日本の刑事司法
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日本の刑事司法(にほんのけいじしほう)とは、犯罪行為に対する日本国の刑罰権行使に関する諸制度の総称である。
歴史

戦前
[1]

明治維新後、西欧列強に対抗できる国づくりの一環として、不平等条約の改正のため、西洋を手本とした刑事司法制度の整備が進められた。当初はフランス法の影響が大きかったが、次第にドイツ法の影響を大きく受けるようになった。

1907年の刑法(現行刑法と基本的に同一)、1908年の旧監獄法、1922年の旧刑事訴訟法などの制定により刑事司法制度が整えられた。


終戦直後[2]

非軍事化・民主化を目標に、また日本国憲法の精神に合致するように、刑事司法制度も改革された。

1948年には現行の刑事訴訟法が制定された。アメリカ法の考え方が導入され、当事者主義的訴訟構造や起訴状一本主義などの原則が導入された。

終戦直後の社会の混乱に対応するため、薬物・売春などを規制する立法が行われた。

矯正の分野でも基本となる立法が行われ、今日の刑事司法の基礎が確立された。


1950年代から1960年代[3]

復興が進展し高度成長期に入ったことで交通事故が増加し、交通反則通告制度が導入された。

戦後のベビーブーム世代が少年になったことにより、少年犯罪が増加・激化した。

社会的な思想対立が激化し、学園紛争などへの対応が必要となった。

矯正の分野では、矯正の個別化の考え方が進められた。


1970年代[4]

高度成長期を終えた日本では経済および社会が安定し、犯罪の認知件数が減少したが、公害問題が深刻化し、公害を規制する刑事立法に重点が置かれた。

自動車の急速な普及に伴い、交通事犯の取り締まりが強化された。

過激派による凶悪重大事件が多発し、警察官の殉職なども相次いだため、火炎瓶の使用を規制する立法等が行われた。


1980年代[5]

都市化・消費生活の変化・価値観の変化などの社会の変化により少年非行が増加した。

社会が豊かになったことにより、治安情勢自体は安定した。

刑法の全面改正、少年法の改正、旧監獄法の改正などが議論されたが、意見対立が大きく、いずれも結実しなかった。


1990年代[6]

バブル経済の崩壊とグローバル化により組織犯罪への対処が重要となった。オウム真理教関係事件など、社会を震撼させた組織犯罪も発生した。

インターネットの登場などによりハイテク犯罪への対応も求められるようになった。

刑事手続法の分野においても、捜査手段の拡充や公判における証人に関する規定の追加などの改正が行われた。


2000年代[7]

社会構造の変化により、家庭や学校における教育機能に依存していた日本独特の犯罪抑止要因が機能不全を起こし始めた。これにより、車上狙い・万引き・空き巣などの件数が増加し、2002年には犯罪の認知件数は史上最悪の280万件以上となった。

核家族化を背景にオレオレ詐欺などの特殊詐欺が登場し、増加した。

司法制度改革が実施され、検察審査会による強制起訴制度の導入、裁判員裁判制度の導入、法曹養成制度の改革などが行われた。

犯罪被害者への配慮が意識されるようになり、犯罪被害者等基本法が制定された。

アメリカの同時多発テロを契機に、国際的なテロリズムに対する対応も必要となった。


2010年代[8]

