敵は海賊
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『敵は海賊』(てきはかいぞく)は、『S-Fマガジン1981年4月号に掲載された神林長平のSF小説。また、その続編を含めて構成されるシリーズ作品。
概要

ハードな作風の著者においては異色ともいえる本シリーズだが、基本的考察はそのままに緻密な世界観とユーモア溢れる作風、独特の文体で描かれている。火浦功にはメタバタ(メタフィジカル・ドタバタ)と評された。『猫たちの饗宴』は「敵は海賊?猫たちの饗宴?」として1989年にアニメ化されている。

2013年現在、ハヤカワ文庫における単行本として長編8作品、短編集1作品が刊行されており、初期短編集『狐と踊れ』にはシリーズの元になった短編「敵は海賊」が収録されている(後に『敵は海賊・短篇版』に再録)。

また、『S-Fマガジン』誌上に著者自身の手による『戦闘妖精・雪風』とのコラボレーション作「被書空間」、および外伝的な短編「わが名はジュティ、文句あるか」が掲載された(どちらも後に『敵は海賊・短篇版』に収録)。

シリーズ作品の多くは、「敵は海賊」世界における現実の海賊課(対海賊課)や海賊?冥を題材にしてその世界の住人ないしは著述AIが執筆・出版したもの(複数の作者による競作)、という体裁で書かれており、その設定は各巻頭のコピーライト表記等に見ることができる。そのため各話は独立した、相互にパラレルワールドの関係であり、緩い意味での続編になっている。

その性質上、ある巻で提示された設定や起こった事象が続刊においても同様であるとは限らない。
世界観

宇宙への入植が進んだ未来。火星土星衛星タイタンにも人が住み、他星系の人間・生物とも共存している。人類の活動範囲の拡大に従い凶悪な星間犯罪も増加しており、それら犯罪者は「海賊」と呼ばれていた。それに対抗するための治安組織として存在するのが広域宇宙警察・対宇宙海賊課、通称「海賊課」である。海賊課は一部署でありながら強制捜査権を有する超法規的機関である。各刑事は「インターセプター」と呼ばれる装置を身につけ、あらゆる組織のコンピューターへの介入が許可されており、海賊の即時射殺も認められている。しかしながら「海賊を殲滅するためならなんでもあり」的な行動から一般に被害を及ぼすことも少なくなく、時に"政府公認の海賊"などと呼ばれ海賊と同一視されるなど市民や軍からは嫌われている。

物語は太陽圏の海賊課に所属するラテルチームと、伝説の海賊王・?冥(ヨウメイ)を中心に展開する。
主要登場人物
海賊課
ラウル・ラテル・サトル
海賊課一級刑事。ラテルチームの長。大型の大出力レイガン(熱線銃)を片手で操り、射撃の腕は海賊課随一。?冥と撃ち合って生きて還った唯一の男。家族を海賊に殺されており、そのため海賊の殲滅に執念を燃やす。過去にモーナという名の恋人がいて、本気で愛していたのだが、海賊であることが判明したために殺している。以降の女性関係は、交際しては振られることを繰り返しており、その振られ癖は課内では有名。それでも挫けず女性は積極的に口説いていくスタイル。ほとんど無趣味で、空き時間に自室でやることと言えばレイガンの分解掃除程度。海賊退治が仕事であり趣味であり生活そのもの、という生き方をしている。「敵は海賊。一匹残らず撃ち殺してやる」を標榜しているが、一方で『正義の眼』では「殺してしまったらそれは失敗」と語る一面も。その来歴について『海賊課の一日』によれば、宇宙を放浪しながら交易をする宇宙キャラバンのひとつラウル・キャラバンで育つが、5歳の頃そのキャラバンが海賊に襲われ一人生き延びている。祖父の先祖が伝説的な冒険家ラテル・コンパレンであったことから、その名にあやかりラウル・ラテルと名づけられ、キャラバン全滅の際自分を庇って死んだ兄サトルの名前をもらい今の名となった。キャラバン亡き後は、祖父の生家でもある地球の名門コンパレン家に引き取られており、一時はコンパレン姓を名乗っていたが、現在は縁を切っている。なおラテルチームは海賊課で最も優秀であり、かつ最も損害請求の多いチームである。
アプロ
海賊課一級刑事。ラテルチーム所属の黒猫型異星人。大きな黒猫もしくは小型の黒豹と評される外見で、瞳の色はエメラルドグリーン。口は耳まで裂ける。海賊課内でも最強の殺傷能力を持つ金の首輪型インターセプターをつけており、"感情凍結"の能力を持つ。また、臭いで海賊かどうかを嗅ぎ分ける特技を持っている。変わり者揃いのラテルチームの中でも、輪をかけて常識外れのトラブルメイカー。倫理観に欠ける言動と嗜虐的な性質で、関わる者をたびたびヒステリックにさせる。その被害者はもっぱらラテルとラジェンドラであり、2人からは基本的に嫌われているが意に介さない。大食漢で口に入るものならなんでも食べてしまうが、一番の好物は海賊。普段の食欲は殺戮欲求の代替とも。肉より魂や意識を食べるといわれる。そうしたもの除けば、酒とケーキやチョコレートが好物。よく得体のしれないお菓子を食べており、その中には人間が食べてはいけないような危険なものもあるが、お構いなしに人間に勧めてくる。アプロの種族には性が6種類あり、アプロの性別は、中間性の1つだという。故郷の星に帰ったら王様になって王妃に食われなくてはいけないらしい。
感情凍結
精神凍結ともいわれる、人間のその時点の心情を固定する能力。この固定能力は極めて強力で、怒りで凍結されれば怒り続けてストレスで死に、死にたい気分の時に凍結されれば確実に自殺させられる、という代物。ラテルは長い付き合いの中で感情凍結に対する多少の耐性を得ており、固定された感情を有効に作用させることができる。ラジェンドラには効かない。効果時間についての記述はなく、基本的にはアプロが"解凍"するまで続く。
ラジェンドラ
海賊課所属の対コンピューターフリゲート艦。またはそれに搭載されているA級知性体。ラテルチーム所属。ラテル、アプロの部下。超高度知性体のため感情を持っており、男性の声で話す。自らの素晴らしさを自慢するのが生きがい。アプロとは仲が悪く、何かと口喧嘩が絶えず、時にヒステリックな行動にでることも。通常兵装の他、"CDS"と呼ばれる発射した範囲に存在するすべての光電子回路を搭載したコンピュータを破壊する兵器を備えている。ラジェンドラの誇る強力な電子兵器であるが、精密照準に時間がかかるのが欠点。照準なしで放射すると当然味方や一般の機器にも被害が及ぶ。全長約300m(『海賊の敵』では400m超)、外見は鏃(やじり)型、船体色は黒。
チーフ・バスター(本名 ケンドレッド・バスター・メイム)
海賊課チーフ。有能だが、ラテルチームの出す巨大な損害に気苦労が絶えず、強力な胃薬を常用している。デジタルデータは信用せず、報告書は電動でさえない機械式のタイプライターで打ち出された紙媒体で提出させる。彼の海賊課の運営方針は「親しまれる海賊課」「親睦第一主義」。ともすれば弱腰な姿勢にも聞こえるが、あくまで海賊退治を円滑に行うための戦略のひとつであり、その熱意はラテルにも劣らない。『不敵な休暇』によれば彼のインターセプターは機械時計に組み込まれている。これは傍目には旧式の時計にしか見えないもので、刑事たちが用いるような強力な自動攻撃機能はない。基地内での草花や野菜の栽培が趣味。チーフになるより以前に、ラジェンドラ製造を指揮しその教育を担った人物で、ラジェンドラにとっては生みの親であると同時に育ての親であり一番の理解者であるとして高く評価されている。またラテルを一級刑事に叩き上げたのもチーフになる前の当時ベテラン刑事だったバスターであり、ラテルチームの言動に頭を痛める一方で、ラテルに対し父親のような視点でその私生活を心配する一面もある。2度離婚しており、最初の妻ドルカスとの間に2人の息子と、2人目の妻ミルドレッドとの間に娘アリシアがいるが、いずれとも別居している(子供たちは皆ドルカスが彼女の宇宙キャラバンで育てた)。現在は海賊課の医務室勤務の女医サンディと恋仲。『猫たちの饗宴』のみ、名前がケンドル・バスター・メイムになっている。
マーシャ・M・マクレガー
海賊課二級刑事。元々は第三広報室に所属していた、ネコ耳のようなヘアスタイルの女性で、マシュマロのようなふっくらした顔つきをしている。


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