新幻魔大戦
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『新幻魔大戦』(しんげんまたいせん)は、SF作家平井和正と漫画家石森章太郎によって、1971年から「SFマガジン」にて、漫画小説をジョイントして連載された長編SF作品である。1978年に小説版、1983年に漫画版2巻の単行本がそれぞれ徳間書店から発刊された。目次

1 概要

2 あらすじ

3 登場人物

3.1 メガロポリス(1999年)

3.2 江戸時代


4 出典

概要

本作は、1967年の漫画版『幻魔大戦』(『週刊少年マガジン』誌に連載)の主人公である東丈が存在しない時間軸の未来から始まり、1人の女子大生が幻魔に対抗できる超能力者の家系を誕生させる使命を受けて江戸時代に時間跳躍するという物語である。その後、平井和正が単独で大量に書き進めた小説版『幻魔大戦』シリーズの骨子(パラレルワールド、血脈、転生)は全て本作に発する。

平井が自らライフワークと称した『真幻魔大戦』(「SFアドベンチャー」連載)、『幻魔大戦』(『野性時代』連載)、および少年マガジン版『幻魔大戦』は、本作の世界から枝分かれしたパラレルワールドという設定である。

本作そのものは未完だが、『真幻魔大戦』や野性時代版『幻魔大戦』で、その後の展開がある程度明かされている。
あらすじ

霊媒女優・北条とき子が「1999年の地球滅亡」を予言、アメリカ最大の心霊予言者であるエドガー・ケイスが「1998年までに環太平洋地震帯の海没」を予言していた。そして西暦1998年、女子大生の香川千波は、あるきっかけで超能力に目覚めた。

その後、世界はかつてない巨大な天変地異に襲われ、文明は崩れ去った。宇宙の破壊者幻魔が来寇したのだ。地球はブリザードに覆われ、人類は滅亡を待つばかりとなった。人が人を食う生き地獄に、千波は超能力を使ってどうにか生き延びていたが、それも限界に達しようとしていた。そこへトランシルバニア王国のベアトリス王女(ルーナ女王の娘)が、江戸時代からタイムリープ(時間跳躍移動)してきた町娘お蝶を伴って現れた。ベアトリス王女は千波へ使命を与えた。それはお蝶の肉体に千波の精神を移植し、時を遡って幻魔に対抗できる超能力者の一族を生み出すことだった。

江戸時代へタイムリープした千波はお時と名乗り、人狼(狼男)である犬神一族の月影と出会う。そして、歴史に名を残すクリストファー・フェレイラ(沢野忠庵)や東丈の前世である由井正雪らと奇妙な縁を持つことになる。

由井正雪は徳川幕府浪人政策にひどく心を痛め、お時を追って未来からやってきた幻魔と一体化する。やがて東丈を生み出す家系の源となるお時は、東丈の前世を敵に回すことになってしまったのだった。

巻末には「第一部・完」と打たれており、未完。漫画版と小説版は内容が同一。

角川書店版『幻魔大戦』の登場人物の会話として、お時は「知恵伊豆」こと松平伊豆守信綱との共闘により、由井正雪が起こす慶安の変を戦っていく第二部以降の構想が一部明かされている。

真幻魔大戦』では、お時がムーンライトの名で登場する。また、由井正雪が幻魔を祓い落とすことに成功したことが明らかになる。その時の幻魔は現代まで活動を続けていることもわかる。

登場人物
メガロポリス(1999年)
香川千波(かがわ ちなみ)
1979年、エド・メガロポリス東部で生まれる。先祖は
徳川幕府解体まで続いた下級武士の一族。江戸大学史学科の学生。事後ピルを愛用。1998年に全世界を襲った大地震と続く災厄を生き残るが、大火傷を負う。遠隔催眠で他人の心を操る能力に目覚め、暴漢達から身を守る。ベアトリス率いるエスパー戦団に出会い、江戸時代に時間跳躍し新しい超能力者の家系を生み出すことを依頼される。ベアトリスの力で江戸娘お蝶と精神融合し、第三の人格、お時となる。高野ミツオという恋人がいた。スポーツマンでハンサムだが軽薄な印象。遊び慣れしており、性技にも熟練しているが、「それだけの男」と千波に思われている。
お時
1999年の幻魔来寇により滅亡したパラレルワールドの女性・香川千波の精神を、江戸時代より時間跳躍により滅亡寸前の世界を訪れた娘、タイム・リーパーお蝶に移植し、生み出された統合人格的な超能力者。江戸時代に時間跳躍することで、滅亡した並行世界を逃れたお時はベアトリス王女に託された使命を果たすべく、様々な出会いと戦いを潜り抜けていく。合成麻薬副作用により、強力な超能力を発現していた千波の精神により、強力な超能力を振るうが、時間跳躍の力の発現は様々な条件に制約される(主に時間跳躍能力は大火により発動する)。肩に赤い蝶の痣がある。
ベアトリス王女
トランシルバニア王国のジーベンビュルゲン王家の1人。母ルーナ女王の遺伝により、人類史上最強と言える精神感応力(テレパシー)の持ち主であるが、幻魔来寇について何ら対抗する術を持ち得ず、最後の希望を彼女自身の超能力で生み出した「お時」に託し、滅亡する地球から送り出す。思いの全てを込めた「ベアトリスの(かんざし)」を時を遡る「お時」に渡すが、「ベアトリスの釵」は運命的な巡り会わせにより、様々な人々の手に渡り、『幻魔大戦』世界のキーアイテムとなる。
江戸時代
月影
強力な超能力と、不死身と言える肉体能力を持つ犬神一族の一人。徳川公儀
伊賀組の1人として、服部半蔵配下で下忍として活動していたが、お時の素性とその使命を知り、沢野忠庵に囚われていたお時を保護し援助する。おみちの遺体にあるベアトリスの釵を探しに墓を掘り返したところ、座棺にあったのは中年男の遺体だった。真名児からベアトリスの釵を取り返そうとした際、投げられた釵が左目に突き刺さる。服部半蔵を挑発し、投げられたひょうが右目を潰す。3日後の満月の晩、再生する。狼に変形し、釵を取り返しお時に届ける。一度変形すると自分の意思では元に戻れないため、山に帰る。

平井和正の代表作「アダルト・ウルフガイ」シリーズの主人公・犬神明を思わせる人物(『人狼白書』によると、犬神明は前世で「つきかげ」と名乗っていた)。


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