この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
この記事に雑多な内容を羅列した節があります。事項を箇条書きで列挙しただけの節は、本文として組み入れるか、または整理・除去する必要があります。(2011年9月)
日本における衛星放送(にほんにおけるえいせいほうそう)では、日本の衛星放送について解説する。放送法に基づく放送のうち、基幹放送(同法に規定する衛星基幹放送)および一般放送(放送法施行規則に規定する衛星一般放送)がある。
衛星放送の目的は、試験放送開始前(ゆり2号aの打ち上げ時)、離島・山間部といった、人口希薄な地域における難視聴地域の解消(いわゆるサイマル放送)を掲げていたが、その後方針を転換し、地上波放送ではできないような専門性の高い番組を提供するなど、チャンネルを増やす目的の放送となった。
日本放送協会(NHK)のNHK-BSは、別途NHK受信料による衛星契約(申告制)が必要で、地上契約(旧:カラー契約)にBS受信料を加えることとなる。2019年度末現在、NHK衛星契約者数は約2,223万件である[1]。 従来は、使用する人工衛星により放送衛星(BS)を使用するBS放送と、通信衛星(CS)を使用するCS放送に制度上も分かれていた(人工衛星による区分参照)が、2002年に放送開始された東経110度CSデジタル放送は、アンテナ・受信機(チューナー)ともBSデジタル放送と共用可能なものがほとんどであることから、2009年2月に、放送法施行規則が改正[2]され、BSデジタル放送と東経110度CSデジタル放送を特別衛星放送として統合、普及政策が一本化された。また、それ以外の衛星放送は一般衛星放送と位置づけられた。 2011年6月には、放送法令改正により[3]、特別衛星放送は衛星基幹放送へ、一般衛星放送は衛星一般放送へと移行した。 用いられる人工衛星によって、放送衛星(Broadcasting Satellite)を使用するBS放送と通信衛星(Communications Satellite)を使用するCS放送に分けられる。 BSは国際的に「放送衛星業務」に優先的に割り当てられている周波数を用いるもので、全ての国が一定数の物理チャンネルを使用できるように、国際電気通信連合(ITU)において衛星の軌道位置と周波数の割当が国際プランとしてあらかじめ定められている。このため、衛星の打ち上げにあたって関係諸国との間で軌道位置や周波数の調整は基本的に不要であるが、一方で、割当数を増やすことは国際プランの変更が必要となるため容易ではない。日本を含む地域では、12GHz帯については11.7 - 12.2GHzが「放送衛星業務」に優先的に割り当てられている周波数であり、国際プランによって、東経110度での右旋円偏波の12の物理チャンネル(1 - 23チャンネルのうちの奇数のチャンネル)が日本に割り当てられている。 一方、CSは国際的に「放送衛星業務」に優先的に割り当てられている周波数以外の周波数を用いるものであり、基本的には先着順で衛星の軌道位置と周波数の割当が受けられる。このため、衛星の打ち上げにあたって関係諸国との軌道位置および周波数の調整が必要で、調整の結果によっては使用できる周波数や出力に制限を受けることもある[注釈 1]が、割当を増やすことはBSに比べれば容易である。日本を含む地域では12GHz帯については11.7 - 12.2GHz以外の周波数を用いることになるが、日本のCS放送では12.2 - 12.75GHzを用いている。 もともとは広範囲な一般視聴者向けの放送を行うBSに対し、CSは特定の受信者(主に企業や業者。業者の場合、一般にはケーブルテレビや集合住宅=マンション・アパートなど)の利用を想定していた。 1989年にはCSを利用して番組配信を行うことを目的としてスカイポートセンターが設立されたが、郵政省(当時)から「放送にあたるおそれがある」の指摘を受け個人向け番組配信については認められなかった。同年の放送法改正により委託放送事業者および受託放送事業者の規定が盛り込まれ、1992年にスカイポートTVおよびCSバーンによりCSによる「放送」が開始された。 なお1990年代前半からスターTV(現:STAR)など海外の衛星を利用して日本向けに番組配信を行う動きがあったが、これも郵政省が無線通信の傍受・窃用にあたるとしてケーブルテレビ等への配信が認められなかった(これについては1994年の放送法改正により外国の通信衛星を利用した不特定多数向けの音声・映像配信サービスを「「放送」に該当すると確認されたサービス」と定義し、確認されたチャンネルについては受信・再送信が解禁された)。 