教科書採択
[Wikipedia|▼Menu]

教科書採択(きょうかしょさいたく)は、小学校中学校高等学校中等教育学校特別支援学校において、学校授業で使用する教科用図書教科書)を選定することである。
概要

現行制度は、小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校では「文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教育用図書を使用しなければならない」[1]としている。教科書検定制度のもとで、同じ教科・科目でも複数社・複数種類の教科書が発行されているため、その中から1種類の教科書を選定する必要が生じる。

なお、大学などの高等教育機関に対しては教科書に関する規定はなく、授業で使用する教科書・使用教材の有無や内容については各学校・教員の裁量の範囲に属している。
義務教育
教科書採択の権限

教科書採択の権限は、公立(市区町村立または都道府県立)の小学校中学校中等教育学校前期課程、特別支援学校(初等部・中等部)といった義務教育諸学校の場合、当該学校を設置する市区町村または都道府県の教育委員会にあるとされる[注 1]。なお、国立・私立の義務教育諸学校については、当該学校の校長に権限があると行政は解している[3]
採択地区

教科書の採択区域については、都道府県教育委員会が「市若しくは郡の区域又はこれらの区域をあわせた地域に、教科用図書採択地区を設定しなければならない」とされている[4]。実際には、市・郡を単位として採択区域が定められている場合もあるが、地理的条件や文化圏経済圏などが同一の地域をひとまとめにして、複数の市や郡からなる採択区域が定められている場合もある(共同採択)[5]。また政令指定都市では、市内をいくつかの採択地区に分けて地区ごとに採択をおこなっている場合もある[6]
教育委員会

都道府県教育委員会は、検定済教科書の中から各教科・分野ごとにそれぞれ1種類ずつ、都道府県立学校で使用する教科書を採択する。このほか都道府県教育委員会は、市区町村教育委員会への採択のアドバイスをおこなう。都道府県教育委員会では、市区町村教育委員会へのアドバイスの目的で、学識経験者や教育委員会関係者・教職員などからなる教科用図書選定審議会を設置することができる。

市区町村教育委員会はその設置する学校について、各教科・分野ごとにそれぞれ教科書を採択する。市区町村教育委員会の教科書採択の際には、都道府県教育委員会からのアドバイスや、各社の教科書についての教員からの感想・意見なども参考にする。
教員

教員には、現行制度上、直接の採択権はない。自治体によっては、教育委員会に対して教科書に関する意見を述べることのできるような仕組みが整えられている場合もある。具体的には、所属学校を通じての意見文書提出や、教科書展示会で各社教科書の見本を展示して会場に意見投書箱を設置するなどの方法がとられている[要出典]。
国の関与

国に採択の権限はない。また、教育の政治的中立性確保の要請、地方公共団体の自主性、自立性、および地方公共団体の事務処理に関する国の関与の法定主義に鑑み、教科書採択に国が介入することは原則として避けるべきであり、関与しなければならない場合も、必要最小限度に留め、自主性及び自立性に配慮しなければならない[7]

もっとも、文部科学大臣は、事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うことができる[8]。また、教育委員会に法令違反や任務懈怠がある場合には、是正を要求[9]し、または指示[10]することができる。
採択の期間

義務教育諸学校では現行で4年ごとに採択が行われ、一度採択された教科書は4年間同じ物を使用。かつての採択期間は、その時代により2?6年間と変動があった。
小学校

検定年度採択期間(年度)
1960年(昭和35年)1961年?1964年
1964年(昭和39年)1965年?1967年
1967年(昭和42年)1968年?1970年
1970年(昭和45年)1971年?1973年
1973年(昭和48年)1974年?1976年
1976年(昭和51年)1977年?1979年
1979年(昭和54年)1980年?1982年
1982年(昭和57年)1983年?1985年
1985年(昭和60年)1986年?1988年
1988年(昭和63年)1989年?1991年
1991年(平成3年)1992年?1995年
1995年(平成7年)1996年?1999年
1999年(平成11年)2000年?2001年
2001年(平成13年)2002年?2004年
2004年(平成16年)2005年?2010年
2010年(平成22年)2011年?2014年
2014年(平成26年)2015年?2018年

中学校

検定年度採択期間(年度)
1961年(昭和36年)1962年?1965年
1965年(昭和40年)1966年?1968年
1968年(昭和43年)1969年?1971年
1971年(昭和46年)1972年?1974年
1974年(昭和49年)1975年?1977年
1977年(昭和52年)1978年?1980年
1980年(昭和55年)1981年?1983年
1983年(昭和58年)1984年?1986年
1986年(昭和61年)1987年?1989年
1989年(平成元年)1990年?1992年
1992年(平成4年)1993年?1996年
1996年(平成8年)1997年?2001年
2001年(平成13年)2002年?2005年
2005年(平成17年)2006年?2011年
2011年(平成23年)2012年?2014年
2014年(平成26年)2015年?2018年

高等学校

高等学校における教科書採択では、義務教育諸学校と異なり、広域採択制に類するシステムはない。各学校ごとに教科書を採択している。また各年度ごとに採択がおこなわれる。

高等学校での法令上の教科書採択権者の定めは明記されていないが、文部科学省の解釈によると公立学校の場合は所管教育委員会に採択権があるとしている。
問題.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。

上述のように、義務教育諸学校において教科書採択の権限・責任の所在と採択地区の範囲がズレているため、採択地区内の教育委員会委同士の間で協議が調わなかった場合に問題を生じることとなった。[11]

平成25年度までは、共同採択の「ときは、当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない」[12]とのみ規定されていた。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:23 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef