新宝島
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この項目では、手塚治虫の漫画について説明しています。その他の用法については「新宝島 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

『新宝島』(しんたからじま、新寳島)は、1947年手塚治虫が発表した漫画。原作・構成は酒井七馬、作画は手塚治虫書き下ろし単行本。

手塚治虫にとってデビュー長編[1]であると同時に出世作であり、戦後日本マンガの出発点とされる[2]。マンガ史における本作のマンガ表現の果たした役割についても研究者の間で議論となっている。
あらすじ

時は現代、亡くなった父親の書類箱から宝の地図を見つけたピート少年は、知り合いの船長とその島へ行こうとするが……。

ロバート・ルイス・スティーヴンソンの『宝島』をベースにターザンロビンソン・クルーソーを混ぜ合わせたような物語と表現されており[3][4]、『宝島』を漫画化したものではない点に留意が必要である。
登場人物


ピート
本作品の主人公。亡くなった父親の持っていた宝の
地図を発見し、船長と宝探しに出かける。後に他作品でケン一少年として登場。


船長
ピート少年の父親の友人。
を操り、ピート少年と共に冒険の海へ。後に他作品にブタモ・マケルとして登場。同年『火星博士』でもケン一少年とコンビを組むが、酒井七馬のクレームにより同作品をもってコンビ解消となる。


犬(パン)
ピート少年に船の中(リメイク版では
道路)で拾われたリメイク版では実は妖精という設定で、「パン」という名前も付けられている。


ボアール
片手片足の
海賊。昔、ワニザメと格闘した際に片手片足を失った。ブク・ブックの役名で知られるキャラクターで、後に『バンパイヤ』で片足の警官隊長として登場。『ブラック・ジャック』の「青い恐怖」ではピート少年と親子役で共演している。


バロン
20年前に船が難破し、
に流れ着いた際にチンパンジーに育てられる。今では密林の王者に。動物を巧みに操る。
単行本
冒険漫画物語 新宝島

育英出版発行の(赤本漫画)。一部キャラクターの顔は酒井七馬が描いたが、大部分が手塚治虫の作画。ただし当時の赤本マンガの通例により、手塚の原画を写真製版したものでなく、版下職人(版画製作者・佐々木正俊)が手塚の原画を手描きでトレースして製版した描き版である[5][6]。描き版は1種類ではなく、1947年の1月刊本、4月刊本、7月刊本が、それぞれ異なる3種類の描き版であることが確認されている。また、のちにつづく諸版が1月の初版にもとづくものだという[7]

発行部数については、4万部という推測から40万部という証言、80万部とも言われており[8][9]、正確な数は不明である。なお手塚治虫の原稿の権利は対価3,000円で出版社が買い取る契約であった[10][11]

初版:1947年1月30日発行。「宝」の文字が、表紙奥付とも「寳」になっている。ローマ字表記は「SHIN TAKARAJIMA」。初版のみハードカバーで紙質も上質なものが使われている[12]

改訂版:1947年4月20日発行。「宝」の文字が、表紙は「寳」、奥付は「寶」。異本多数。

再版:この版のみ、ローマ字表記が「SHIN TAKARAZIMA」になっている。現在一番流通している。『ピート君漂流記』など異本多数[13]

赤本:表紙の表記が「新宝島」に。表紙レイアウトが大きく変更され、全体的に表紙に赤色が多用されている。副題が「長編冒険漫画物語」というように「長編」の文字が付け足されており、作者名が手塚治虫のみの掲載。紙質も悪い。ローマ字表記は「SHIN TAKARAJIMA」。

研究論文:菅左知夫(著)「『新寶島』の発行部数と版の異同について」、日本マンガ学会、マンガ研究、Vol.26 (2020年3月),頁127-137。では、現時点で確認されている印刷の異なる7通りの本についてその原因などについての考察を行っている。
ジュンマンガ

1968年頃発行。文進堂発行の漫画研究叢書。西上ハルオの手でトレス版が発行されている。初期発行のものには「(1)」と表記されているものの2号以降は出版されず。(ジュンマンガは実際には2冊まで出て終わった。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}これは編集者であった酒井七馬が1969年1月23日に没したためであろう[独自研究?]。新寶島のトレス版は(1)に掲載されている。もう一冊は今では手元に現物がないので(2)と番号がつけられていたかの確認ができないが、たしか(1)とは表紙の色が異なり扱っている内容も異なっていた。(1)の奥付の映像には発行の年月日の記載が無いが、1968年12月には販売されていたようである[独自研究?]。なお(1)は国会図書館の管理上は1969年となっている。)
手塚治虫漫画全集

1986年10月3日、講談社発行の手塚治虫漫画全集のために描き下ろされたリメイク版。元本をもとに、手塚治虫自身で全て描き直されている(後述)。
オリジナル復刻版


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