この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
政治的行為(せいじてきこうい)とは、公務員に対して禁止されている政治活動の行動類型をいう。また、一般職の国家公務員に対して禁止される政治活動の行動類型を定めた人事院規則14-7の副題でもある。 当初制定された国家公務員法(昭和22年法律第120号)第102条第1項は、寄付金等の要求等の行為のみに限り政治的行為を制限し(現行の前段にあたる部分)、その違反行為に対する罰則規定も定めていなかった。ところが、二・一ゼネストなど官公庁の労働運動の高まりを受けた連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーは当時の芦田均首相宛てに書簡を送り、国家公務員法の全面的改正を指示した。これを受けた1948年(昭和23年)の同法の改正(同年法律第222号)に際して、第102条第1項に「人事院規則で定める政治的行為」を禁止する旨の規定が加わったほか、第110条第1項第19号の罰則規定も定められた(なお、同時に労働基本権に対しても大幅な制約が加えられた。)。 そして、人事院規則14-7については、総司令部と人事院側との折衝の上、1949年(昭和24年)9月19日に公布、施行された。このような経緯から、政治的行為の制限規定の母法はアメリカの通称ハッチ法(Hatch Political Activities Act,1939,as Amended)にあるとされている。 なお、人事院は、人事院規則14-7の公布施行後すぐ10月21日付け、人事院事務総長の各省事務次官宛通牒「人事院規則14-7(政治的行為)の運用方針について」を発し、その運用の指導、統一を図っている。 政府職員の政治的中立性の議論は19世紀になされ、米国では1877年R・B・ヘイズの行政命令に端を発し、クリーブランドの1877年の行政命令、ルーズベルトの1907年6月3日の行政命令に受け継がれた。やがて1930年代のニューディール政策以降、行政機関と職員数、その権限が急激に拡大したことを背景に1939年のハッチ法制定に到った[1]。 現代においては、国際労働機関(ILO)条約の強制労働の廃止に関する条約(第105号)および雇用及び職業についての差別待遇に関する条約(第111号)について、これら方針との両立が課題となっている[2]。105号条約については、処罰規定を懲役刑から禁固刑に改正することで2022年7月19日に批准した[3]。111号条約については、職種や階級を限定して政治的行為を制限することで合致できるとの議論がある[2]。 国家公務員法第102条は、一般職の国家公務員に対して、次のように政治的行為の制限を定めている。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0} これにより、各種選挙に出馬する際は所属庁を退職することが必要となっている。そして、国家公務員法第102条第1項の委任を受けて人事院規則14-7(政治的行為)が定められており、同規則第6項は、17に及ぶ政治的行為を規定している。
沿革
国家公務員に対する制限
職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
職員は、公選による公職の候補者となることができない。
職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。
—国家公務員法第102条
政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること
政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し又は提供せずその他政治的目的をもつなんらかの行為をなし又はなさないことに対する代償又は報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益を得若しくは得ようと企て又は得させようとすることあるいは不利益を与え、与えようと企て又は与えようとおびやかすこと