BSは、より広範囲への放送を行う目的で設計されているため、衛星に搭載されているトランスポンダの電波の空中線電力が、当初から高く(100W程度)設定されていた。一方CSは、前述の様に特定の受信者向けの放送を想定しており[注釈 2]、トランスポンダの出力はBSより低く(当初は30W程度)設定されていた。またBSは円偏波なのに対して、CSは受信アンテナが簡素になる直線偏波(N-SAT-110およびその予備衛星はBSと同じく円偏波)のため受信側の設備もBSとCSでは異なっていた[注釈 3]。 その後の放送法の改定などの影響もあり、現在の日本においてはBS放送、CS放送ともに実質的な違いは少ない。提供されているサービス面ではCS放送のほうがチャンネル数が多く、各分野に特化した番組(いわゆる専門チャンネル)が多数放送されている。 ケーブルテレビ局がおこなう放送サービスにおいては、BS放送が提供している放送番組とCS放送が提供している放送番組では次のような違いがある。BSもCSも衛星から送信される放送とケーブルを介しての放送とは同時送信(サーバ型放送による再送信以外は同時送信となる)であるが、BS放送では「再送信」という解釈になり、放送の内容を改変することは一切禁止されている。一方、CS放送の場合は放送法の中での解釈としてはCATV業者による「自主放送」という扱いとなり、CATV業者の都合や事情などにより一部の番組やCMの差替え・送信中止、複数チャンネルの組み合わせによるパートタイム編成(複数チャンネル間で放送番組を選択して組みあわせて1つのチャンネルとして提供する)などが可能になっている。番組中にCATV業者が地震速報テロップなどを挿入することも可能である。 衛星の名称とトランスポンダの利用割り当て状況(2010年9月現在)[6]は以下の通り(それぞれの利用内容についての詳細は後述の各当該節を参照のこと)。 ※1:表記のBSch番号(物理チャンネル)については後述の#物理チャンネル(BSデジタル放送)を参照。 ※2:正式名称はBSAT-3c/JCSAT-110R。普段はBSAT-3cとしてBS機能のみを使用し、JCSAT-110RとしてのCS機能は使用せず。 使用衛星:東経110度(BSAT-3a)(BSAT-1a)(BSAT-1b)(BS-3N) 1984年5月12日、NHKによる世界初の一般視聴者向けの営業放送へ向けた試験放送を開始。当初は「ゆり2号a」を使い、BS-11(衛星第1放送)、BS-15(衛星第2放送)での試験放送を予定したが、衛星のトラブル・故障が発生したため急遽BS-15を「衛星第1放送」として1chのみでの放送開始。その後補完衛星として打ち上げられた「ゆり2号b」の打ち上げ成功により1986年12月25日よりBS-11で「衛星第2放送」を開始。本来の2チャンネル体制での試験放送が行われた。1987年7月4日までは原則第1放送は総合テレビ(2チャンネル分割前は総合・教育混合)、第2放送は教育テレビの同時・または時差再配信で山間部や離島等の難視聴地域対策が主な目的であったが、1987年7月5日以後、第1放送は完全自主編成、第2放送は地上波の難視聴対策放送を継続した。BSアナログ放送終了後に表示されたテレビジョン画面 1989年6月1日にNHKがKuバンド(14/12GHz帯)放送衛星「ゆり2号a」および「ゆり2号b」を用いて本放送を開始した。当初、第2放送は地上波の再送信のみで衛星受信料は徴収していなかったが、本放送への移行に当たり、第1放送はニュース・スポーツを中心に終日独自編成、第2放送は映画・演劇・ドラマなどのエンターテインメントを軸とした独自の総合編成と、地上波の難視聴対策の放送を並列して行うことになった。BS-3N以前、地球や月の食のために放送休止があった(詳しくは後述を参照)。以後、日本の直接衛星放送はデジタル方式を含めもっぱらKuバンドを用いて行われている。ごく普通のNTSC映像と副搬送波をDQPSK変調したデジタル音声データをFM変調して送出されていた。更に高精細度テレビジョン放送であるハイビジョンの実験放送・試験放送をMUSE圧縮を利用して開始したが、これは2007年9月30日で終了している。 1991年4月1日には日本衛星放送(現:WOWOW)が民間で初の衛星放送を開始、またWOWOWと同じチャンネルのPCM音声のみを使用してラジオ放送を行う衛星デジタル音楽放送(St.GIGA。2003年にワイヤービーが合併、同年にWINJに営業譲渡、2007年に委託放送事業者認定取消処分)も同時開局している。
種類
制度上の区分
衛星基幹放送
アナログテレビジョン放送
BSアナログ放送(1989年6月 - 2011年7月。地上アナログ放送と共に終了)[4]
デジタルテレビジョン放送
東経110度BSデジタル放送 - 放送衛星システム(2000年12月 - )
東経110度CSデジタル放送 - スカパー!(旧:スカパー!e2、2002年3月 - )
衛星一般放送
CSアナログ放送(東経154度・162度CSアナログ放送、旧:CSバーン系 1992年6月 - 1998年3月、旧:スカイポート系 1992年4月 - 1998年9月《いずれも現:スカパー!プレミアムサービスへ移行》)
スカパー!プレミアムサービス(東経124度・128度CSデジタル放送、旧:スカパー!HD・スカパー!SD、1996年6月 - )
ミュージックバード(東経154度CS-PCM放送、1992年8月 - 2011年7月)
SPACE DiVA(東経154度CSデジタル放送、2005年4月 - 2024年2月)
SOUND PLANET、music AirBee!(東経144度CSデジタル放送、2001年5月 - )
AccessTV(東経144度CSデジタル放送、2005年2月 - 2012年?)
HOP TV(東経144度CSデジタル放送、2007年12月 - 2013年)
事業者による区分NHK放送センター西口側にあるBSアナログ衛星放送用アップリンク設備
認定基幹放送事業者
総務大臣の認定を要する。
日本放送協会(NHK)および放送大学学園がこれに含まれる。
民間事業者(NHKおよび放送大学学園以外の事業者)数の推移は、基幹放送事業者#民間事業者数の推移を参照。
衛星一般放送事業者
総務大臣の登録を要する。
民間事業者(同上)数の推移は、一般放送事業者#登録民間事業者数の推移を参照。
基幹放送局提供事業者
放送事業者ではないが、放送法の規制を受ける。
衛星基幹放送(2社) - 放送衛星システム、スカパーJSAT
2011年6月30日に放送法改正の経過措置[5]により、旧受託放送事業者から移行。
有料放送管理事業者(プラットフォーム事業者)
放送事業者ではないが、放送法の規制を受ける。
衛星基幹放送(1社) - スカパーJSAT(スカパー!)
衛星一般放送(1社) - スカパーJSAT(スカパー!プレミアムサービス)
2008年6月27日の総務大臣への届出による。
人工衛星による区分
衛星の種類
放送衛星(BS)「放送衛星システム」を参照
BSAT-3b(東経110度):BSデジタル放送(BS-1, 3, 13, 15ch ※1)
BSAT-3c(東経110度)※2:BSデジタル放送(BS-5, 7, 9, 11, 17, 19, 21, 23ch ※1)BSAT-3c/JCSAT-110RのBS機能。
BSAT-3a(東経110度):予備衛星。
通信衛星(CS)「スカパーJSAT」を参照
N-SAT-110(東経110度)※3:スカパー!(CS1/CS2ネットワーク)、i-HITS(CATV向け番組配給通信)、放送以外のサービス(通信サービスなど)
JCSAT-110R(東経110度)※2:BSAT-3c/JCSAT-110RのCS機能。N-SAT-110の予備衛星。
JCSAT-2A(東経154度):SPACE DiVA
JCSAT-3A(東経128度):スカパー!プレミアムサービス(パーフェクTV!サービス)、放送以外のサービス(通信サービスなど)
JCSAT-4B(東経124度):スカパー!プレミアムサービス(スカイサービス)、放送以外のサービス(通信サービスなど)
JCSAT-RA:予備衛星。原則として東経126度で待機し、経度±2度にあるスカパー!使用衛星付近の軌道へ遷移しやすくしている。
SUPERBIRD-C2(東経144度):SOUND PLANET、その他の放送サービス、i-HITS、放送以外のサービス(通信サービスなど)
※3:SUPERBIRD-D/JCSAT-110の別称を持つ。
アナログによる衛星放送
BS放送
Size:356 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef