方位磁針
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「羅針盤」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「羅針盤 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
方位磁針

方位磁針(ほういじしん、: compass コンパス)は、磁石を用いて方位を知るための道具[1]。方位磁石[2]、あるいは単に「磁針」とも呼ばれる。

ナビゲーション航海術)などに使うための道具として仕立てられた方位磁針は伝統的には「羅針盤(らしんばん)」と呼ばれた[3]。より複雑な羅針儀(らしんぎ)は水平を維持するジンバルと呼ばれる機構と、全周の360度に目盛を付けたコンパスカードと呼ばれる板からなる[4]。また、振動等を軽減する機構をもつ磁気コンパス(電子コンパス)というタイプもある。回転するコマの原理を利用して地球の自転軸に合わせる機構をもつものはジャイロコンパスという[4]。又、方位磁針は中国からシルクロードを使って日本に渡ってきた。
概略

方位磁石は地磁気を利用した道具であり、おおまかに言うと、地球北極S極南極N極とする磁石になっており、磁石を自由に動くようにしておくと南北を指し示す性質があるので、その性質を利用して方位を知るための道具である[5]

方位磁針は、N極とS極がそれぞれ一つずつ現われるように着磁されている磁石を、自由に回転できるように支持したものである。自由に回転できるおかげで、方位磁針は、しばらく揺れたあと、そのN極を各地点でのほぼ方向に、そのS極をほぼ方向に向けた状態で停止する。つまり磁石は、しばらく揺れたあと、N極とS極の両磁極を結ぶ方向をその地点の磁界の向きに沿わせる向きになって停止する。
偏差

なお方位磁針が実際に指示する方向は局所的な磁界の方向であり、地図上の厳密な真北および真南を指してはいない[6]。そのズレの角度を「偏角(へんかく)」と言う。しかもそのズレ(偏角)は場所によって異なり、また時間によっても変化する[6]。例えば札幌では磁北の向きが「地図の北」よりも約9度西にずれており、それに対し那覇ではそのずれは約5度である[6]

難しい説明をすると、この局所的な磁界の方向と実際の真北および真南のなす方向との違いは、「偏差」と「自差」により説明される[7]。つまり真の子午線に沿っている真北および真南を結ぶ方向と方位磁針が指示している方向との角度差(コンパス違差、コンパス・エラー、コンパス誤差とも呼ばれ、記号「C.E.」とも略記される)が上記偏差と上記自差の代数となっているのである[7]。詳細は#偏差の節で解説。
簡易な作り方

方位磁針は素朴な作り方としては、縫い針(やまち針や短い針金など)に磁石をこすりつけ帯磁させ(磁気を帯びさせ)磁石にし、それを小さな木の葉(や発泡スチロール片、小さな木片、折り紙で作る小舟など)に乗せ、(やカップたらいなど)の水に浮かべるといった方法でも実現することができる[8][9]
偏差

方位磁針が指示する方向は、後述する自差を無視できるとき、地磁気による磁気子午線上の北(磁北)と南(磁南)を結ぶ方向である(「磁針方位」という)。この磁針方位と、厳密な(真の子午線上の北、地軸と地球表面の北側の交点、すなわち真北)および厳密な(真の子午線上の南、地軸と地球表面の南側の交点、すなわち真南)を結ぶ方向とがなす角度は、現在の地球表面付近の多くの場所において0ではない。この角度を「偏差」(または「磁気偏角」あるいは単に「偏角」)と呼ぶ[10][11]。偏差はバリエーションとも呼ばれ、記号では「Var.」と略記される[12]。偏角の向きおよび大きさは、地球上の地域によって異なり、時間的にも常に変化している[13][12]。一年間に生じる偏差のずれを年差という。偏角はこのように場所や年代によって複雑に変化している。

磁北が真北より右に傾いている場合を偏東(または偏東偏差)、左に傾いている場合を偏西(偏西偏差)といい、例えば「偏東〇°〇〇′」等と表現する[12]。日本国内の偏角は、国土地理院地磁気測量ホームページで概算でき[14]、地形図(国土地理院発行基本図)にも「磁針方位は西偏約〇°〇〇′」等と偏差が明示されている[15]。2015年現在の日本列島の概略の偏差は、沖縄で西偏5九州四国本州では西偏7度から西偏8度、北海道で最大西偏10度である。日本国外では、地域によっては数十度にも達する。

登山などで方位磁針とともに地形図などの地図を用いる際に方位磁針のみにより正確な真北を知りうるためには、偏差の角度に合わせた磁北と磁南を結ぶ直線を例えば数センチ間隔で分度器等により正しい角度で予め図面上に書き入れておくことが有用である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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