いわゆるリーマンショックからの回復後は景気が回復基調を保ったこともあり、犯罪認知件数は減少し続けた。

初犯者の減少もあって再犯率が上昇し、再犯防止の重要性が上昇した。

インターネットのさらなる普及、SNSの登場などにより、インターネット犯罪への対策がますます重要となった。

少子高齢化の進行に伴いオレオレ詐欺などの特殊詐欺がさらに増加した。

2014年には少年法制の改革が行われ、少年院法および少年鑑別所法が制定された。

2016年に刑事訴訟法が一部改正され、取調べの録音録画の義務化、いわゆる日本版司法取引の導入、被疑者国選弁護制度の対象拡充などが行われた。

ISILアルカイダタリバンなどによる国際テロに対処するため、刑事司法分野における国際協力がさらに重要となった。


刑事政策の目的

日本の刑事政策・刑事司法制度の目的は、真実発見と適正手続の保障を両立させることにある。換言すれば、「捜査・公判を通じて事案の真相を解明することにより、真に罪を問うべき者を適正かつ迅速に処罰するとともに、無実の者を罰するという過ちを犯さないこと」である。刑事事件における真実発見の重要性はいうまでもなく、国民からの期待の大きいところでもあるが、真相解明の名の下に捜査機関が人権侵害をなすことはあってはならないのであるから、真実発見も人権保障の手段である適正手続のもとに行わなければならない。この相対立する要請を適切に調和させることこそが、刑事司法の目的である[9]。.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2021年8月)

包括的には社会の治安・法秩序の維持、個別的には犯罪者の再犯予防・矯正・更生を目的として、目的刑論応報刑論を混合した刑事政策を採用し、有期刑無期刑ともに社会復帰を前提とした処遇をしている。執行猶予付きの懲役・禁固の有罪判決を受けた場合は、刑の執行前の段階で刑の執行を一定期間猶予して、社会内で自発的な更生を促し、執行猶予を取り消されることなく猶予期間を満了した場合は、政府機関の刑の執行権は消滅し、刑は執行されない。

懲役・禁固の実刑判決を受けた場合でも有期刑・無期刑ともに仮釈放制度があり、有期刑は仮釈放か満期釈放かを問わず社会復帰を保障され、無期刑も仮釈放制度による社会復帰の可能性は保障(結果は保証しない)されている。死刑は唯一の例外であり、応報刑論を重視した処遇である。

裁判で有罪の実刑判決(犯行時14歳以上20歳未満の場合は少年院送致)を受けた受刑者は、刑務所(犯行時14歳以上20歳未満の場合は少年院)で、犯罪の個人的原因としての、物事に対する根本的な感じ方・考え方と、その現象としての感情や意思とその管理や表現、他者との対話や関係を形成する方法、などの問題点を矯正するための教育・訓練・医療により、問題点を除去または抑制して社会復帰し、社会復帰した人を更生保護制度で支援し、社会に再統合して社会の中で更生や贖罪することを目的としている。
刑事政策の目的と刑罰の関係

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2021年8月)

日本の刑法が規定する刑罰は、生命刑である死刑、自由剥奪刑である無期刑(懲役・禁固)と有期刑(懲役・禁固)と拘留、財産刑である罰金と科料であり、身体損壊刑はない。

無期刑に関して一部の報道機関、評論家、市民などが、無期刑と終身刑について、仮釈放があると無期刑で仮釈放が無いと終身刑と別種の刑罰と認識し、死刑と無期刑の罰の重さの差が大きいので、死刑と無期刑の間の刑罰として終身刑を採用すべきとの意見を主張しているが、前記のような認識は誤解であり、刑法・刑法学の分野では終身刑と無期刑は同義語・等価である。

無期刑も終身刑も国際的に標準的な表現では、英語表記では Life imprisonment(sentence) with parole、Life imprisonment(sentence) without parole、日本語表記では仮釈放の可能性がある無期刑・終身刑、仮釈放の可能性が無い無期刑・終身刑である。

仮釈放の可能性がある無期刑・終身刑でも仮釈放が許可されない場合は結果として死ぬまで服役になる。日本の刑法では有期刑・無期刑ともに仮釈放の可能性が有り、社会復帰を前提とした処遇である。ただし、有期刑・無期刑ともに、判決確定時の年齢と刑罰の重さ(有期刑の刑期または無期刑)の関係上、恩赦や刑の執行免除・執行停止などの例外的処遇以外の場合は社会復帰の可能性が低い事例もある。


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