文学フリマ
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文学フリマ
文学フリマ ロゴ
イベントの種類即売会
開催時期1-7月、9-12月頃
初回開催2002年11月3日 (東京)
会場東京流通センター
東京ビッグサイト
OMMビル
博多国際展示場
札幌コンベンションセンター
岩手県産業会館
京都市勧業館
広島県立広島産業会館
高松シンボルタワー展示場 他
#開催データ」も参照
主催文学フリマ東京事務局
文学フリマ大阪事務局
文学フリマ福岡事務局
文学フリマ岩手事務局
文学フリマ札幌事務局
文学フリマ京都事務局
文学フリマ広島事務局
文学フリマ香川事務局
協力文学フリマ・アライアンス
運営一般社団法人文学フリマ事務局
プロデューサー望月倫彦
(一般社団法人文学フリマ事務局代表理事)
出展数約100 - 約1800出店
#開催データ」も参照
来場者数12890人(最多)
公式サイト
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文学フリマ(ぶんがくフリマ)は、文学作品展示即売会。

出店者が自ら作った作品を自ら手売りするフリーマーケット形式のイベントである。

全国各地で開催されており、開催当日は出店者自身が制作した小説短歌俳句批評ノンフィクションエッセイ絵本紙芝居のほか、写真集ZINE漫画など幅広いジャンルの作品が出品される。
概要

文学フリマ開催当日は出店者にブース (販売用のスペース) が貸し出され、出店者自らの手で開催時間中に自由に販売・配布が行われる。読者は出店者のブースに直接訪問し、作品を購入できる。

販売・配布可能な作品としては「『自らが〈文学〉と信じるもの』であれば、形態・内容・価格を問わず、自由に販売・配布」できるものとされており、幅広い作品の販売が認められている。出店資格は個人・団体(サークル)・法人を問わず幅広く認められている。ただし出店受付期間内に所定の手続きを行い出店料の払い込み等を済ませる必要がある[1]

開催都市は2023年現在、札幌岩手東京京都大阪広島福岡の7都市で、年8回開催している(東京開催は年2回)。2024年より香川でも開催が始まり、年9回開催となる。[2]

基本的に全国の文学フリマ共通で、一般参加者の入場は無料であったが、経費増と入場者数の増加等の理由により、東京開催に限っては2024年5月開催の文芸フリマ東京38から一般参加者の入場も有料化される予定となっている。[3]
運営体制

各地域ごとに、地元在住のボランティアからなる事務局が任意団体として設立され、イベントの開催・運営を担当している。主催業務はこの地域ごとに事務局が担当している。全国組織の運営・システム運用など、文学フリマで共通するインフラの整備は一般社団法人文学フリマ事務局が担当し、全国組織と地域別組織の分業が図られている。
特徴
出店者

プロ・アマチュアを問わず、個人・グループ・法人問わず、多くの出店が行われる。大学の公認サークルや、短歌や俳句の結社などの既成の団体のみならず、文学フリマへの出店を目的として結成された団体も出店している。

出店数の最多は文学フリマ東京36の約1435出店。出店数の増加によって落選が出ることもあり、会場の規模を拡大して配慮している。

出店カテゴリの傾向は開催地・開催回により様相が異なり、地域ごとの特徴が色濃く表れる。そのため在住地から遠く離れた地域に出店する出店者も多い。
作品

コピー機や家庭用のインクジェットプリンターで印刷されホチキスで製本された簡易的な冊子や、個人向けの印刷会社で印刷・製本された冊子を販売する出店者が多い。形式を問わず『自らが〈文学〉と信じるもの』の販売が広く認められているため、1ページのみの作品や、電子書籍・Tシャツ・CDの販売をする出店者も見られる。

文学フリマでの販売を目的に制作された作品が多く、それらは50部程度のごく限られた部数のみが出品される。開催当日のみで売り切れとなることも多い。

文学作品展示即売会であることから、文章で構成された作品が多いが、イラストを含むもの、漫画や写真を主とするものなど多様性が見られる。様式を問わず、出品される作品は出店者自身が「『文学』と信じるもの」であることが条件とされている。

価格の設定は出店者が自分自身で行う。営利・非営利いずれの出店目的も認められているため、価格設定にも出店者ごとに多様さが見られる。
同人誌即売会との類似点

文学フリマは「文学」の存続に対する危機意識から、「文学の生き残りのための場」、「開かれた《文学》のための場」として、コミックマーケットを参考として開催が始まった、という特徴的な経緯を持つ。そのため次に述べる細部の点で、コミックマーケットをはじめとした多くの同人誌即売会との類似する点がある。

