斎藤元彦
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日本政治家斎藤 元彦さいとう もとひこ
内閣府地方創生推進室より公表された肖像
生年月日 (1977-11-15) 1977年11月15日(46歳)
出生地 日本 兵庫県神戸市須磨区
出身校東京大学経済学部卒業
前職国家公務員総務省
現職兵庫県知事
所属政党無所属
公式サイトさいとう元彦公式ウェブサイト
第53代兵庫県知事(公選)
当選回数1回
在任期間2021年8月1日 - 現職
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斎藤 元彦(さいとう もとひこ、1977年昭和52年〉11月15日 - )は、日本政治家。元総務官僚。第53代兵庫県知事。本名は齋藤 元彦(読み同じ)。
来歴

兵庫県神戸市須磨区出身。父親は長田区でケミカルシューズ製造企業を営んでいたが、大学進学の頃に実家の家計が悪化し、以後奨学金で勉学に励んだ。

神戸市立若宮小学校愛光中学校・高等学校東京大学経済学部卒業。2002年平成14年)4月、総務省に入省。
総務省入省後

2002年10月、北川正恭三重県知事時代に三重県に出向。2003年(平成15年)9月、同省に戻り大臣官房総務課、2005年(平成17年)4月、同自治財政局公営企業課地域企業経営企画室、2006年(平成18年)4月、内閣官房副長官補付(内政)。

2008年(平成20年)4月、新潟県佐渡市に出向し、企画財政部長を担当。2011年(平成23年)4月、同省に戻り、大臣官房企画課課長補佐、同年9月、同大臣官房秘書課秘書専門官、2012年(平成24年)12月、自治財政局地域自立応援課課長補佐として、福島県相馬郡飯舘村に派遣される[1]。2013年(平成25年)7月宮城県に出向し、県財政課長を担当。東日本大震災の復興対応に当たった[1]

2016年(平成28年)4月、同省に戻り、高市早苗総務大臣時代に、自治税務局都道府県税課課長補佐、2017年(平成29年)7月、同都道府県税課理事官。

2018年(平成30年)4月、大阪府に出向し、同府財務部財政課長を担当。2021年令和3年)3月22日、同年7月に行われる2021年兵庫県知事選挙の立候補者として取り沙汰され[2]、同月25日、兵庫県議会の自民党会派有志が斎藤に出馬要請を手渡し[1]、同月末付けにて総務省を退職。同日、兵庫県知事選挙への出馬会見を開いた[3]
兵庫県知事選挙への出馬2021年7月4日に行われた街頭演説にて

立候補の動機は、「井戸(敏三)県政からの禅譲、継承では財政が厳しく、コロナ禍で県民は将来を不安に思い次の挑戦は出来ず、新しい世代のリーダーが挑戦すべき」と述べ、「行財政改革を行い、財政基盤を再構築し、知事の給与、退職金をカットする」他、2019年8月にレクサス・LSから、リース更新した県知事専用公用車であるトヨタ・センチュリーは直ちに廃止する」と表明した[4]

自民党県連所属議員の多数が井戸県政時代の副知事だった金沢和夫を推し、自民党の分裂選挙となったが、日本維新の会が斎藤を推薦候補とし、自民党本部もこれに追随。斎藤が自民党公認の推薦候補と決定した。選挙戦では日本維新の会から松井一郎代表、吉村洋文副代表、また兵庫県出身の現職閣僚である、西村康稔経済再生担当大臣丸川珠代東京オリンピックパラリンピック担当大臣も応援に駆けつけた。2021年7月18日の投開票の結果、金沢ら4候補を破り初当選[5]。当選後、斎藤が主張する政策の新事業や事業見直しを反映させる為、「新県政推進室」の設置する意向を表明し、県政推進室で公約であった、播磨灘大阪湾の湾岸地域への大規模集客施設や企業誘致を目指す「ベイエリア再生」や起業を志す若者を対象にした「スタートアップアカデミー」等の政策を策定する意思を示した[6]
兵庫県知事への就任後

