日本の大学野球
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第二次世界大戦前の東洋大学野球部

日本の大学野球(にほんのだいがくやきゅう)とは、日本における大学相当の教育機関に所属する野球部が主体となって行われる野球競技の一般総称である。

対象となる組織は、大学以外に高専(高等専門学校。但し、高専チームの部員登録対象は後半期学年に当たる第4学年・第5学年のみ[1])と短期大学、ならびに大学相当の教育を行う省庁大学校[2] の野球部である。また、6年制を採っている学部生(主に医歯薬関連学部)の場合は、生涯通年として最大4年間までの制限の下でその登録・在籍の対象になっている[3]
概略

元来、野球競技は、現在で言うところの硬式野球の事であり、準硬式野球軟式野球は日本で生まれた独特の派生競技である。従って、日本国内における大学野球も、硬式野球を前提に発展してきた。

野球自体は、古くはアメリカから導入されたスポーツであるが、日本における創成期の頃は、高等教育機関である、大学専門学校高等学校などの学生が積極的に行ったため、当初はエリート学校の学生が行う遊戯として始まり、他の学校や一般庶民に普及していった。人気の面でも第二次大戦後までは職業野球より高かった。

その野球競技が普及する過程で、その中から少年野球を中心にして広まった軟式野球が成年にも広まり、しだいに大学生の間にも広まっていき、やがてはその中からより硬式に近い感覚でできるものとして(使用球の開発とともに)準硬式野球が生まれた。

このように日本国内においては、野球競技が硬式野球・準硬式野球・軟式野球に細分化されて発達。また、競技の過熱化の影響から政府による野球統制令なども生まれた。しかし数年を経た後に、野球分野の指導者たちが政府の干渉を嫌って独自の連盟組織を立ち上げ強化する努力を行い、法案廃止にまで至るなどの歴史的経緯の結果、それぞれの野球連盟は他のスポーツ競技連盟の多くが加盟する日本体育協会などの統制組織には入らず独自の運営を行ってきた。これは、大学野球だけにとどまらず、ほかの各種の野球競技においても似たような情況を経てきており、こういった状況が現在の日本国内における野球競技の組織運営形態の複雑さに色濃く残ったものとなっている。従って大学野球においても硬式野球・準硬式野球・軟式野球は基本的には一つに統一されていないそれぞれ別管轄として運営されている。

短期大学チームも大学の一部として対象になるが、実際には各連盟毎に異なった加盟条件の細部規定があり、短期大学チームは認めていない連盟、単独チームは可能だが、短期大学部の学生を通常の4年制大学チームとして登録する事は禁止している連盟など様々である。高専単独チームも、チーム登録部員を4?5年生に制限する(後述を参照)事で短期大学単独チームと同列に参加を認めている連盟もある。

また、元来は男性が主体で行う競技とされてきた経緯があるが、近年になって女子野球(硬式・軟式)も新たに加わる形となって過渡期を迎えており、女子の競技者やチームをどういった形で受け入れていくかも、硬式・準硬式・軟式の分野でそれぞれ独自の方針に従って行われている。(一般社会人もまた別の規定などがある。)

以上の経緯から、同じ種別(硬式・準硬式・軟式)の野球部なら、どの野球連盟(後述を参照)傘下に加盟するかは、その野球チームの任意となる。学校単位の学生チームも地域の社会人野球連盟に登録することも可能であるが、協約により学生と社会人双方への重複加盟は禁止されている。但しその協約は、あくまで日本学生野球協会日本野球連盟との間のもので、軟式野球・準硬式野球・女子野球や医科学生総合体育連盟のような他競技連盟に参加しているチームには適用されない。

硬式野球チームにおいても、医科歯科系チーム(医科大学医学部単独、歯科大学歯学部単独)は、学制が新制に移行する以前から通常の大学・学部と履修年度数が違う事によるチーム事情の違いから、全日本大学野球連盟には所属せずに別活動を行っているチームの方が多い[4]

なお、医科歯科系単独チームの野球部の活動については、東日本医科学生総合体育大会西日本医科学生総合体育大会全日本歯科学生総合体育大会なども参照の事[5]

以下に加盟の選択肢例を説明する。
大学大学校の硬式野球部は、全日本大学野球連盟の傘下連盟と日本野球連盟・一般の部の2通りの選択が可能[6]。(2006年現在、社会人・一般の部所属は全国で2例有り。)

医科大学や医学部の硬式野球部は、全日本大学野球連盟の傘下連盟と医科学生総合体育連盟と日本野球連盟・一般の部の3通りの選択が可能[6]

歯科大学や歯学部の硬式野球部は、全日本大学野球連盟の傘下連盟と歯科学生総合体育連盟と日本野球連盟・一般の部の3通りの選択が可能[6]

短大の硬式野球部は、全日本大学野球連盟の傘下連盟と日本野球連盟の2通りの選択が可能[6]

高専の硬式野球部の4~5年生チームは、全日本大学野球連盟の傘下連盟と日本野球連盟の2通りの選択が可能[6]

女子硬式野球部は、全日本大学女子野球連盟と全日本大学野球連盟の傘下連盟と日本野球連盟・一般の部の3通りの選択が可能[6]

女子軟式野球部は、全日本大学女子野球連盟と全日本軟式野球連盟・一般の部と全日本女子軟式野球連盟・一般の部の3通りの選択が可能。

短大および女子について
一般的にはどの連盟も女子部員や女子チームも登録可能。但し、特に全日本大学野球連盟の傘下連盟については女子部員や女子チームの扱いの他にも短大チームや短期大学部生部員の扱いについても別に細かい規定があるので、詳細は当該関連記事を参照の事。
主な大会について

硬式野球・準硬式野球・軟式野球(女子野球も含む)ともに、リーグ戦は基本的に春秋の年間2シーズン制で行われているが、年間の最大タイトルとしてナンバーワンを争う全国大会(全国からの代表が集まる選手権大会)は概ね晩春?夏にかけて行われる。そのため、その大会の代表には春季リーグ戦の優勝校が当てられる。他の多くの大学スポーツ競技のリーグ戦の本番(年間最大タイトル)が秋季?冬季に開催されているのに比べて異質といえる[7]。秋季リーグ戦の優勝校による大会は、全国規模ではない場合(東西地域に限定)や、全国規模であっても選手権大会に比較してより小さい形で行われている。そういう背景から、かつては秋季のリーグ戦後の大会が存在しなかった時期や、リーグ戦の運営そのものが、春季には選手権大会に向けて総当り戦として実施しているにも拘らず、秋季にはトーナメント大会として実施していたり、同じ総当たり戦でも、春季は勝ち点制で行い、秋季は1回戦総当りや2回戦固定の勝率制にして会期を短くする工夫を行うリーグなどもあった。このように、大学野球界では、一部の伝統リーグや主要リーグを除いて[8]、長年、全国ナンバーワンのタイトルに繋がらない秋季大会(リーグ戦)は春季に比較すれば軽視してきた土壌がある[9]。秋季リーグ戦後に行われる大会の歴史が春季リーグ戦による代表を集めて行われる選手権大会に比べて浅いのは、こういった歴史的な背景によるもの。(後述の年間タイトルの節も参照の事)

以下に、主な大会を要覧する。
硬式野球

全国規模

全日本大学野球選手権大会 (主催:全日本大学野球連盟。6月中旬頃開催)

日本学生野球協会結成記念野球大会・大学の部 (主催:日本学生野球協会。1946年?1964年に3月下旬?4月上旬に開催。現在は消滅)

明治神宮競技大会野球競技・大学の部 (主催:大日本体育協会。1924年?1942年に開催。現在は消滅)

明治神宮野球大会・大学の部 (主催:日本学生野球協会。11月中旬開催。)

北海道・東北地区大学野球王座決定戦(明治神宮野球大会、北海道・東北地区5連盟代表決定戦)※代表決定戦としては1987年に創設。(1996年からは「王座決定戦」として実施)

関東地区大学野球選手権大会(明治神宮野球大会、関東地区5連盟代表決定戦)※2005年に創設

愛知・東海・北陸3連盟王座決定戦(明治神宮野球大会、北陸・東海地区3連盟代表決定戦)※2005年に創設。名称の変遷:北陸・東海地区3連盟代表決定戦(2005年)→中部地区大学野球王座決定戦(2006年)→愛知・東海・北陸3連盟王座決定戦(2007年)

関西地区大学野球選手権大会(明治神宮野球大会、関西地区5連盟代表決定戦)※1984年に創設(2002年までの名称は「明治神宮野球大会・関西地区代表決定戦」)

中国・四国地区代表決定戦(明治神宮野球大会、中国・四国地区3連盟代表決定戦)※1992年に創設

九州大学野球選手権大会(明治神宮野球大会、九州地区3連盟代表決定戦)※1994年に創設


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