文末助詞、文末詞、あるいは終助詞 (英: sentence-final particle, utterance-final particle, final particle) は、助詞の一種であり、文ないし発話の末尾に現れて、種々の談話的・語用論的機能 (疑問・命令・モダリティ・証拠性等) を標示する[1][2][3]。東アジアや (シンガポール英語のような混合言語を含む) 東南アジアの言語に広く見られる地域特徴である[4][5][6]。
日本の国語学においては専ら「終助詞」と呼ばれる[7]。現代日本語 (標準語) の代表的な終助詞としては、「よ」「ぞ」「ね」「な」「か」等が挙げられる[3]。「助詞#終助詞」を参照
中国語学では「語気助詞」と呼ばれ、標準中国語には疑問を表す「? (ma)」や、確認や念押し等を表す「? (ne)」のほか、推量や提案等を表す「? (ba)」といった形式が見られる[8]。広東語には更に多くの文末助詞が存在する[9][10]。「広東語#語気助詞」を参照
ベトナム語の文末助詞には、親しい相手に向けて軽い驚きを示すaや、敬意を表す?、「親しく強調の意を示す」ch?などがある[11][12]。
文末助詞の存在は、ヨーロッパの言語をはじめ[13][14]、他地域でも報告されている。英語のthoughやbut、フィンランド語のmutta「でも」やja「そして」は、文末助詞としても使われる接続詞の例である[15]。「文法化」を参照
本記事では、主にアジアの言語における文末助詞について、その文法上及び意味上の特質を概説する。 文末助詞に典型的な音韻論上の特徴として、以下のものが挙げられる[16][17]。 また、形態論・統語論的に、文末助詞は以下の性質を持つことが多い[16][18]。 東南アジアの言語には、語が一つの音節のみから成る傾向が見られる[19]。日本語のように単音節的でない言語においても、文末助詞に関しては単音節のものが少なくない[20]。ただし、満州語のdabalaのように、言語によっては2音節以上から成る文末助詞も存在する。満州語を含むツングース諸語では3音節の文末助詞が珍しくない[21]。(1) tere これ min-i 私-GEN waka 間違い dabala. FP tere min-i waka dabala. これ 私-GEN 間違い FP 「これは勿論、私の間違いだ」(Gorelova 2002: 371) また、一文の中で複数の文末助詞が使用される場合もある。以下の広東語の文では、添加を表す「添 (tim)」に、「? (ge)」「喇 (la)」「? (wo)」という3つの文末助詞が更に連続している[22]。(2) Keuih 彼/女 lo-jo とる-PFV daih 第 yat 一 mihng 名 tim も ge FP la FP wo. FP Keuih lo-jo daih yat mihng tim ge la wo. 彼/女 とる-PFV 第 一 名 も FP FP FP 「あいつ、一位まで取っちゃってるんよな。」(Matthews and Yip 1994) 通常、文末助詞は韻律上、先行要素に従属しており、両者の間にポーズが置かれることはない (アステリスクは文法的に非適格な文を表す)[23][24]。
形式上の特質
単音節から成る。
声調や強勢のような韻律的要素を欠く。
品詞を問わず、様々な要素に後続する。
拘束形態素であり、他の語を伴わず単独で用いられることがない。
「文」の末尾に現れる。
単音節性
韻律
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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