2021年8月1日付けで第53代兵庫県知事に就任し、全国知事会オンライン会議において新型コロナウイルス対策庁内連絡会議に初参加[7]。翌8月2日午前9時頃に県庁へ初登庁。前知事の井戸敏三と事務引継ぎを行い[8]、前述の「県政推進室」を翌週8月9日から稼働させる事を決定し、情報発信については、定例記者会見やTwitterを用いて積極的にする事を表明[9]。新型コロナ対策として、まん延防止等重点措置が就任直後から再び適用されたことにより「協力金支給をスピードアップする」と表明し、最初の仕事として「ひょうごチャンネル」(兵庫県(庁)インターネット放送局)のYouTubeチャンネルにて自らの県民へのメッセージ動画を配信した[10]。兵庫県の知事公邸1987年に取り壊して現存しないため[11]、斎藤の居住地は当面は須磨区の実家から登庁する意向である事を説明した[12]
県政

後述のように新型コロナウイルス対応などで後手に回っていると評価されている。そうした政治的な判断を鈍らせた背景には、ガバナンス(組織統治)にも影響していると、地元紙の神戸新聞は報じている[13]。斎藤は「知事が大きな道筋を示し、そのほかは各部局に任せる」というボトムアップ型の県政を目指し、その姿勢を支える屋台骨が、斎藤肝煎りの「新県政推進室」で、井戸県政時代には本庁や県民局の幹部ら総勢30名を集め、重要政策を決めていた会議を縮小し、わずか11人で県政の方向性を決定する。斎藤は「長時間、幹部が知事の話を聞くのは合理的ではない」とし、推進室の一部のメンバーだけで決定している。だが、この転換は、兵庫県政の意思決定が完全な「密室」になったと波紋を広げる。斎藤はメディアへの露出を増やし、情報発信を強化したとするが、その慎重な物言いは官僚的で、踏み込んだ発言を避けている。推進室のメンバーすら戸惑いを口にし、「斎藤知事の真意や本音が伝わってこないという職員の声が、日増しに大きくなっている」と述べた[13]
行財政運営

2021年12月16日に行財政運営方針見直し案を公表。井戸県政時代に耐震性不足により建て替え計画を進めていた県庁舎の再整備事業を凍結し、一部の海外事務所やアリーナの建設も廃止する意向を示した。計画では老朽化した庁舎を集約して高層ビルに建て替え、独立した議会棟を整備。事業費は維持費などを含め最大720億円を見込んでおり、周辺にはホテルや商業施設の誘致を想定していた。斎藤はこれに代わり耐震改修も検討する意向を示し、次年度以降に予算を縮減した新たな計画策定を目指すとした[14][15]。24日には行財政運営方針見直し案について、市町向けの説明会が行われたが、市町へ配分してきた約10億円のひょうご地域創生交付金などの廃止やバス対策費補助の減額などの案に、異議が噴出[16]。また、斎藤の思い入れの強い改革にもかかわらず、説明会に斎藤の姿はなく、首長たちは「なぜ、知事が説明してくれないのか。思いを語るべきだ」と批判。市町を軽視したかのような対応も反発を招き、見直し案には市町から200件以上の意見が寄せられた。兵庫県議会には「唐突過ぎる」と突き返され[13]、見直し案の修正を余儀なくされた[17]。見直し案では、市町への交付金は額を減らした上で廃止を1年先送りにした。斎藤は県議会で「県も市町も意識を変える必要がある」と財政状況への認識の甘さを強調したが、井戸県政時代の財政再建の取組に対しては一切触れず、「就任直後の今だからこそ、姿勢を示す唯一の機会だ」と述べた。だが、維新的な改革を彷彿とさせるやり方には、兵庫県議会運営を左右する最大会派の自民党にも根強い不満が燻っている。県幹部は「まだもう少し、譲歩することになる」と明かし、神戸新聞は県政が空転する可能性も大きいとした[13]。2022年1月31日には斎藤の知事就任後初となる「県・市町懇話会」が開かれ、泉房穂明石市長が「協議もせずに予算を削減されたら市町は困る。協議をすると約束してもらわないと」と述べるなど市町長側は毎年度、市町と県が協議する場を設置するよう要望。斎藤は「協議の場を持つ方向で調整したい」と応じた[18]
朝鮮学校への補助金

井戸前知事時代から全国で最大規模となっている朝鮮学校への県の補助金については、斎藤は「子供に罪はない」として、今後も支出を続ける意向を明らかにした。2022年度は約3,600万円を支出しており、2023年度の当初予算にも盛り込まれた[19]
新型コロナウイルス対策

