方位
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「四方」はこの項目へ転送されています。富山市の地名については「四方 (富山市)」をご覧ください。
十二支の方位盤(大阪天満宮で撮影)東西南北の案内(阪急京都河原町駅

方位(ほうい)とは、ある地点における水平面内の方向を、基準となる一定の方向との関係で表した物。または、基準となるべき幾つかの方向に付けた名称である。方角(ほうがく)もほぼ同義である。
概説

方位の基準には真の子午線が用いられ、この真の子午線と物標と観測者とを結ぶ線との交角を真方位と呼ぶ[1]。また、このとき観測点の位置を中央と呼ぶ。

平面上では、西4方向を基準として、周角を8等分、16等分した物が用いられる。

立体上では、西6方向が基準である。

例えば観測者がある物標に正対した状態において、観測点と物標とを結ぶ直線から右へ22°30′の角度で観測点から北方向への子午線が交差しているとき、その物標は観測者から見て北北西の位置に存在することになる。
方位の測定

方位の測定には方位磁針が用いられる。ただし、方位磁針の示す北は真北ではなく磁北であり(真北と磁北との差を偏差あるいは偏角と呼ぶ)、磁石の針が指し示す南北を通る線を磁気子午線というが、この磁気子午線と物標と観測者とを結ぶ線との交角を磁針方位と呼ぶ[2]

さらになどで現実に使用されている方位磁針は船内の鉄器などの設備や構造による磁気作用を受けているために磁極の方向(磁気子午線)とも差がある(この差を自差と呼ぶ)。この実際に方位磁針(船内の羅針儀など)が指し示している南北線と物標と観測者とを結ぶ線との交角を羅針方位と呼ぶ[2]

これらの偏差や自差などを加減することによって羅針方位から真方位を求め、また、真方位から羅針方位を求めることを方位の改正(法)と呼ぶ[3]

現代の地図では原則として北を上とする。ただし、壁や床に対し固定された案内図などでは、設置された方角に一致させることが多い。なお、方位を補正するため、地形図には磁針方位が数字で記されており、また、海図にはコンパス図(コンパスローズ)が描かれ真方位と磁針方位の差を容易に知ることができるようになっている。
平面における方位
方位の表現
360°式

平面上では、北を基準とした角度で表現し、値を読み上げる方式が多く用いられる。この方式では、北を0° = 360°として時計回りに、東を90°、南を180°、西を270°とする、このように決められた水平面内での角度を方位角と呼ぶ。

航空機や船などが針路を指定する場合や、軍用機や艦艇が敵のいる方向を指定する場合にも使われる(250度の進路をとるならば「方位 2-5-0」)。
90°式

天文学測量で、正確な方位が必要なときは、東西南北を基準とし、その基準から時計回りの方向への差を角度で表す。北28度東 (N28E)・南15度西 (S15W) のように角度で表す方法である。
点画式

方位北西北北西北北東北東
西北西東北東
西
西南西東南東

南西南南西南南東南東

点画式は円周を32等分する方位の表現形式である。まず、基準となる東西南北を四方点とし(4方位)、それぞれの中間を四隅点(8方位)、四方点と四隅点との中間を中間点(16方位)、さらに32等分する点を微点として32方位を構成する[4]。ただし、32方位は通常の日常生活で用いるには細かすぎるため、4方位、8方位、16方位が用いられることが多い。
4方位
平面上で基礎である四方は、上・下・左・右(絶対的方向)、或いは(相対的方向)の四種類を指し、方位間隔は90°(直角)である。これら四種類の内、東西(左右)を幅または、南北(前後)を奥行またはという。しかし、東西南北と左右前後は、前面の位置により異なる。例えば、西が前となる場合には、南は左、北は右、東は後となる。四方に中央を加えて、五方(ごほう)という。5方位の発想は、特に古代中国五行思想に由来すると言われ、五行と片手の(五指)に因んだ数え方である。つまり、4要素に「中立」を意味する要素を加えて、5個で1組となる。
8方位
8等分する場合は、東・西・南・北・
北東南東北西南西の8方向となり、方位間隔は45°である。これらの内、北東・南東・北西・南西、或いは右前・右後・左前・左後の4つの方位は四隅と呼ばれ、これらは45の倍数の内、奇数の方向である。地図上では、北を前として、以下のように割り振ることが一般的である。日本では、「八方美人」「八方塞がり」などのようにあらゆる方向という意味で「八方」の語が使われる場合がある。
16方位
方位間隔は22°30′である。中間点の呼称は北北東・東北東などのように、四方点-四隅点の順に組み合わせることによって、該当する四方点と四隅点の中間であることを示す。
32方位
方位間隔は11°15′であり、この角度を表すという単位もある。微点の呼称は北微東・北東微北などのように、8方位-微-四方点の順に組み合わせることによって、8方位を基準としていずれの側に偏しているかを表す。北微東は「東寄りの北」、北東微北は「北寄りの北東」といった意味となる。日本の幕末期の艦船も航海には32方位を使用していた。
(参考)128方位
方位間隔は2°48′45″である。咸臨丸開陽丸航海日誌には32方位よりさらに細かく32点法の1点間を2等分または4等分した「北微東1/2東(NbE1/2E)」や「北微東3/4東(NbE3/4E)」のような細かい方位の表示がみられる[5]

方位の表現

 
四方
32方位(微点)
16方位(中間点)
32方位(微点)
四隅
32方位(微点)
16方位(中間点)
32方位(微点)

方位名略字
北N
北微東NbE[注 1]
北北東NNE
北東微北NEbN[注 1]
北東NE
北東微東NEbE[注 1]
東北東ENE
東微北EbN[注 1]

方位名略字
東E
東微南EbS[注 1]
東南東ESE
南東微東SEbE[注 1]
南東SE
南東微南SEbS[注 1]
南南東SSE
南微東SbE[注 1]

方位名略字
南S
南微西SbW[注 1]
南南西SSW
南西微南SWbS[注 1]
南西SW
南西微西SWbW[注 1]
西南西WSW
西微南WbS[注 1]

方位名略字
西W
西微北WbN[注 1]
西北西WNW
北西微西NWbW[注 1]
北西NW
北西微北NWbN[注 1]
北北西NNW
北微西NbW[注 1]


東洋の方位

東アジアでは、昔は十二支による以下の12方向の方位が用いられていた。それぞれの方位間隔は30°である。

十二支

北東南西

また、八卦を用いた以下の八方向による方位が、特にで用いられた。


(かん)
(ごん)
(しん)
(そん)
(り)
(こん)
(だ)
(けん)

(きた)北東
(ほくとう)東
(ひがし)南東
(なんとう)南


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