 確定拠出年金(401k)
/ 確定給付年金 / 厚生年金基金

日本の年金制度(にほんのねんきんせいど)は、年金制度である国民年金、および所得比例年金である被用者年金(厚生年金)が存在し、国民皆年金が達成されている。どちらとも老齢年金障害年金遺族年金の機能を持つ。

歴史的経緯として、被用者年金が先に制度化されており、これは所得比例拠出型の社会保険である。保険料は事業主と折半して拠出し、保険者には政府管掌の厚生年金共済組合管掌の共済年金が存在してきた。

さらに戦後となってから、政府管掌の国民年金が制度化された。これは定額拠出型の社会保険であり、国民年金法を根拠として1961年(昭和36年)の岸信介内閣で導入され[3]、当時の定年は約55歳であった。そして、1985年3月から60歳定年制が開始された。(定年法制定以前は法指定が無く、おおよそ55歳前後から退職勧告[4])。国民年金法が制定された1961年の男性の平均寿命は65.32歳、 女性の平均寿命は70.19歳だった。そのため55歳から支給された厚生年金は主に会社員男性に10年間、当時も今も65歳から支給されている国民年金は主に扶養されている妻らが5年間程度受給するような短期的な受給制度だった[5][4]。しかし、その後の日本では年金受給目当ての「寝たきり大黒柱」などの快復の見込めない高齢者延命[6][7][8]、平均寿命の伸びを受けて、制度改正をしないと年金制度がもたない状態になっている[9][10]。2013年の日本人男性の平均寿命80.2歳なものの健康寿命71.2歳で差9.02年。女性の平均寿命は86.6歳なものの健康寿命は74.2歳で差12.4歳。つまり、寿命は長くなったものの、日本人の寿命は男性9年・女性12年、寝たきりを含む不健康寿命を含んでいる[11]。日本政府は公的年金制度を残すため、自己で投信選定と運用させる私的年金iDeCoと併用させ[12][13]、厚生労働省は現行のような不健康な長寿ではなく、健康寿命を伸ばそうとしている[14]

2015年(平成27年)からは社会保障・税番号制度(個人番号, マイナンバー)が導入され、基礎年金番号との連携が2017年(平成29年)より開始された[15]。年金積立金は、2018年(平成30年)において159兆2154億円まで増加。資産額は過去最大となった[16]。制度開始時との保険料・物価・平均寿命との乖離、少子高齢化の影響で保険料だけでは賄い切れず、国民年金分の1/3は国庫負担から支出されているため、年金金額削減か保険料上昇かの方針が議論されている[4][17][18]。厚生年金分の2分の1は事業主が被雇用者分を負担して制度を支えている[18]。公的年金の実受給権者数は4,067万人であり、日本の人口の32.2%を占めている(平成30年度)[19]。「日本の福祉」も参照.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none}
制度構造日本の人口ピラミッド

就労形態別に各制度が分立していたものを、1985年の改正法施行により、国民年金を1階部分(基礎年金部分)、被用者年金を2階部分とする形で再編成し、更にその上に任意で加入する制度を設け、現行の日本の年金制度は所謂3階建てで構成されている。

原則として、20歳の誕生日を迎えてから日本年金機構より概ね2週間以内に「 国民年金加入のお知らせ 」の案内が届き[20]、60歳未満の者まで(在留期間が3ヶ月以上の外国籍の者を含む)には、国民年金への加入が法律にて義務付けられ、その者の就労形態等により第1号、第2号、第3号のいずれかの被保険者に分類される。また、60歳以降でも所定の要件を満たす者は国民年金に任意加入が可能である。また、被用者は勤務する企業や組織に応じて厚生年金への加入(原則、国民年金と二重加入)が義務付けられている。これらは世代間扶養のシステムとなっている[21]。「国民年金#被保険者」も参照

更に私的年金として、個人は国民年金基金確定拠出年金(個人型,iDeCo)に任意に加入できる[21]。企業では被用者のために各種の企業年金厚生年金基金確定給付年金(基金型・規約型)・確定拠出年金(企業型))に任意に加入して掛金を被用者との折半で拠出する。

これで、加入者には、資格期間を10年以上有して65歳に到達した場合には老齢年金が、所定の等級以上の障害者になった場合には障害年金が、死亡した場合には遺族に遺族年金が支給されるようになる。

その他にも、各個人は私的年金に任意に加入できる。

国民年金被保険者種別と給付の内容第1号被保険者第2号被保険者第3号被保険者
加入者日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者で、第2号被保険者・第3号被保険者でない者(第7条1号)

(具体的には自営業者、農業者、学生、無職、厚生年金の被保険者とならない労働者等)第1号厚生年金被保険者(第7条2号)

(厚生年金被保険者のうち、第2〜4号厚生年金被保険者でない者。具体的には、民間企業勤務の常勤、所定の要件を満たす短時間労働者)第2~4号厚生年金被保険者
(公務員共済の組合員・私学共済の加入員)
(第7条2号)20歳以上60歳未満である
第2号被保険者の被扶養配偶者
(第7条3号)
加入者数[22]1,505万人[注 1]
(男779万人、女726万人)3,911万人[注 2]
(男2,442万人、女1,470万人)447万人
(男274万人、女173万人)870万人
(男11万人、女859万人)
保険料月額16,410円(定額)
(2019年(平成31年)度)2017年(平成29年)9月以降、
標準報酬月額の18.3%で固定(労使折半)経過措置として、独自の保険料率を設定本人負担なし
(第2号被保険者の年金制度が負担)[注 3]
3階部分N/A各種の企業年金
(各企業が任意に導入)「職域加算」(平均標準報酬額×1.154/1000×加入期間)
一元化により「年金払い退職給付(退職等年金給付制度)」に変更N/A
2階部分国民年金基金(任意加入)厚生年金
1階部分基礎年金

公的年金の受給者数と給付種別(平成30年度)[19]受給種別総数老年給付障害年金遺族給付
国民年金3,529万人3325万人195万人9万人
厚生年金保険(第1号)3,530万人2,930万人43万人337万人
厚生年金保険(第2-4号,共済年金を含む)483万人376万人4万人102万人

所管

公的年金の所管は厚生労働省である。かつては社会保険庁が存在したが、運営事務は日本年金機構に移管され、残余資産は年金・健康保険福祉施設整理機構によって清算された[21]

日本における年金に関する特例法が成立されており、以下の特例法がある(五十音順)。


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