新婚旅行
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「ハネムーン」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「ハネムーン (曖昧さ回避)」をご覧ください。

新婚旅行(しんこんりょこう)とは、結婚したばかりの新婚夫婦二人で赴く旅行。英語の「ハネムーン」(Honeymoon)ないし、その直訳の「蜜月(みつげつ)」ともいう。近代以前からの慣習から、交通網の発達及び消費社会の発展によって徐々に変化し、現代では新婚夫婦二人の旅行として定着している。
語源と意義

19世紀初頭以降、英国では結婚式後に、遠方の親族を訪問する旅行を「Bridal tour」と呼んでいた[1]。また、日本では新婚夫婦が妻側の実家を訪問する「里帰り」「婿入り」の風習があった[2]

ハネムーンの語源は蜂蜜酒に関連する。古代から中世にかけてのヨーロッパでは、新婚家庭で花婿精力増強効果が期待され、またはミツバチの多産にあやかって、蜂蜜酒が飲まされた[要出典]。この約1か月の間、新郎新婦は家から出ずに子作りに励んだという[要出典]。

新婚旅行の意義は時代によって変遷している。なお日本では、新婚旅行中に出来た子供を「ハネムーンベビー」と呼ぶことがある。[3]
欧州における新婚旅行

従来から、欧州には「Bridal tour」の慣習があった。19世紀半ば以降、産業革命により、英国及びプロイセン王国(のちドイツ帝国)を中心に、ヨーロッパの鉄道網が発展したことに加え、消費社会の発展により中産階級にも結婚式や新婚旅行が広まった[1]。その結果、新婚カップルはより刺激的かつ遠方へ二人だけで旅行するようになり、「Honeymoon」と呼ばれる旅行になった[1]
日本における新婚旅行
明治期

1889年(明治22年)、欧米文化としての「Honeymoon」を、井上円了が「新婚旅行」と訳して東京日日新聞紙上で紹介したことが、「新婚旅行」という言葉が日本で最初に使われた例である[1]。「ホネームウン」としては、1878年にロウド・リットン著・丹羽純一郎訳『欧州奇事 花柳春話』の中で紹介されている。

その後、半井桃水の『新婚旅行』、田口掬汀の『蜜月遊』、生田葵山の『初契』等の文芸作品でも新婚旅行が扱われるようになった[1]。ただしこれらの作中でも、現実でも、高級保養地へ旅行に行くことは上流階級の風習であった[1]

なお、同時期に連載されていた坂崎紫瀾の小説『汗血千里駒』(1883年より土陽新聞に連載)において、坂本龍馬夫妻が療養もかねて薩摩に滞在したことを「ホネー、ムーン」(ハネムーン)と表現したことに由来し、俗説として「坂本夫妻が日本初の新婚旅行を行った夫婦である」と広く知られている[1]。ただし、日本初の新婚旅行を行った夫婦は薩摩藩家老小松清廉が新婚時の1856年に行った夫婦での霧島旅行が最初ではないかとの説もある[4]
大正?昭和前期

大正から昭和前期にかけ、日本でも鉄道網が発達したことにより、上流階級の間に広まっていく。例えば、皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)と良子女王(後の香淳皇后)は1924年(大正13年)1月に婚姻し、夏を福島県猪苗代町の高松宮翁島別邸(現天鏡閣)で過ごした。また高松宮宣仁親王徳川喜久子は、1929年(昭和4年)に婚姻し、翌1930年(昭和5年)に欧州を1年以上にわたって長期訪問している。

ただし、旧民法下では家制度における戸主権が強大で「家同士の結婚」という価値観であったため、「夫婦二人のための自由旅行」は否定的に捉えられていた[5]。例えば、下田歌子は礼法書で、新婚旅行に否定的な見解を示す一方、従前からの「里帰り」「婿入り」の風習を推奨している[6]
昭和中期青島神社

1947年(昭和22年)の大幅な民法改正により、夫婦は対等な個人同士となった。加えて、1959年(昭和34年)に皇太子明仁親王正田美智子が、翌1960年(昭和35年)に清宮貴子内親王島津久永が、それぞれ結婚した際には「恋愛結婚」であったと大々的に報じられ、若者の結婚観も変化していく。昭和30年代から40年代にかけ、恋愛結婚の割合が増加し、見合い結婚を上回るようになった。

加えて同時期は、日本の高度経済成長期にあり、婚姻数の増加と消費拡大を背景に、結婚式は自宅ではなく式場・ホテルで行われ、さらに旅行会社による「セット旅行」として商品化され、利用されるようになった[7]。関西では和歌浦[要出典]や南紀白浜 、関東近傍では伊豆箱根熱海などの温暖な温泉地が人気があった[7]


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