出店時には事前に申し込みをする必要がある。

出店者自身が販売することを原則とし、イベント主催者は原則として販売に関与しない。

一方で、異なる点も多数ある。

一般の文学愛好者の参加を広く促すため、「サークル参加」「一般参加」「頒布」「スペース」などの同人誌即売会固有の用語を「出店」「来場」「販売」「ブース」などの平易な言葉に改めている。

個人やサークルのみならず、法人(営利団体)の出店を認めている。

商業出版物の販売も認められている。(ただし、作者・編集者など作り手自身が販売する場合に限る)

形式を「本」に限定せず、TシャツやDVD等の販売も認めている。

歴史
純文学論争第二十回文学フリマ東京の様子

文学フリマの起源は、1990年代から2000年代にかけて行われた純文学論争に端を発している。

論争以前から大塚英志は、文学が果たすべき公共的な機能を挙げ[注釈 1]、物語の作り手となる方法論の提示[4]をしながら、既存の文芸誌を中心とした文壇が出版社による経済的庇護のもとで成立している現実を批判した[注釈 2]。笙野頼子はその動きを文学の外側からの無理解に基づく批判であることを批判し、論争となった。[注釈 3]

大塚は笙野の批判に対し、既得権と化した文芸誌のなかでの閉鎖な営みによって「文学」が秘儀化されようとしている現実を批判[注釈 4]し、文学が存続するための手段について論じた。そのひとつとしてコミックマーケットを例にとり、文学のための「場」を新たに作ることを提案した[5]。そのような「場」を「文学」が用意できず「まんが」が用意できたのは、はたして「まんが」の市場が巨大だったからだけなのでしょうか。それはやはりそのジャンルそのものの「生き残る意志」の問題のような気もするのです。 ? 大塚英志、不良債権としての「文学」[5]

ここで大塚が企図したのは、既存の流通システムの外に「文学」の市場を作ること、すなわち既存の版元―取次―書店からなる流通システムに依存しない形で「文学」が存続できる「場」を作ることである。

五十人(組)の応募を条件に、東京近郊で一度だけ「文学コミケ」を開催することを大塚が宣言し、実際に五十通を超える応募が集まり、開催が決定した。その後「コミケ」が有限会社コミケットの登録商標であることが判明し、開催準備の過程で「文学フリマ」へと名が改められた。
第一回文学フリマの開催

第一回文学フリマは2002年11月3日に開催された。

その文学フリマは大塚の当初の予想を超え、既成の文芸誌よりもはるかに多様な作り手による、多様な文学が存在する場となった。大塚はそのこと文芸誌上で報告し、笙野に対して対話を呼びかけた[6]

しかし笙野がこれに応えることはなく、他誌上で大塚への批判を繰り返し続ける[7]のみならず、大塚を想起させる登場人物を作中に出現させ罵倒するようになった[8]。このようにして論争が決着を見ないまま終焉を迎えた。

一方、文学フリマは当初宣言の通り大塚の手を離れ、有志からなる任意団体「文学フリマ事務局」が発足し第二回以降の運営を継続し、順調に開催回数を重ね、規模拡大を続けた。
開催地域の拡大と百都市構想

2013年に大阪にて「文学フリマ大阪事務局」が発足、文学フリマ大阪の開催が始まる。

この長さを受けて、文学フリマ事務局は2014年に「文学フリマ百都市構想」を発表し、全国に対して文学フリマの開催への門戸を開いた。

「文学フリマ百都市構想」とは、日本各地で文学フリマを開催したい有志を支援し、文学フリマの開催を通じて創作者・愛好者・継承者を生み出すことを目的とした取り組みである。地元での開催を希望する有志が主体となって現地での開催が遂行できるようにするため、主催業務に関わるノウハウ・マニュアルやシステムが提供され、開催までの準備から当日の業務まで支援が行われる。

文学フリマ百都市構想にもとづいて金沢・福岡・札幌・岩手・京都・前橋・広島・香川で現地組織が発足し、開催が行われた。
法人化

2022年に全国組織の運営とシステム管理とを担う「一般社団法人文学フリマ事務局」が発足した。
出身作家

プロ作家としてのデビュー前に文学フリマで出店を経験している作家は次の通り。

こだま[9]

爪切男[10]

乗代雄介[10]

小林エリコ[11]

菊池良

並木陽

世津路章

高瀬隼子[12]

僕のマリ[13]

主な出来事

文学フリマはプロ・アマを問わず「文学」の書き手の出店を募っており、初回から商業誌に作品を発表している作家も参加している。

第1回東京(2002年) -
佐藤友哉西尾維新が小説を書き、講談社の編集者太田克史が寄稿し、舞城王太郎が挿絵を付けたコピー誌『タンデムローターの方法論』が販売された。また、大塚英志は『文學界』(文藝春秋)に掲載拒否された石原慎太郎論を手書き原稿で販売した。

第4回東京(2005年) - 桜坂洋桜庭一樹が合作した小説『桜色ハミングディスタンス』が販売された。

第5回東京(2006年) - 文学フリマ運営事務局による初の出版物「文学フリマ五周年記念文集」が販売された。

第7回東京(2008年) - 講談社BOXが主催する「東浩紀のゼロアカ道場」第4回関門の実施会場となり、同企画に参加していた8チーム16名が批評の同人誌を販売した。

第9回東京(2009年) - 併催イベントとして片渕須直奥泉光を迎えたトークイベントが実施された。

第10回東京(2010年) - 講談社BOXが主催する「『西島大介のきらめき☆マンガ学校』二学期・公開講義」が実施された。

第13回東京(2011年) - 文学フリマ事務局編集の「これからの『文学フリマ』の話をしよう ?文学フリマ十周年記念文集?」が刊行された。後に芥川賞を受賞する又吉直樹ピース)が一般参加した。

第2回大阪(2014年) - 株式会社はてなが後援。汀こるものが出店した。

第30回東京(2020年) - COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の国内での拡大状況・行政の発表等を鑑みて中止となった[14]

開催データ
東京開催

回開催日会場出店数来場者数主催
第一回2002年11月3日
青山ブックセンター約80約1000人大塚英志
市川真人
青山ブックセンター
第二回2003年11月3日約100約1000人文学フリマ事務局
第三回2004年11月14日東京都中小企業振興公社秋葉原庁舎134約900人
第四回2005年11月27日160約1000人
第五回2006年11月12日158約1100人
第六回2007年11月11日158約1300人
春の文学フリマ2008[15]2008年5月11日157約1200人
第七回2008年11月9日155約1800人
第八回2009年5月10日大田区産業プラザPiO316約1800人
第九回2009年12月6日約380約2400人
第十回2010年5月23日約420約3000人
第十一回2010年12月5日約540約3400人
第十二回2011年6月12日約530約4000人
第十三回2011年11月3日東京流通センター 第二展示場約590約3600人
第十四回2012年5月6日約610約3800人
第十五回2012年11月18日約620約3600人
第十七回2013年11月4日約680約3400人
第十八回2014年5月5日約650約3500人
第十九回2014年11月24日約720約3800人
第二十回2015年5月4日約610約3400人
第二十一回2015年11月23日約700約3500人
第二十二回2016年5月1日東京流通センター 第一展示場719約3500人
第二十三回2016年11月23日東京流通センター 第二展示場746約3500人
第二十四回2017年5月7日722約3500人
第二十五回2017年11月23日777約3500人
第二十六回2018年5月6日729約3600人
第二十七回2018年11月25日東京流通センター 第一展示場8934332人
第二十八回2019年5月6日8955116人
第二十九回2019年11月24日10726044人
第三十回2020年5月6日開催中止
第三十一回2020年11月22日東京流通センター 第一展示場7462179人
第三十二回2021年5月16日6702233人
第三十三回2021年11月23日6864475人
第三十四回2022年5月29日8845482人
352022年11月20日東京流通センター 第一展示場・第二展示場Eホール13047445人
362023年5月21日東京流通センター 第一展示場・第二展示場Fホール143510780人文学フリマ東京事務局[16]
372023年11月11日東京流通センター 第一展示場・第二展示場184312890人
382024年5月19日187812283人
392024年12月1日東京ビッグサイト 西3・4ホール--

大阪開催

回開催日会場出店数来場者数主催
第十六回
[17]2013年4月14日堺市産業振興センター約310約1600人[18]文学フリマ事務局
第二回2014年9月14日約300約1500人文学フリマ大阪事務局
第三回2015年9月20日約270約1300人
第四回2016年9月18日335約1300人
第五回2017年9月18日316約1400人
第六回2018年9月9日大阪マーチャンダイズ・マートビル3781794人
第七回2019年9月8日4792175人
第八回2020年9月8日295-
第九回2021年9月26日2921219人
第十回2022年9月25日4622676人


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