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日本におけるLGBTの権利
日本の位置
同性間の
性交渉1882年(明治15年)から合法
性自認/性表現性別適合手術後の法的性別変更は、2004年(平成16年)より合法
同性間の
関係性の承認国レベルでの法的保護はない。一部地方自治体の条例、要綱であり。
同性カップルによる
養子縁組の引受可
同性愛者を
公表しての
軍隊勤務国内法上、日本に軍隊は存在しない。
ただ、国際法的には事実上の日本の軍隊と認知されている自衛隊では可。
差別保護2023年(令和5年)より現行法
日本におけるLGBTの権利(にほんにおけるLGBTのけんり)では、日本におけるセクシュアル・マイノリティ・LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の権利について解説する。
日本において同性愛は違法ではないが、同性結婚やシビル・ユニオンはG7諸国で唯一いずれもも法制化されていない。
「日本文化や日本国内で広く信仰されている宗教(主に、神道・仏教)においても、歴史上LGBTへの敵意は存在しない」とする見方もある[1]が、その一方で2022年6月の「神道政治連盟国会議員懇談会」で、性的少数者(LGBT)に対する差別的な言説を展開する資料が配布された問題(自由民主党議員会合LGBT差別冊子配布問題)も発生している[2]。
一般社会においては、就職活動でもまだLGBTに対する差別や偏見が存在する[3]。
現在のところ、日本において同性間のリレーションシップを承認する法律はない(ただし2023年5月31日現在、地方自治体レベルで同性パートナーシップ宣誓制度を条例で制定する例は複数ある)。補完手段として、「同性間カップルが養子縁組を結ぶケースが昔からある」ともいわれている[4]。「日本における同性愛」、「日本のゲイ文化」、および「日本における同性結婚」も参照
概要「日本における同性愛」および「衆道」も参照
日本の伝統的な民族宗教である神道や、日本における仏教(日本の仏教)、儒教などは、同性愛や異性装を明示的に禁止しておらず、日本の歴史においてそれらは肯定的なものと捉えられていた。その後、明治時代初頭の1872年(明治5年)、西洋の政治・文化の影響などで男性同性愛の鶏姦(肛門性交)が違法とされたが(鶏姦罪)、8年後の1880年(明治13年)・1882年(明治15年)に制定された旧刑法からはこの規定はなくなった(後述)[5]。
欧米諸国では教義上同性愛を罪とするキリスト教や19世紀帝政ドイツの衛生思想の影響で、同性愛者が激しく弾圧されたことや、第二次世界大戦後のマッカーシズムの「ゲイ狩り」などへの反動としてゲイ解放が興った[6][7][注 1]。対して日本は、性的マイノリティ男性の迫害や逮捕などの歴史を持たず、政府などによる表立った差別もほとんどみられなかったという見方があるが、その一方で性的マイノリティ女性についての歴史的な資料が圧倒的に少ない。その背景には家父長制的な社会では抑圧を受ける側の声は表立ってあげられなかったことがある[8]。
そうした中で1971年(昭和46年)、東郷健が同性愛者であることを公言して選挙に初立候補した[4]。彼は同性愛者を中心とした社会的少数者の人権を守ることを目的とした政治団体「雑民党」を結成し、幾度となく選挙に立候補して同性愛者の権利と存在を訴えた[4](後述)。1970年代後半から1980年代前半にかけては、当時の若い世代のゲイ達が「日本同性愛者解放連合」「フロントランナーズ」「プラトニカ・クラブ」など、いくつかのゲイ団体を結成して活動した[4](参照)。1984年には、国際的LGBT団体「国際ゲイ協会(IGA)日本支部」(現ILGA、代表・南定四郎)が発足し[4]、1986年5月「第1回アジアゲイ会議」を開催した[4]。1986年3月には「動くゲイとレズビアンの会」(現・アカー)が結成され[9]、1997年(平成9年)には東京都による1990年(平成2年)に発生した「府中青年の家貸し出し拒否」を巡る裁判に全面勝訴した(後述)。1994年(平成6年)8月28日にはレズビアン・ゲイ・パレード(ILGA日本を中心とした実行委員会主催)が日本で初開催された[10]。1994年(平成6年)はまた、厚生省(当時、現・厚生労働省)が同性愛を治療対象から除外した世界保健機関(WHO)の見解を踏襲し[11]、文部省(当時、現・文部科学省)も指導書の性非行の項目から同性愛を除外した[12]。