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『文明論之概略』
(ぶんめいろんのがいりゃく)
初版の表紙。1875年(明治8年)発行。
著者福澤諭吉
訳者デヴィッド・A・ディルワース
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『文明論之概略』(ぶんめいろんのがいりゃく)は、福澤諭吉の著書。初版は1875年(明治8年)8月20日に刊行され、全6巻10章より成る。
西洋と日本の文明を比較した文明論説で、1877年刊行の田口卯吉(鼎軒)『日本開化小史』と共に、明治初期(文明開化期)の在野史学における代表的な著作とされる。 東洋及び日本の停滞について中近世武家政権暗黒史観で語られ、幕府による天皇と僧の支配、儒教の弊害を原因に挙げている。 西洋についても中世暗黒史観とプロテスタントによる復興史観で語られる。 明治時代の多くの知識人は、皇室の永続性というドグマを受け入れ、誇りとしており、福澤諭吉も、王室(本書では一貫して王室表記)は近代化を推進する要素だと見なしていた。『文明論之概略』の「第2章 西洋の文明を目的とする事」の一節にて、福澤諭吉は以下の持論を展開している。我国の皇統は国体とともに連綿(れんめん)として外国に比類なし。……君[と]国[との]並立の国体といいて可なり。しかりといえども……これを墨守(ぼくしゅ)してしりぞくは、これを活用して進むにしかず。……君国並立の貴(とうと)き由縁(ゆえん)は、古来わが国に固有なるがゆえに貴きにあらず。これを維持してわが政権をたもち、わが文明を進むべきがゆえに貴きなり。 ? 福澤諭吉『文明論之概略』 攘夷論者は兵力さえあればと言うが、千の軍艦があれば万の商船があるほどの国力があって然るべきであり、それどころか兵器の国産化もできていないと批判。逆に世界各国の人が訪日するのを見て訪日ブームなどと思っている者に対しては、所詮は茶と絹糸と寄留地扱いに過ぎないとして批判する。 福澤自身の解説によると、明治七年から八年の頃になると、日本国内も落ち着き、人々も考えが熟すようになったので、この機会に年配の儒教学者を洋学者の味方にしようと思いついて著した著作であり、読者が50歳以上の老人と想定して、特に文字を大きくして読みやすくし、昔風の『太平記』のような体裁で印刷したという[注釈 1]。
構成緒 言巻之一第一章 議論の本位を定る事第二章 西洋の文明を目的とする事第三章 文明の本旨を論ず巻之二第四章 一国人民の智徳を論ず第五章 前論の続巻之三第六章 智徳の弁巻之四第七章 智徳の行わるべき時代と場所とを論ず第八章 西洋文明の由来巻之五第九章 日本文明の由来巻之六第十章 自国の独立を論ず
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書誌情報
福澤諭吉『文明論之概略』(初版)福澤氏蔵版、1875年8月20日。NDLJP:993899
福澤諭吉『文明論之概略』(2版)福澤氏蔵版、1877年。 - 洋紙四六判活版刷、本文414頁、誤植訂正表2頁、1冊本。
福澤諭吉「文明論之概略」『福澤全集』 第3巻、時事新報社、1898年3月5日。NDLJP:898729/192
福澤諭吉 著「文明論之概略」、石河幹明 編『福澤全集』 第4巻、國民圖書、1925年12月24日、1-262頁。NDLJP:979054/14
福澤諭吉『文明論之概略』石河幹明 解題(初版第1刷)、岩波書店〈岩波文庫 763-764〉、1931年6月20日。