日本のヘイトスピーチ
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東京で行われた在日韓国・朝鮮人を敵視するデモ。掲げられたプラカードには「朝鮮人ハ皆殺シ」と書かれている。

日本のヘイトスピーチ(にほんのヘイトスピーチ)は、日本におけるヘイトスピーチ(憎悪表現)の実態[1]および歴史[2]などについての項目である。
定義詳細は「ヘイトスピーチ#定義と様態」を参照

ヘイトスピーチ: hate speech)とは、人種、出身国、民族宗教性的指向性別障害など[3][4]自分から主体的に変えることが困難な事柄に基づいて[4]個人または集団攻撃脅迫侮辱[3][4][5]、もしくは他人をそのように扇動する言論等を指す[4]日本語では「憎悪表現」[5][6][7][8]差別的憎悪表現」[9]「差別的表現、差別表現」[5]「差別言論」[10]「差別扇動」[11]「差別扇動表現」[12][13][14][15][16]などと訳される。
各々の語法

知恵蔵miniでは「人種や宗教、性別、性的指向など自ら能動的に変えることが不可能な、あるいは困難な特質を理由に、特定の個人や集団をおとしめ、暴力や差別をあおるような主張をすることが特徴である。」とされている[4]。つまり、「匿名化され、インターネットなどの世界で発信されることが多い。定義は固まっていないが、主に人種国籍思想、性別、障害職業、外見など、個人や集団が抱える欠点と思われるものを誹謗・中傷、貶す、差別するなどし、さらには他人をそのように扇動する発言(書き込み)のこと」を指すとされ、インターネットにおける書き込みも「スピーチ」に含むと解説している[4]。それに続けて「ヘイトスピーチを行う目的は自分の意見を通すことにあり、あらゆる手法を用いて他者を低めようとし」「表現に対する批判にまともに耳を貸すことはない。」「憎悪、無力感、不信などを被害者に引き起こし、相互理解を深めようとする努力を無にする、不毛かつ有害な行為」と解説する。また、同辞典2013年5月13日更新では「憎悪に基づく差別的な言動」であり、「人種や宗教、性別、性的指向など自ら能動的に変えることが不可能な、あるいは困難な特質を理由に、特定の個人や集団をおとしめ、暴力や差別をあおるような主張をすることが特徴」としている[4]

大阪市ヘイトスピーチ条例では、「特定の人種や民族の(1)社会排除(2)権利の制限(3)憎悪や差別意識をあおること??のいずれかを目的とし、人を中傷したり身の危険を感じさせたりする表現活動」と定義している[17]

朝日新聞は「特定の人種や民族への憎しみをあおるような差別的表現」[18]、「人種や国籍、ジェンダーなど特定の属性を有する集団をおとしめたり、差別や暴力行為をあおったりする言動を指す。」[19]、「特定の人種や民族、宗教などの少数者に対して、暴力や差別をあおったり、おとしめたりする侮蔑的な表現のことを言う。」などとしている[20]

毎日新聞は「特定の人種や民族などへの憎悪をあおるヘイトスピーチ」などと表現している[21][22][23]

読売新聞は「人種や国籍、宗教など特定の属性を有する集団を差別目的でおとしめたり、憎しみをかき立てたりするような言動」と定義、「国連の人種差別撤廃条約で各国に処罰などを求めており、規制する国もある。日本も同条約を締結したが、規制はない。」と解説している[24]

産経新聞は「特定の国籍や人種、民族などへの憎しみをあおる差別的言動」、「過激な言葉で敵対心を表現することから、「憎悪表現」と翻訳される。国連の人種差別撤廃条約は、日本を含む177カ国の締約国に処罰などを求めており、欧州では法律で規制している国も多い。ただ、日本は憲法が保障する「表現の自由」を重視する姿勢から、ヘイトスピーチ自体を取り締まる法律はない。」としている[25]。また、同紙の「正論」欄に「何が「ヘイトスピーチ」となるのか、どのような憎悪や差別感情の表出を「ヘイトスピーチ」とみなすのかについて、紛れのない判定基準が存在するわけではない。」とする猪木武徳の論説を掲載している[26]

法規制

2016年に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(別称:ヘイトスピーチ規制法、ヘイトスピーチ対策法、ヘイトスピーチ解消法)が成立施行された。しかし本法は理念法であって、禁止罰則規定はない。これは国際人権B規約(第20条第2項)が処罰までは要求していないことが理由とされる。

民法上の不法行為などに問われることもある。民法709条、民法1条(信義則)や民法90条(公序良俗)の判断基準として日本国憲法第14条の趣旨を考慮するのが判例の立場である(私人間効力における間接適用説)。

差別[27]人権侵害的言論を規制する意図を背景に、人権擁護法案などで諸々の検討がなされているが、言論の自由の侵害の危険性、国家による言論統制の危険性[28]、世論やメディアの行き過ぎた「自己検閲」の危険性[28]など、法案の合憲性、内容や運用方法、制度の必要性や危険性などを巡って議論となっている。


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