2021年末から2022年初めにかけて新型コロナウイルスの感染者が急拡大した際、斎藤は当初、重症者数が少ないことや経済活動縮小への懸念から、政府への蔓延防止等重点措置の要請に消極姿勢を示した[20]。一方、大阪府の吉村洋文知事は1月14日に病床使用率35%で重点措置を要請する意向を表明[21]。1月19日に兵庫と大阪、京都の3府県知事がオンライン会議を開き、この時点で兵庫の病床使用率は37.8%と3府県で最も悪く[22]、斎藤は「なぜ大阪は35%にこだわるのか。兵庫はもうもたない」と周囲に漏らし、両府知事にも非公式に窮状を伝えたが、この日の重点措置の要請は見送り、要請の決定は翌20日にずれ込んだ[13]。そのため県幹部からは「判断を先延ばしにし、大阪に合わせたと見られても仕方ない。大阪の追随を嫌った井戸知事なら違ったはず」との見方が広がった[13]。また、斎藤はオミクロン株に合った対処方針を示すよう国に求めたが、どう変えてほしいのかを記者に問われると、「県からこう改めてというより、国が大きなガイドラインを示してほしい」と述べるなどし、産経新聞は斎藤について「国任せの姿勢も目立つ」と評した[20]。兵庫県は3月15日に新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、まん延防止等重点措置を3月21日の期限で解除するよう政府に要請した。病床使用率が下降傾向にあることなど政府が示した考え方に基づいて判断した。ただし同日に、後述の斎藤の新型コロナウイルへの感染が判明したため、電話でやり取りをして了承を得た[23]
新型コロナウイルス感染とその影響

2022年3月14日深夜に斎藤と同居する家族が発熱。斎藤も3月15日朝、発熱やせきの症状が出たため、医療機関を受診した結果、抗原定量検査で陽性が判明した。兵庫県は15日に「斎藤元彦知事が新型コロナウイルスに感染した」と発表し、職員などに濃厚接触者はいないという。斎藤は10日間の自宅療養となり、復帰するまでは副知事が代理で業務を行う[24]。都道府県知事で初のコロナ感染者となった。全面復帰は26日以降になる予定。 斎藤は15日昼、ツイッターを更新して「今朝から発熱し、先ほど新型コロナ感染が確認されました。皆様にご心配、ご迷惑おかけしております」と感染を公表した。「症状は、発熱と咳で比較的軽症です、公務もリモートなどで対応してまいります」と記し、「皆様もお気をつけください」と注意を呼びかけた[25]。そのため兵庫県議会3月16日、臨時の議会運営委員会を開き、3月24日までとしていた定例会の会期を30日まで延長する方針を確認した。すでに2022年度当初予算案を審議する予算特別委員会は、斎藤が出席予定だった16日の総括審査を延期。議会運営委員会では、藤本百男議長が「知事出席の下で議会日程を進めるのが望ましい」と提案し、委員から異論は出なかった。新たに取り決めた定例会の日程は、斎藤の復帰が見込まれる28日、29日に予算特別委員会を再開し、30日を最終日として予算案や追加議案、請願などを採決する。議会事務局によると、兵庫県議会本会議の会期延長は1978年(昭和53年)以来で44年ぶりのことである[26]。新型コロナウイルス感染で療養中の斎藤は、16日のツイッターで「昨日は発熱が38度台と倦怠感で苦しい感じでしたが、今朝からは、解熱剤効果もあり、少し下がっています。頭痛や咳は続いています」と説明。また「昨日はゼリーやバナナくらいでしたが、少し食欲回復してきました。解熱剤(ロキソニン系)、ゼリーやポカリは発症直後には欠かせないもので一定ストックが必要と思います」と病状を記した[27]3月19日にツイッターを更新して「今日で4日目。3日目まで症状が強いと聞いてましたが、私も、昨日まで、発熱や倦怠感で解熱剤服用が続きました。花粉や低気圧もあるのか、鼻づまりと頭痛も強くしんどかったですが、今日から少し和らいできました。咳は残ってます」と病状を伝えた[28]
知事公用車の変更

初登庁時、選挙前からの公約であった知事公用車のセンチュリーには乗車せず、県庁が所有する公用車であるトヨタ・ヴェルファイアに乗車したが[29]、あくまでも職員向けの公用車のため、当面は前述の車両を代用するが、新たな知事公用車については協議中としていた[12]。最終的に県議会議長の公用車とあわせて約770万円の解約違約金を支払い、2021年9月7日でリース契約を打ち切る方針を決め、車を返却。違約金は知事車が約240万円、議長車が約530万円で、議長車の方が走行距離が長かったため差が出た[30]


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