新興工業都市
[Wikipedia|▼Menu]

新興工業都市(しんこうこうぎょうとし)は、
 第二次世界大戦時戦時下の日本において、国土計画的な視点により、旧陸軍と海軍への軍事供給工業施設や軍需工場とその関連施設整備、大規模都市計画を実施した計画都市のこと

 既存都市のうち、後に工業によって発展した都市の呼称。
スマランメデジンロサリオ四平市朝陽市などが称される

新興工業都市計画の概要

日中戦争以降の戦時経済体制下の生産力拡充に伴う工業の急激な発展の結果、工業の地方への分散化が問題となっていた。地方においては交通経済の諸機関の不備を承知で、未開発の田野な広大な開発地域を求め、突如として新工業地を建設せざるを得ない情況であった。しかし、その出現が予想される地域においては、将来の都市化に先立ち、従来の都市の弊害、無統制な発展等の過ちを再び繰り返さないように、秩序のある統制の下に合理的発展を図るため計画されたものが「新興工業都市計画」である。[1]
新興工業都市整備方針

1940年の「新興工業都市整備方針」によると、
工業都市としての使命を完全に達成することを目途として鉄道道路等の交通施設、工業用水動力等の供給施設、公園上下水道の保健衛生施設に就き適切なる計画を行うこと。

都市防空の完璧を期するため工場地の隔離、市街地疎開建築物の防火的構築、消防用水利施設の保存拡充等に留意すること。

都市の規模は将来集積を予想せらるる人口を標準として想定して、建設当初に於いては工場従業員数の三倍乃至五倍の人口を収容し得る市街地を整備すること。

なるべく速かに地域、地区の決定に務むること。

事業の実施は土地区画整理事業に依るを原則とし、其の負担著しく大なる場合は事業の一部を別途の都市計画として計画の全部の実現を図ること。尚、鉄道、港湾上水道其の他施設にして前項の事業な依らざるものに対しても用地の留保等に依り其の実現を容易ならしむこと。

の5項目があげられ、インフラ設備の充実、防空体制への留意、人口規模の設定、さらには事業展開の方法として土地区画整理事業の手法を原則としてあげている。[2]
新興工業都市一覧

戦前に日本において、新興工業都市計画事業とよばれた土地区画整理事業が実施されたのは、次の23の都市である。[3][4]

No.府県名現都市名地区名面積(ha)事業年度主要施設
1青森八戸市八戸工業地帯3911940-62年日本砂鉄鋼業
2宮城多賀城市多賀城151943-46年海軍工廠
3茨城日立市多賀1081941-68年予定日立製作所多賀工場
4群馬太田市太田9321941-51年中島飛行機
5埼玉川口市川口4741940-
6神奈川相模原市相模原15941939-50年相模陸軍造兵廠
7大和市大和6201943-60年海軍飛行場、海軍工廠
8富山富山市東岩瀬3861939-電源開発を利用した工場
9愛知豊川市豊川5451941-60年豊川海軍工廠
10春日井市春日井951941-48年海軍工廠、補給廠
11豊田市挙母2201938-46年トヨタ自動車工場
12三重四日市市臨海5181939-52年海軍第2燃料廠、石原産業海運
13京都宇治市6841941-
14和歌山和歌山市河西271942-70年予定住友金属工業
15兵庫姫路市9911938-60年日本製鐵広畑製鐵所
16岡山岡山市福浜991943-67年倉敷絹織立川飛行機
17山口光市室積711942-60年海軍工廠
18光2081941-57年光海軍工廠
19福岡苅田町苅田4371941-60年日本曹達、日立製作所
20福岡市春日原4601942-57年海軍工廠、九州飛行機
21長崎佐世保市相浦201943-52年相浦海兵団
22大村市大村231943-50年第21海軍航空廠
23川棚町川棚2501944-川棚海軍工廠

脚注[脚注の使い方]^ 上山和雄 編著 2002, p. 131, 第5章.
^ 上山和雄 編著 2002, pp. 131?133, 第5章.
^ 上山和雄 編著 2002, p. 132, 第5章.
^ 越沢明『戦時期の住宅政策と都市計画「年報・近代日本研究」9』山川出版社、1987年、277頁。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:19 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef