この記事には複数の問題があります。改善
やノートページでの議論にご協力ください。日本の元首(にっぽんのげんしゅ、にほんのげんしゅ)では、日本国の元首について述べる。 元首とは国の首長、または国際法で対外的に一国を代表する機関であり、君主国では君主、共和国では大統領などである[1][2]。君主とは、伝統的には国家における唯一の主権者であり[3]、君主制の語源は「ただ一人の支配」(ギリシア語の「モナルケス monarches」)を意味する[4]。 『百科事典マイペディア』によれば、元首は国内的には統治権(少なくとも行政権)と、条約締結、外交使節の任免・接受、軍隊の統帥、外交特権(外国滞留中)を持つ[5]。 『日本大百科全書』によると、現憲法〔日本国憲法〕では元首を定める規定がないためさまざまな見解が主張されている[6]。政治学者の河合秀和が言うには、象徴天皇を元首とする説、実質的機能を鑑みて内閣ないしその首長たる内閣総理大臣を元首とする説、元首は不在とする説などがある[7]。田中浩・芦部信喜によると学説の多数は、内閣または内閣総理大臣が元首であるとしている[6][8]。 法学書『基本法コンメンタール 憲法(第五版)』には、次の解説がある[9]。 「明治憲法4条にいう「元首」は、国家有機体説に由来する概念をもって、唯一絶対にして統治権を総攬する君主を「元首」と定めたのである(明憲1・4・13など)。日本国憲法の天皇が、このような意味での「元首」でないことは、いうまでもない[9]。」 前掲書によると、「元首(英:the head of state, 独:Staatsoberhaupt)」という概念は君主制末期に、国家有機体説と結びついて発明された[10]。そこでは君主は国家の諸活動の源泉とされ、人間の諸活動の源泉である頭脳になぞらえて、「元首」と表現された[9]。「元首」という概念は、かつて生成期には「君主」と密接不可分であったが、そこから離れて共和制の「大統領」をも「元首」と考えるようになった[9]。そして徐々に、行政権の担い手としての性格が希薄化していき、「国家を対外的に代表する資格(具体的には、条約締結権を含む外交問題処理の権能)」を有することが「元首」の基準として用いられるようになった[9]。したがって、対外的代表権を判断基準にするならば「象徴天皇は『元首』に当たらない」と考えられている[9]。 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』および『大辞林 第三版』によると、日本国憲法下の「元首」概念は必ずしも明確でない[11][12]。法学書『憲法学教室II』は、そもそも国家における元首の必要性が「自明のことではない」と述べ[13]、法学書『憲法I』は、天皇を元首と呼ぶことの多くは「天皇の権威」の強化と政治的利用を意図していると述べている[14]。 前掲の『ブリタニカ』によれば歴史的には、元首とは「君主制の衰退に伴い,行政権の首長にして条約締結権その他の対外的代表権をもつもの」に、または単なる対外的代表権をもつものになった[11]。現行国憲法下では、内閣が条約締結権や外交に関する処理機能を持っており(憲法第73条2号・3号)、元首は内閣または内閣総理大臣だとも言える[11]。一方で、天皇は全権委任状・信任状・外交文書(批准書など)の認証や、外交官の接受を行っており(憲法7条5号・8号・9号) 、その限りでは代表権的機能を持っていて、諸外国からも「元首扱い」されているという[11][注釈 1][信頼性要検証]。 浦部法穂の法学書によれば、日本の「元首」は誰なのかといった議論は「意味のあるものとは思われない」とされる[13]。「元首」という語の定義が明確ではなく「はたして国家に『元首』というものが存在しなければならないのかどうかさえ、自明のことではない」ためである[13]。 「今日、一般には、「元首」という言葉は、とくに対外的に国家を代表するものを指して用いられる。この用法を前提としていえば、天皇は、日本の国を対外的に代表する地位にはないから、「元首」ではありえない。この点に関する限り、大方の学説は一致している。 … 「元首」そのものが存在しなくても一向にかまわない。[15]」 前掲書によれば、「元首」という言葉はそれ自体が権威的であり、《天皇は「元首」ではないが「元首としての要素」や「準元首的性格」を持っている》と主張することは憲法の明文規定を超え、天皇に元首的な権威を承認することに繋がる[16]。
概要
日本国憲法下の元首
学術見解
Size:159 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef