導入年別の表については「数学記号の表 (導入年別)」をご覧ください。
「数学記号」はこの項目へ転送されています。ウィキペディアにおける数式の書き方については「ヘルプ:数式の書き方
」をご覧ください。数学的概念を記述する記号を数学記号という。数学記号は、数学上に抽象された概念を簡潔に表すためにしばしば用いられる。
数学記号が示す対象やその定義は、基本的にそれを用いる人に委ねられるため、同じ記号に見えても内容が異なっているということがあれば、逆に、異なって見える記号が同じ対象を示しているということもある[注 1]。従って本項に示す数学記号とそれに対応する数学的対象は、数多くある記号や概念のうち、特に慣用されうるものに限られる。 以下の解説において、文字 P, Q, R はそれぞれ何らかの命題を表すものとする。 記号意味解説 以下の解説において、S, T は任意の集合を、 ∙ {\displaystyle \bullet } は記号の作用素を表す。 記号意味解説
記号論理の記号
∧ {\displaystyle \land } 論理積、連言 (AND)「P ∧ Q」は「命題 P と命題 Q がともに真」という命題を表す。
∨ {\displaystyle \lor } 論理和、選言 (OR)「P ∨ Q」は「命題 P と命題 Q の少なくとも一方は真」という命題を表す。
¬ {\displaystyle \neg } 否定 (NOT)「¬P」は「命題 P が偽」という命題を表す。
⇒ {\displaystyle \Rightarrow } 論理包含、含意「P ⇒ Q」は、「命題 P が真なら必ず命題 Q も真」という命題を表す。P が偽の場合は P ⇒ Q は真である。
→ {\displaystyle \rightarrow }
⇔ , iff , ≡ {\displaystyle \Leftrightarrow ,\ {\text{iff}},\ \equiv } 同値「P⇔Q」、「P≡Q」は P と Q の真偽が必ず一致することを意味する。iff は if and only if の略である。
⊨ {\displaystyle \vDash } 論理的帰結、伴意主に意味論的な帰結関係に使われる。
「Γ ? φ」と書いて「Γの全ての論理式が真であるなら、論理式φが真である」を意味する。
「M ? Γ」と書いて「(事前に定まっている理論の)モデルMにおいて、Γに属する論理式がすべて真である」を意味する。
「? φ」と書いて「(事前に定まっている理論の)任意のモデルにおいて、論理式φが真である」を意味する。
⊢ {\displaystyle \vdash } 推論主に形式的な帰結関係に使われる。「Γ ? φ」と書いて、論理式の集合(または多重集合)Γから、形式的に論理式φが推論できることを表す。
∀ {\displaystyle \forall } 全称限量記号しばしば ∀x∈S(P(x)) のように書かれ、集合 S の任意の元 x に対して命題 P(x) が成立することを表す。
∃ {\displaystyle \exists } 存在限量記号しばしば ∃x∈S(P(x)) のように書かれ、集合 S の中に条件 P(x) を成立させるような元 x が少なくとも1つ存在することを表す。
∃ 1 , ∃ 1 , ∃ ! {\displaystyle \exists _{1},\ \exists 1,\ \exists \,!} 一意的に存在しばしば ∃1x∈S(P(x)) のように書かれ、集合 S の中に条件 P(x) を成立させるような元 x が唯一つ存在することを表す。他の記法も同様である。
∴ {\displaystyle \therefore } 結論文頭に記され、その文の主張が前述の内容を受けて述べられていることを示す。ゆえに。
∵ {\displaystyle \because } 理由・根拠文頭に記され、その文の内容が前述の内容の理由説明であることを示す。”なぜならば”。
:= , :⇔ {\displaystyle :=,\ :\Leftrightarrow } 定義「A ? X」は、A という記号の意味するところを、X と定義することである。「A :⇔ X」とも書く。また " = {\displaystyle =} " の上に " d e f {\displaystyle \mathrm {def} } " ないし " △ {\displaystyle \bigtriangleup } " を書くこと( = d e f , = △ {\displaystyle {\stackrel {\mathrm {def} }{=}},{\stackrel {\bigtriangleup }{=}}} )もある。 :⇔ {\displaystyle \ :\Leftrightarrow } は命題を定義するときに使い、 := {\displaystyle :=} は何らかの数量や対象を定義するときに使う。
集合論の記号
{ : } , { ∣ } , { ; } {\displaystyle \{\ :\ \},\ \{\ \mid \ \},\ \{\ ;\ \}} 集合の内包的記法
∈ , ∋ , ∉ , ∌ {\displaystyle \in ,\ \ni ,\ \notin ,\ \not \ni } 集合に対する元の帰属関係「x∈S」は、x が集合 S の元であることを意味する。「x∉S」は、x∈S の否定、すなわち x が S の元でないことを意味する。
= {\displaystyle =} 集合の一致「S = T」は集合 S と集合 T が等しいことを示す。
≠ {\displaystyle \neq } = {\displaystyle =} の否定「S ≠ T」は集合 S と集合 T が等しくないことを示す。
⊆ , ⊇ , ⊂ , ⊃ , {\displaystyle \subseteq ,\ \supseteq ,\ \subset ,\ \supset ,} ⊊ , ⊋ , ⊄ , ⊅ {\displaystyle \subsetneq ,\ \supsetneq ,\ \not \subset ,\ \not \supset } 集合の包含関係「S ⊆ T」は S が T の部分集合であることを意味する。必要に応じて「T ⊇ S」とも書く。他も同じ。
⊆ は S と T が等しい場合を含み、真部分集合に対しては ? が用いられる。